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405:正子の破壊力

 世界中というより3っつの宇宙中で新たに誕生した冴内の末娘、正子(まさこ)の衝撃的な誕生シーンと衝撃的な可愛さの映像を見た宇宙中の人々は大フィーバーとなった。


 見た目もさることながらその仕草やまだ今一つ舌が回らない話し方も可愛さ爆発で、守ってあげたくなる母性本能が大いに刺激される存在で、ある意味最大の攻撃力、いや、防御力かもしれなかった。


 さいごのひとロボ4号機あたりは、これはもしや智略に長けた暗黒四天王の恐ろしい計略策略謀略的な精神攻撃の一つではないだろうかとすら思う程、冴内 正子の愛おしさの破壊力は絶大だった。


 美衣はキッチンにすっ飛んでいってすぐにホットハチミツミルクを作って持ってきた。美衣達は煮え湯だろうがお構いなしに舌や口内がやけどすることなくゴクゴク飲むが、正子もそうなのか分からないので、冴内が熱いから気を付けてフーフーして冷ましてから飲んでねと言ったが、正子は「らいじょうぶでしゅ!」と言ってゴクゴク飲んだ。


 大人の冴内でもフーフーしないと熱くて飲めないホットハチミツミルクを一気にゴクゴク飲んだ正子は口の周りに白いおヒゲ模様を作ってプハーと息をつき、その後小さい可愛い声でケプッとゲップを洩らしてニッコリ笑った。


 この映像を見て奈良ゲート大会議室の8K高画質大画面モニターの前で良野・吉田・木下はあまりの可愛らしさに気を失いかけたが、さいしょの民達とのお菓子配りふれあい会で耐性を鍛えていたので、なんとかかろうじて意識を保ったが、宇宙のあちこちで可愛すぎて失神してしまった人々が結構いた。ちなみに冴内の実家では冴内の両親が昇天していた。すぐに孫たちによって起こされたが。


「ほしいもお食べよ!うんめぇよ!」

 美衣がさらに追い打ちをかけるように、危険なエサを与えようとしていた。


「ほちいも、たべゆ!」


パクッ・・・モグモグ・・・ゴクン・・・


「うんめぇ~~~でしゅ!」


 初撃に耐え抜いた良野・吉田・木下であったが、二撃目で撃沈し、昇天して気を失った。その顔には「我が人生に一片の悔いなし」と刻まれているかのようだった。


 さすがの冴内もこれにはたまらず、正子を思いっきり抱きしめてギューッとしたかったが、グッとこらえて何故か両手の握りこぶしを硬く硬く力を込めて握りしめていた。優と良子はいつの間にか手にしていたソファのクッションをギューッと抱きしめていた。


「おとうたん!だっこちてほちいでしゅ!」


 待ってましたと言わんばかりに、まるでジャンボ宝くじが一等前後賞合わせて大当たりしたかのように冴内は大喜びで破顔して正子を優しく持ち上げて抱っこした。


「ワタチになまえをくれてありがとうでしゅ!かぞくにちてくれてありがとうでしゅ!みんなのやしゃしいあったかいこえはずっときこえてたでしゅ!みんなありがとうでしゅ!だいちゅきでしゅ!」


 正子は冴内に抱きついて口づけした、冴内は満面の笑みでほっぺを正子に軽くすり寄せた後、正子を優しく優に渡し、そこで白目をむいて気絶した。


 美衣と良子が冴内をソファに寝かせつけ、残った者達で正子の誕生を盛大に祝った。


 外に出て初と手を繋いで元気よく草原を走り回って、そのままさいしょの村に行き航宙艦のある集会場でさいしょの民達からの盛大な誕生祝い祭りが開かれて飲めや歌えや踊れやの楽しさ嬉しさ爆発で、正子も大喜びで一緒に躍った。


 なにせそもそもさいしょの民達自体が小さくて可愛い上にそこへきて正子を筆頭に初も美衣も良子もこの上ない程に可愛いものだから、さいしょのほしは全ての宇宙の楽園かと思われる程に、宇宙全土で人々はウットリした表情でこの模様を見ていた。


 数分後に冴内は優の膝枕の上で目覚め、花子が持ってきてくれたコップの水を飲んで一息ついた。


「参ったよ、優に名前を付けた時以来久しぶりにこういうことで気絶しちゃったよ」

「ウフフフ!あの時の洋はすごく照れ屋さんだったものね!」

「美衣や良子や初の時だって皆すごく可愛くて愛おしく感じたけど、まさか今回気絶する程になるとは思わなかった」

「そうね、美衣も良子も初も皆とても可愛くて愛おしく感じる誕生だったけど、正子は特別に強い母性本能を揺さぶられる感じがしたわ」


「横から口を挟むようで申し訳ないが、私が思うに正子は冴内 洋と君がパステルと名付けた宇宙の何かしらの特別なエネルギーのような生命力を取り込んで生まれ変わったことが大きく影響しているのではないかと考える。しかも元は暗黒四天王だと呼称する強大な存在だったわけだから、その影響力は計り知れず甚大なものだろう」


「なるほど」


「今後冴内 正子は注意深く観察する必要がある」


「そうだね、まだ2歳くらいの一番小さい子だから、しっかり見てあげないとね」


 さいごのひとロボ4号機はそういう意味で言ったのではなかったが、しっかり見守るという点では合っているので余計な事は言わずに頷いた。


 恐らく今日はこのままさいしょの民達と一緒に盛大な大宴会になるだろうし、その後も実家の両親や関係各所にお披露目しに行かないといけないなぁと冴内は考えたが、わずらわしいという気持ちは完全に全く1ミリもなく、楽しみに思っていた。


 冴内の予想通りその日の夜はお祭り騒ぎが大好きなさいしょの民達全員で盛大な正子の誕生祭が開かれ大盛り上がりで、美味しい食事と恒例のお盆時期ではないが盆踊りを行い、最後は皆で風呂に入って解散となった。


 正子は盆踊りの途中で電池切れのおもちゃのようにスヤスヤと眠っていた。その寝顔は破壊力満点の愛おしさで正に天使級だった。


 明けて翌朝、いつもの腹時計アラームに新たに一つ小さな時計が加わって盛大な合唱で目が覚め、早速朝食を用意したのだが、美衣の大好物の納豆ご飯なので果たして正子は納豆とか食べられるのだろうかと冴内は少しだけ心配したのだが、正子は問題なく美味しそうにバクバク食べた。


 ちなみに正子は冴内のヒザの上に座ってアーンして冴内に食べさせてもらっていた。時折横に座る優が冴内にアーンさせて食べさせていた。

 少し羨ましそうにした美衣と良子は初にアーンさせて食べさせていた。


 朝食を食べながら冴内は頭の中でこれはまたいつものパターンで正子をお披露目して回らなきゃと考えていた。


 食後冴内は普通の個人用スマホで実家に電話し、正子を紹介しようと思うが今日あいているかと聞いたところ力強くあいているという答えが返ってきたが、外野から二人の姉と子供達の声も聞こえた。


 冴内はいったん電話を切り、次にゲートシーカー専用端末を使って神代に連絡し、同じように正子を連れて行こうと思うが大丈夫でしょうかと尋ねたところ、神代からは全ては神の御心のままにという一体お前は誰と会話しているんだという返答が返って来た。


 とりあえずOKらしいので冴内はお礼を言って電話を切り、もう一度実家に電話して後で全員迎えに行き、そのまま瞬間移動で富士山麓ゲート研修センターへ連れて行くと伝えたところ、出雲の叔父夫婦も正子を見たいとのことで、初代冴内 一之進ことたつのすけの事を知ることが出来た時には叔父夫婦の世話になったので冴内は二つ返事で了承した。


 また久しぶりにじいじとばあばに会ってお買い物に行けるということで美衣達は大喜びしていたが、そこでリビングにある壁掛け大型ディスプレイから通信コールが表示され、通話を開始したところ宇宙連合代表で龍人族の名誉会長グワァーオーゥゥと宇宙連盟司令長官ゴスターグ・バリディエンシェが画面に2分割状態で現れて、我らも是非とも正子殿に拝謁つまかつりたいと言ってきた。


 まるで歴史時代劇ドラマのような言い回しだが彼等は別に日本語で話しているわけではなく、相手を敬っている心境を汲み取って自動翻訳されていたのであった。


 彼等の要求では、正子のお披露目会を富士山麓ゲート研修センターではなく、是非ともみんなのほしにある野外特設会場、いつの間にか付けられた通称名「大宇宙交流会場」で開催して欲しいとのことだった。


 どうやら神代にも既に根回しをしているらしく、話は完全に完璧に通っているようで、後は冴内の裁可を待つのみといった段階であるようだった。


 そこまで話しが通っているなら特に断る理由もなく、しかもこれならあちこち挨拶回りに行く必要もなく一回で済むぞと冴内は考えOKの返事をした。


 こうして今回は第301話「お馴染みの行動パターン」にあるようないつもの流れにはならず、大宇宙交流会場で盛大なお披露目会になりそうな気配が漂ってきたのであった。

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