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363:大宇宙交流会

 みんなのほしの野外会場は大変な盛り上がりを見せて、多くの宇宙人達が思い思いに楽しんでいた。


 一応名目上は結婚披露宴パーティーではあるのだが、既に宇宙万国博覧会といった様相で、宇宙各国の選りすぐりの料理や特産品に名産品などがズラリと並び、どこも大盛況だった。


 当然美衣の作った料理には長蛇の列が出来て、一口食べてあまりの美味さに泣き出す者や大声を出して大絶賛する者までいた。


 他にも展示品コーナーも大盛況で、宇宙人同士で何やら交易に関する話しをしている者達もいた。


 我が国ニッポンも日本刀と何故か干し柿と干し芋が大人気で是非我が星と取引させてくれという宇宙人達がひっきりなしに訪れた。


 しろおとめ団達も大活躍大人気で、あちこちで引っ張りだこだった。


 そんな中、獣人惑星のお姫様であるミャアちゃんこと【ミギャミャーガミャアミャア】がしろおとめ・ニアを見て、是非ともご挨拶したいと側近に言ってニアと対面すると、側近達もミャアちゃんもニアの面影にかつての大英雄【ギャオウギャウウギャミィー】の姿を感じ取り、今度是非とも我が星に訪ねて来て欲しいと願い、ニアは快く引き受けた。


 また別宇宙の宇宙連盟司令長官ゴスターグ・バリディエンシェ及び他の要人達と宇宙連合の各代表達がしろおとめ・るきの完璧な同時通訳の元で互いに挨拶をかわし、これからの友好条約締結に向けて話し合った。絶品料理を食べながらの会談なのでとても和やかに話しは進んだ。


 これまでゲートに入れなかった地球の人々も最初はかなり恐縮萎縮していたが、各々あちこちの宇宙の展示品コーナーや催し物コーナーを見て回り、他の宇宙人達に挨拶して回った。


 報道関係各社もどこを映してもあらゆる場所が特大のネタだらけなので、何をスクープしてよいのか混乱する程だった。


 当然この模様は三つの宇宙全てにライブ配信されており、人種を問わず多くの人々宇宙人達がこの様子を見ていた。


 日本にいる冴内の家族も、さいしょのほしにいるさいしょの民達も、惑星グドゥルにいる人々も皆この様子を見て胸をときめかせていた。ちなみにさいしょの民達は一緒になってお祭りを開いて踊ったり物々交換バザーを開いたりしていた。


 ステージ上では一応の主役ということで、神代とりゅう君の二組のカップルが並んでおり、お祝いの言葉を言う宇宙人達の列が出来ていた。


 神代はこれまで映像でしか交流出来なかった宇宙人達と直に会って触れ合うことが出来て感激した。


 すぐ横にいるりゅう君といい、クリスタル女王といい、本当に実物が自分のすぐ側に実在しているのである。冴内という存在が現れてからわずか1年半で神代の人生は大きく変わった。いや地球と別々の宇宙規模で大きく世の中は一変した。今まさにその当事者としてその場に立ち会えることに至上の喜びと感動、そして人生を共にする美しい人との幸せを噛みしめていた。


 そんな宇宙規模で多くの人々と星々に影響を与えまくっている当事者の冴内は普通に冴えない一人の給仕のように美衣の作った料理をせっせと運んでいた。普通にしていると本当に全く目立たない容姿なのでほとんど誰からも相手にされず黙々と料理を運んでいた。


 というのも、料理の美味しさや様々な珍しい特産品のみならず多種多様な宇宙人達が多くいるものだから、皆そちらの方に目が行ってしまいただでさえ普段は目立たぬ容姿の冴内に気が付かなかったのである。


 とはいえ、優と良子の美しさと初の可愛さだけは隠しようがなく、美衣の料理の超絶な美味しさと相まって、美衣の料理スペースは衰え知らずの大賑わいだった。


 広大な野外会場には様々な宇宙からの料理や名品が多くあるので、とても1日では全てを食べて見て回ることは出来ず2日間の開催にして正解だった。


 1日目の夜は盛大な打ち上げ花火の代わりとして冴内が太陽になって夜空に美しい天体スペクタクルショーを見せて大喝采の中幕を閉じた。


 一応いくつかの屋台は夜通し営業して夜も楽しむ客達のために飲み物や食べ物を提供した。


 当然宇宙を代表する要人達なので、酒に酔って暴れたり喧嘩するような者達はいなかった。そもそも宙に龍が浮いていたり、巨体の獣人や全身何かの兵器のような機械人などもあちらこちらにいるので、犯罪抑止力としては十分以上の効果があった。


 ゲートですぐに帰れる人達はいったん戻り、それ以外の人々はホールケーキセンターとその周辺に大量にある豆腐ハウスに寝泊まりした。豆腐ハウスもホールケーキセンターもほとんど空室なので全員が余裕で自由に好きな場所に宿泊出来た。


 その際ホールケーキセンター内の超大型高性能演算装置によるシステムセンターが全ての施設に対してそれぞれの言葉で丁寧に宿泊施設の施設利用説明を行ったので生活様式の違いによるトラブルは一切発生しなかった。


 神代達一般地球人もホールケーキセンター内の宿泊施設を利用したのだが、完璧な日本語で何不自由なく説明されて神代の親類縁者は全員英語を流暢に話す程ではあったがこれには非常に驚いた。


 冴内達はホールケーキセンター最上階の冴内達専用ルームに久しぶりに泊まった。窓からは野外会場ステージの明かりが見えた。


 こんなに楽しく盛り上がっているお祭りの中、さいしょのほしでお留守番をしてくれている花子からは特に異常はなく、さいしょの民達がみんなのほしのお祭り騒ぎを見て彼等も楽しくお祭りしているのでこっちも賑やかで楽しいですと報告があった。


 一日中キッチンに籠って料理し続けた美衣はグッスリ眠っており冴内達もすぐに寝た。


 二日目の朝も美衣はガバっと起きて早くから仕込みと料理作りに勤しんだ。朝食は優達が同じ厨房内の空いてる場所で作って美衣と良美は煮込み料理の合い間に交代で火加減を見ながらササッと食べてまたすぐに料理に戻った。


 あちこちで2日目開始の打ち上げ花火が鳴り、今日も大忙しになるぞと厨房内のあちこちで檄が飛んでいる声が聞こえた。


 なんといっても今晩の目玉は二組のための特大ウェディングケーキでメインタワーを美衣が作り、その周りのタワーケーキを他の宇宙代表の選りすぐりのパティシエ達が作るのである。


 美衣と良美は普通の料理の一流シェフのみならずパティシエでもあるので、昼までは通常のもてなし料理を作り、さらに午後からほぼ休みなしでウェディングケーキを作らなければならないのだ。これは料理の腕だけでなく体力も相当になければならず、美衣と良美が超人だからこそ為せる業だった。


 優と良子と初は美衣の料理を楽しみにやってきた宇宙人達に料理を対面の笑顔で配膳してもてなし、冴内は小型汎用作業支援ロボと共に美衣の料理をひたすら運んでいた。冴内は単なるスタッフにしか見えず誰からも声をかけられなかった。


 2日目も大勢の宇宙人客で賑わい、各屋台も特設催し物会場も名産品、物産品、特産品の展示コーナーも、とにかく至るどころどこもかしこも大盛況だった。やはりあちらこちらで宇宙人同士の商取引も盛んにおこなわれており、経済界の重鎮や政府の高級官僚と思われる人物たちが活発にやりとりしていた。


 異なる宇宙同士のコミュニケーションにはしろおとめ・るきだけでなく、各地に配置されている特別な端末を使って互いに交代で話して翻訳させて意思疎通を図っていた。これはあらかじめ音声ガイドロボ2号機が各宇宙人達に通達していたものである。また小型汎用作業支援ロボもある程度は翻訳することが可能で、簡単な会話は小型汎用作業支援ロボが代行し、重要な取引内容になりそうな場合は別の小型汎用作業支援ロボと連携して翻訳端末を持ってこさせた。


 2日目ともなると神代達地球人代表も慣れたもので、他の宇宙人の高官達と文化交流や物的及び人的資源に関する情報交換も行うようになっていた。その場にはしろおとめ・るきが同時通訳者として活躍していた。


 結婚披露宴パーティーというよりはまさに大宇宙交流会といった状況だった。

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