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42:おいしい水の「せい」?

 一夜明けて今日も草原エリアCに向かう。午前8時頃に現地に到着。木下さんから今日の植生調査範囲を示したエリアを教わり、昨日同様まずはその付近からの危険対象物の探索開始。結構しっかりと探索したのだが今日は何も出てこない。さらに探索範囲を広げでみたがやはり何の危険もない。実際良野さんもまったく危険な感じがしないそうだ。


 そんなわけで今日は早速自由行動になったので、良野さんに森に入るといって向かおうとしたら、良野さんから水筒を渡されて泉の水を汲んできてと頼まれた。木下さんの分はいいのかとたずねると、木下さんの水筒にはハチミツ入りハーブティーが入っていて喉が渇いたら二人で飲むということなので必要ないとのこと。


 良野さんの水筒も受け取り今度こそ泉に向かう。ついつい相当な「早足」になってしまい、昨日は確か30分くらいかかったのが今日はわずか10分程度で森の前に着いてしまった。


 そこからさらに泉の場所まで駆け抜けたので、追加で10分程で昨日の泉にたどり着いた。辺りを見回してもユニコーンの姿はなく、ちょっと早すぎたか?と思い時刻を確認するとまだ午前8時半頃で、昨日と同じ時間に来るんだとしたら昼頃かと思った。


 とりあえずコップに泉の水を汲んでガブリと飲み干す。「かぁーッウマイッ!」と思わずくたびれたオヤジが一杯ひっかけたような声が口から漏れてしまった。まだ20歳なんだから気を付けないと・・・


 道具屋の水筒は保温効果バッチリだし、聞くところによると飲み物の種類にもよるが鮮度維持能力も抜群らしいので今のうちから良野さんの水筒に水を汲み始めた。


トクトクトクトク・・・


『おみず おいしい?』


トクトクトクトク・・・


「・・・えっ?」


・・・

・・・

・・・

今何か・・・何かに話しかけられた気がした・・・


 すかさず辺りを見回すが何もいない。ちょっとの間、気配を感じ取ろうと神経を研ぎ澄ましてみたが何も感じない。


「・・・き、気のせいかな・・・」


トクトクトクトク

トクトクトクトク


『おみず おいしい?』


「ーーーーッ!!!!」


 ビクッとして顔を上げると、目の前に温かく優しい感じのする光の玉がホワホワと宙に浮いていた。


 良野さんの水筒は手からすっぽ抜けて池ポチャして沈んでいった・・・


 さっきまで良野さんの水筒をつかんでいた手でそーっと恐る恐るゆっくりと静かに刺激しないように携帯端末を取り出し録画モードを作動させる。


『おみず おいしい?』


「・・・お水・・・美味しいよ」


 と、なんだソレって我ながら自分にツッコミそうな声と顔で応えた。小さな子供に接するかのように優しい感じで賢明にパニックを抑えて言ったつもりだったのだがうまくいかない。ホント、我ながらつくづく本番に弱いと痛感する。


『おみず おいしい、うれしいな』

『おみず おいしい、うれしいな』

『おみず おいしい、うれしいな』


『しろいの たすけた やさしいな』

『しろいの たすけた やさしいな』

『しろいの たすけた やさしいな』


 なんか・・・どんどん光が増えて集まってくるんですけど・・・


 増えた光が一つになっていく。すると落としたはずの良野さんの水筒が浮いてきて、水面から浮かび上がるとそのまま空中浮揚しはじめた。


『おとしもの』

『おとしもの』

『おとしもの』


「・・・あ、ありがとう」と、もう片方の手で水筒を掴んだ。


『やさしい ひと しらせなきゃ』

『やさしい ひと しらせなきゃ』

『やさしい ひと しらせなきゃ』


「えっ?知らせるって誰に?」と言ってるうちに光は水の中に沈んで消えていった・・・


 光が消えて間もなくすると昨日のユニコーンがやってきた。

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