369:真っ白ゲート消失
真っ白ゲートの事などほったらかしで石像の設置に夢中になった冴内達は石像のお礼ということでおとめ観光ホテルでしろおとめ団達に夕食をご馳走してもらうことにした。
夕食は湯豆腐鍋とすき焼き鍋と石狩鍋を皆でつついて食べた。味付けと仕込みは良美が行い、各種具材はおとめぼしで採れたものだったが、豆腐は第3農業地から届けられたものだった。現在良美は作り方を学んでいるとのことだった。
後で恵子達から聞いた話ではどうやら第3農業地から米などを定期的に運んでくる青年といい感じだそうで、良美だけでなく元子の方もお気に入りの相手がいるようだと言っていた。
恵子や温子にはお気に入りの相手はいないのかと聞いたところ、洋さんみたいな人がいれば考えるけどなかなかそんな人はいないので難しいと答えた。
夕食後は温泉大浴場で汗を流し、そのままおとめ観光ホテルの大部屋で全員川の字になって寝た。
翌朝もしろおとめ団達と一緒に朝食をとってから冴内達はリビングへと戻った。
大型ディスプレイの横には依然として真っ白いゲートが存在しており、花子に何か変わったことは起きなかったかと尋ねたが特に何も変わったことは起きなかったという返答が返ってきた。
「僕は一応今日も中に入って確認してくるけど、皆は自由にしていいよ」
「アタイは今日はニャアちゃんと一緒にミャアちゃんの星に遊びに行く予定だ」
「ボクも行きたい!」(初)
「私も!」(良)
「私は洋と一緒に行くわ!」(優)
美衣達はともかく居残りの優まで妙に張り切って答えた。理由はお察しください。
「分かった、十分楽しんでおいで。向こうに泊まる場合は花子に伝えておいてね」
「わかった!」
そうして冴内達は二手に分かれた。
美衣達はゲートを使ってニアと一緒に獣人惑星へと向かい、冴内と優はそのまま真っ白いゲートへと入って行った。
ちなみに優はさいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機に「今日は私と洋の二人だけで行ってくるわよ!」と念を押して入っていった。もちろんさいごのひとロボ4号機も音声ガイドロボ2号機もその理由は察していて冴内と優の二人きりにしてあげた。
冴内と優はある程度距離をとって探索範囲を広げて調査を開始したがさすがに昨日の今日ということで何も変化はなく、ほぼ最初からマッハ5という極超音速で飛行したので1時間もかからず行き止まりの壁まで到達した。
途中で新たな石像が出現することもなく、どこにも通路のようなものもなく、全く何もない真っ白な世界だった。
冴内が実はどこかに隠し扉があるとかだったら嫌だなぁと考えていると優が近づいてきた。
「どう?何か変わったことはあった?」
「何もなかったわ」
「・・・」
「・・・」
優は冴内にさらに近づいてきてその表情と雰囲気で冴内はすぐに察したのだが、内心では「えっ!ここでするの?」と思いつつも冴内は優からのお誘いを断ったことは一度もなく、これからも余程の事じゃない限り断るつもりもないので、久しぶりの二人きりのスキンシップに勤しんだのだが、別の宇宙にじっくり監視されてたら嫌だなぁと考えた。しかしその考えはすぐに幸せいっぱいの快楽によってかき消されてしまった。
冴内は大分ハッスルしてなかなかに疲労したが、サクランボを食べて、なんとかお昼にはリビングに戻ることが出来た。
やはり非常に良く気が利く宇宙一のメイドの花子は昼間からスライスしたニンニクをたっぷり散りばめた特上のステーキを用意していた。
冴内は大いに喜んでペロリと3枚もおかわりして食べた。ちなみにいつも以上に肌がツヤツヤでご機嫌な優はサラダとスープとパンで十分だった。
性欲と食欲を十分満たして大満足した冴内がまったりと食後のフルーツを食べていたところ、大型ディスプレイの横にある真っ白ゲートから凄まじい閃光が迸った。まるで閃光爆弾のような凄まじさだったが、一瞬でそれはおさまった。
「なっ何だ!?」
「凄い光だったわね!」
「あっ!ゲートがなくなってる!」
「あら!ホントね!」
漆黒の闇のゲートの時と同様、真っ白ゲートは跡形もなく消失しており、後には普通の壁が存在していた。冴内と優は壁をさすってみたが全くいたって普通の壁そのものだった。
冴内は若干心の中で何かしらの後ろめたさというか何か引っかかるものがあったが、都合よく頭の中から追い払うことにした。
その後、今日は宇宙連盟が保有する未開文明と接触した時のための映像資料を大型ディスプレイに映し出した。あらかじめさいごのひとロボ4号機が宇宙連盟に依頼して入手していたもので、冴内は興味深くこちらの映像も視聴した。優はさいしょの民を呼んでキッチンで料理を教えてもらっており、おやつの時間には美味しいペロイモが出てきた。
夕方近くになり大型ディスプレイで宇宙連盟の映像資料を見ていたところ、映像が一時停止されて画面には冴内 美衣という文字が表示された。
「もしもし」と冴内が言うと画面が切り替わって、美衣とその背後にミャアちゃんとニアと初と良子が映し出された。
「あっ父ちゃん、今日はアタイ達ミャアちゃんのところに泊まってく!」
「うん、分かった」
「真っ白ゲートに何かあったか?」
「何もなかったけどお昼ごろに凄く光って消えてなくなっちゃったよ」
「わっ!光って消えたのか!」
「まっしろゲート光って消えちゃったんだって!」美衣の後ろで初がミャアちゃん達に話して、ミャアちゃん達の口を丸くして驚いているとても可愛らしい表情が見てとれた。
「分かった!明日朝ご飯を食べたらまた電話する!新しいゲートが出来たら戻るけど、出来てなかったらまだ遊んでいく!」
「分かったわ!ミャアちゃん美衣達をよろしくお願いするわね!」冴内が口を開ける間もなくキッチンからすっ飛んできた優が答えた。
「はい!今度は是非優さんと洋さんも遊びに来てくださいニャ!」
「ええ!」
「それニャア失礼しますニャ!」
優は上機嫌でキッチンへと戻っていき、冴内は今日の晩の二回戦目を覚悟した。恐らく夕食も相当にスタミナたっぷりの料理が並ぶことだろう。
一方美衣達がいる獣人惑星ではちょっとした出来事が起きていた。しろおとめ・ニアの遺伝子情報から獣人族最強の伝説的英雄【ギャオウギャウウギャミィー】のものと一致する箇所が多数あるということが判明したのだ。
これはミャアちゃんこと【ミギャミャーガミャアミャア】とも血縁関係があることを意味する。
ミャアちゃんの遠いご先祖様が【ギャオウギャウウギャミィー】であり、ミャアちゃんはもう大分ご先祖様から遠い年月が離れた存在なので遺伝子情報で共通する部分は少なくなってしまったが、ニアの方はかなり共通する部分があった。
これはニアがミャアちゃんの宮殿に入った時、高齢の臣下達がニアを一目見てその面影が獣人族最強の伝説的英雄【ギャオウギャウウギャミィー】に似ていると思ったことから始まった。
臣下達はミャアとニアにどうか調べさせてほしいと懇願し、ミャアは少し申し訳なさそうな顔をニアに見せたがニアは全く気にせず「いいニャ!」と笑顔で了承した。
側仕えの侍女達がやってきて最高級ブラシでニアの毛を優しく丁寧にブラッシングし、ブラシについた抜け毛を恭しく丁重に扱って臣下達と一緒に退出していった。
そのような一幕があってニアの遺伝子情報から驚きの解析結果が出たのであった。