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394:融合合体

 カブトンのカブキチとカブタは冴内達、というよりも音声ガイドロボ2号機による映像記録を見ながらの的確で分かりやすい説明により、これまでのいきさつを知ることになった。


「ナルホド、ソウイウリユウデ オマエタチノヨウナ カワッタイキモノガ ココニキタノカ」(カブタ)


「セカイトイウノハ オイラタチガ オモッテイルイジョウニ ヒロイノダナ」(カブキチ)


「ヨシ、ソレナラバ オレタチ フタリガカリデ キョウリョクシヨウ!」(カブタ)

「オウ!ソウシヨウ!」(カブキチ)


「ありがとう!カブタさん!カブキチさん!」(初)

「「「 ありがとう! 」」」


 早速さいごのひとロボ4号機はカブタとカブキチをYの字になるようにして超強力軽量カーボンナノチューブ製ロープで連結した。


「それでは第三回戦!カブタさんカブキチさんペア対冴内様ファミリーを開始します!位置について!ヨーイ・・・初めっ!」


「オーエス!オーエス!」(花&音ロボ&ぎん)

「「「オーエス!オーエス!」」」(美衣達)

「「オウ!エス!オウ!エス!」」(カブ)


ズズズズ・・・


「はいっ!そこまで!」(花)

「わぁ!全然ダメだ!」(初)

「さすがにカブトン二匹相手だと難しいですね」(ぎん)


「ヨシ、オイラタチハ ウゴカズ ジットシテルカラ キミタチハ アシコシヲキタエル クンレンヲ スルンダ」(カブキチ)

「わかった!よしやるぞ!みんな!」(美)

「「「 オォーッ!! 」」」


「皆頑張ってるな、僕もなんとかしてあそこにいるヌシを倒せるように頑張らないと・・・でも、僕はどういう修行をすればいいのかな・・・」


『やぁ困っているようだね冴内 洋、こういう時こそ宇宙であるワタシに力を借りるっていうものだよ』

「あっ、パステルさん!」


 パステルは大きな蝶のような形になって冴内の前でヒラヒラと舞っていた。優雅に舞う羽はパステル調の鮮やかな渦が巻いており、蝶と言うよりは蛾のようでもあった。


『ジメンが見た君のこれまでの記録をワタシも共有して見てみたんだけど、とっても面白かったよ。ワタシは君のことがますます大好きになった。だから君にはこれからすごくえこひいきすることにする』


「あ、ありがとうございます・・・」

『気にすることはないさ!君にはこれから100万年以内に暗黒四天王をやっつけてもらわなきゃいけないからね!といっても君はこの先100年も経たずに寿命が来ちゃうから、もっともっとずっとずっと短い期間でやっつけるつもりだとも聞いている。だからすごくえこひいきすることに決めたんだ!』


「わ、わかりました!」

『うん!よろしい!』

「で、具体的にはどうするんですか?」


『そうだね、合体しよう!合体!』

「えっ!!合体ですか!?えっと、それは・・・」

『アハハハハ!大丈夫大丈夫心配しないで!優さんを怒らせたくないし、ワタシは宇宙だからそういうことは出来ないからね!』


 宇宙とはそういうことは出来ないらしい。


「でも少し前にパステルさんは僕のお腹の中に入ってきたと思うんですが、それは合体とは違うんですか?」

『うん、あれはちょっと違うんだ、確かに君や君の家族の中に入ったけど、あれはここの宇宙に合わせた調整をしたようなものなんだ』

「調整・・・ですか?」


『そう調整、チューニングだね!元々君達は凄まじい力を持っているんだけど、ワタシの宇宙に合わせて調整が必要なんだ、まるで音に合わせる調律のように、ここの宇宙の(ことわり)にピッタリと合わせないと君達の本来の力が引き出せないんだよ』


「あっ!もしかして僕達が空を飛べなくなったことや、優が魔法を使えないのもそういうことなんですか?」


『その通り!なんというか波長を合わせるというか、フィーリングを合わせるというか、宇宙物理学的な宇宙の法則に従うというか、郷に入りては郷に従えというか、長い物には巻かれろというか・・・』


 どんどん例えが逸れて行ってる気がするが、パステルが言わんとしていることはなんとなく分かる気がする冴内だった。


『ジメンから聞いたと思うけど第一段階の修行で基本的な調整は通過しているんだ、要するに頭では分かったっていう段階だね。そして次の段階として君達は今この星で過ごすことで実際に君達のその身体の細胞レベルでこの宇宙を理解するための調整をしている段階なんだよ』


「はい、この星に来て、この星にあるものを沢山食べて身体に吸収して、めいっぱい運動することで少しづつパワーアップしてることを実感しました」


『うん、とてもうまくいっているようだね。この調子でいけば物凄い早いペースで君達本来の力を出せるようになると思うけど、どうやら君はあそこにいるヌシとかいうのと今すぐにでもやり合うつもりなんだろう?』


「まぁどうしても今すぐってわけじゃないんですけど、出来ればあそこで頑張ってる家族の皆の期待に応えてあげたいなって思っています」


『うん、いいじゃないか。家族の皆に自分のカッコイイ姿を見せつけてドヤりたいって言わないところが君の良いところだよね。暗黒四天王だったら間違いなくオレ様こそが最強!カッコイイだろ?ワルだろ?ワイルドだろ?って言ってると思うよ』


「いやぁ、僕は自分の力じゃなくて借りてる力だからとてもそんな風には言えないです」


『そこなんだよなぁ、あいつらにも見習ってほしいもんだよまったく・・・っとごめんごめん話しを逸らしちゃた、今言った通りこのままのペースで修行しても相当早いペースで強くなると思うけど、それでも冴内君が別の宇宙で活躍した程の強さに達するまでは数十年はかかるかもしれないんだ。まぁそれでも有り得ない程の成長速度なんだけど、君はそこまで待てないだろう?』


「正直に言うとそうですね・・・」


『だからさ、この宇宙を自分の身体でもっとダイレクトに感じ取れるように一時的にワタシと合体、まぁ本当は融合と言う方が正しいんだけど、合体っていった方がカッコイイと思ったから言ってるだけなんだけどね、私と融合してこの宇宙の(ことわり)をより身体で感じやすくしようと思うんだ』


「なるほど、それは是非お願いしたいです」

『いいとも!それじゃあ合体しよう!』

「ど、どうぞ!」


 大きな蛾のような姿のパステルはそのまま冴内と接触して溶けるように冴内の身体の中に入っていった。すると冴内の身体はまたしても服どころか顔の目も鼻も口も耳もなくなり、髪の毛もなくなりヒトのシルエットをしたオブジェクトとなり、身体の表面はプロジェクションマッピングで映し出されたかのようにパステルカラーの動く渦巻き模様が描かれていた。


 そして背中から羽が生えてきて空を自由に飛び始めた。さらに額のあたりからは二本の触覚が生えていた。


「やっ!なんだアレ!?」

「形は洋に見えるわね!蝶になったのかしら?」

「お父ちゃんちょうちょになったの?」

「わぁ綺麗!」


 自分の愛する肉親が顔もなく全身パステルカラーのマーブル模様になって羽が生えて額に触覚が生えているという正直どう見てもグロテスクな存在になっているにも関わらず、美衣達はそんな冴内を見てもまるで動じず、良子に至っては綺麗だと言いはじめる始末だった。


「アレは・・・なんだ?」(最後ロボ)

「皆さんは洋様だと言っておりますが・・・」(音ロボ)

「いや、それは分かるのだが、一体あの形状というか存在はどう理解すればいいのかと思ったのだ」


「あれは蝶になった洋様です!この昆虫惑星と溶け込むために自ら蝶になって、この星のことを理解しているのだと思います!」(花子)


「ウ・・・ウムそうか・・・なるほど確かにそうなのだろうな・・・きっと」


 パステルと融合合体して実にサイケデリック・アート作品状態になったパステルパピヨン冴内は楽しそうにヒラヒラと優雅に空を舞っていた。その様子は決して修行しているようには見えなかった。

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