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365:祭りの後

 いよいよ大結婚披露宴パーティーのメインイベントであるウェディングケーキの入刀式となり、さすがに巨大龍の二人に入刀は難しいので、神代と誠の二人が行うことになった。


 恐らく事前に打ち合わせていたと思われるが、力堂達が二人用パラグライダーやパラシュートなどで用いるハーネスで神代と誠を固定して、誠が重力制御マントで飛行してセンタータワーケーキの真上に浮遊し、最上段にある入刀用の小さなケーキに二人でナイフを差し入れた。


 そのタイミングで花火が打ち上げられ、野外会場は大歓声に包まれた。


 すぐに小型汎用作業支援ロボ達がやってきて、ウェディングケーキを綺麗にカットし、会場にいる人々に配って回った。


 クリスタル星人や機械人など一部の宇宙人を除いて、ケーキを口にした人々はそのあまりの美味しさに衝撃を受け、めでたい席でもあるのでまさに飛び上がってその美味しさを身体で表現した。


 りゅう君も龍美もあまりの美味しさに思わず咆哮してしまう程で、一緒に名誉会長のグワァーオーゥゥやオジサン達まで咆哮した。


 まさにメインイベントに相応しい大盛り上がりで、野外会場は拍手喝采と大型龍の咆哮と打ち上げ花火の音で騒然となった。


 ようやく厨房から出てきた美衣と良美をしろおとめ団達が取り囲み、ねぎらいと賞賛と感謝の言葉をたっぷりと二人に浴びせた。


 2日間に渡って繰り広げられた大結婚披露宴パーティーもグランドフィナーレとなり、りゅう君と龍美とハーネスで繋がった神代と誠が上空を飛んで周り、空からクッキーをばらまいた。


 あちこちから祝福の声が投げかけられ、りゅう君と龍美は冴内が瞬間移動で駐在所のある富士山麓ゲート世界の山まで連れて行き、神代と誠はそのままホールケーキセンターの方に飛んで行ってゲートを通過しておとめぼしへと向かって行った。


 野外会場では一大イベントが終わった寂しさを感じつつも、それでも素晴らしいイベントだったと余韻を楽しみながらそれぞれ各宇宙へと戻っていった。もちろん多くの宇宙人同士が外交や貿易などで近いうちの再開を約束して戻っていった。


 りゅう君と龍美を送り届けた冴内もすぐに戻ってきて、地球から連れてきた人達を富士山麓ゲート研修センターへと送り届けた。


 そしてまたすぐに戻ってきて、冴内達としろおとめ団達はこれからがお楽しみの時間となった。それはずっと裏方に徹してきたスタッフならではの特権で、早速全員で厨房に戻るとそこには宇宙各国から選りすぐりで集められた超一流料理人達が作った料理がズラリと並べられていたのだ。


 もう全員腹の虫が大合唱しており、冴内達は遠慮なく誰の目も気にせず思う存分最高のご馳走にありついた。もちろん美衣と良美も純粋に料理を楽しみながらも一流料理人達の技を学んでいた。


 野外会場では屋台や催し物などを出していたスタッフ達が各汎用作業支援ロボ達の助けを借りて片付けと撤収作業を行っており。さらに別の汎用作業支援ロボ達が清掃活動を行っていた。


 静かになった大きなキッチンでは冴内としろおとめ団達だけとなり、黙々と絶品料理を食べ続けていたのもひと段落し、お茶とウェディングケーキの残りを楽しみながら談話していた。


「なんだかちょっと寂しくなりましたね」(冷香(れいか))

「あれだけ賑やかでしたからね」(るき)

「でもとっても良かったニャ、龍美姉ちゃんも誠姉ちゃんもすごく幸せそうで良かったニャ」(ニア)

「オイラ、じゃない、アタシも結婚したくなったっぺよ」(元子(もとこ))

「あぁ・・・結婚っていいもんだなぁ・・・」(温子(あつこ))

「「「 ウンウン 」」」

 珍しく恵子(けいこ)がツッコミを入れることなくしみじみと頷いていた。


「さてと・・・神代夫妻をもてなしに行くとしますかね」(える)

「そうだな、一応案内ロボットがいるとはいえ、二人ともほったらかしにしておくわけにはいかないしな」(拓美(たくみ))

「ケシシシ、二人でお盛んなことになってるかもしれないぜ」(恵子)

「バカ!お前はまたそういう下品なことを言いやがって!」(温子)

「ケシシシ!顔が真っ赤だぜ」(恵子)


「夜とお風呂は二人きりにさせてあげた方がいいわよ!」(優)

「へい姐さん!その通りに致しやす!」(恵子)


 そんなやりとりがありながらも初がウトウトし始めたので皆解散することになった。


 しろおとめ団達はおとめぼしに戻っていき、冴内達はそのままホールケーキセンター最上階の冴内達専用ルームに戻って休むことにした。


 人がいなくなったあちこちの場所で汎用作業支援ロボ達が夜通しで清掃活動を行っていた。


 遠くで一人老人の姿でたたずんでいたみんなのほしはとても満ち足りた表情で頷きながら、フェードアウトしていった。


 こうして2日間に渡って繰り広げられた大結婚披露宴パーティーは完全終了したのであった。


 明けて翌日、昨日食べきれなくて宇宙ポケットに格納していた温かいままのご馳走を取り出して、冴内達は朝から豪華な食事を楽しんだ。


 腹も膨れて満足した後で、冴内達は野外会場やそれ以外のあちこちの場所を見て回り、とても綺麗に清掃が完了しているのを確認した。


 この野外会場は地球、宇宙連合、宇宙連盟にこれからは自由に交流の場として使って良いとアナウンスしており、それだけでなくホールケーキセンターや豆腐ハウスも解放した。最上階の冴内達専用ルームですら、今後は予約制の貴賓室として解放すると宣言し、宇宙各国から絶賛された。さすがに冴内専用ルームはそのままの方がいいのではないかとあちこちから遠慮の声もあがったが、冴内には瞬間移動能力があるので、いつでもどこからでもさいしょのほしの冴内ログハウスに戻れるので構わないと言って、納得してもらった。


 早速物産展を開きたいという申し出が沢山出て、ホールケーキセンターの中央管理システムは専用の受付AIと予約管理システムを作り上げ、開始早々向こう半年分の予約がすぐに埋まった。


 これからますますみんなのほしは、その名の通り宇宙各国みんなの星となるだろう。


 そんな様子に十分満足した冴内はさいしょのほしへと瞬間移動してリビングへと戻った。


「お疲れ様でした冴内様!」(花子)

「ただいま!花子もお留守番ご苦労様!」

「大変素晴らしい結婚披露宴パーティーでした!」

「うん、大成功で良かったよ。何より皆幸せいっぱいの笑顔を見せてくれてとっても良かった」

「そうですね!皆さんとても幸せいっぱいのお顔でした!私もさいしょの民の皆さんも幸せな気持ちになりましたよ!」


「アタイも結婚したくなった!」

「私も!」(良)

「ボクも!」(初)


 美衣と良子はさておき、星である初は結婚など出来るのだろうか。


「さて、壁はまだ・・・うん、壁のままだね」

「はい、特に何も起きませんでした」

「まぁ結婚式も無事終わったことだし、これからは別の宇宙さんの件に集中できるね。とはいえ今の僕等には何も出来ることがないから、待つことしか出来ないけど」


「そういえば、暗闇の中で過ごした時の解析結果はどう?」

「うむ、大気の組成成分、重力、スライムの構成要素、空間の大きさぐらいしか分からなかった。そしてそれらの結果からこちらの宇宙とそれ程大きな違いはないという結論に至った」

「そうなんだ、でも僕の瞬間移動や優の魔法は使えないんだよね」

「そう、そこなのだ。君達のステータスデータにある特殊能力というのが何かの手がかりのような気もするが、君等が弱体化したことも含めて、そうした部分の相違が分からないのだ」

「壁もなくなっちゃったことだし、僕等だけじゃどうすることも出来ないし、別の宇宙さんから何かしら連絡があるまで待機するしかないね」

「うむ・・・残念だがそうする他あるまい」


 ともあれ冴内達はりゅう君と神代の結婚式と大結婚披露宴パーティーという重要イベントを無事終了することが出来たので一安心し、以後は別宇宙からの対応に全集中することが可能となった。


 果たして別の宇宙は一体今何をしているのだろうか・・・

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