357:行き止まり
6日目の朝、昨日同様に全員気分爽快肌のつやもピカピカで起床した。
やはり朝から気力も体力も闘志もみなぎっているようで、今朝の朝食も恐竜肉の特上ステーキを何枚も食べた。
「今日が最終日じゃないけど、一応今日は今回の遠征で行けるところまで行く最後の日だ!皆!今日も1日頑張ろう!」
「「「 オォーッ!! 」」」
普段ほとんど激を飛ばしたことがない冴内が、珍しく意気込み強く激を飛ばし、他の皆も力強く応じた。
「なんかこれまでよりも速く動けてる気がする!」(美)
「ボクも!」(初)
「そうだね!」(冴内)
さいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機には冴内達の実際の速度が分かっており、絶対的な速度数値というよりも、冴内達は体感的にこれまでよりも軽やかに動けているという意味で言っているのだということで理解した。実際最大速度というよりも加減速の動きが明らかにクイックでシャープになっていた。
「スライム発見!昨日よりも少し強い!」(美)
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ミラクルスライム
生命力:100
特殊力:100
攻撃力:10
防御力:10
素早さ:10
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「どうする父ちゃん!アタイ一対一でやってみたい!」(美)
「ボクも!」(初)
「分かった!でも気を付けてね!」(冴内)
「「「 了解ッ! 」」」
全員スピードを緩めるどころかさらに加速してそのままスライムに激突に近い攻撃をした。スライムも負けじと彼等に体当たりしてきた。
ボチュン!
冴内達は各自渾身の一撃に近い力加減で激突したので、スライムは一撃でいったん消滅したがやはりすぐに生き返った。
冴内達は激突攻撃の勢いでスライムに背中を見せており、スライムには背中という概念がないのでガラ空きになった冴内達の背中めがけて体当たりをしてきたが、冴内達は動きを止めることなくあらかじめスライムがすぐに生き返って反撃してくることを予想して、スライムの体当たりを横にステップして躱したり、宙返りして躱したりした。
そして体勢を整えて距離をとり、動きは早いが相変らず直線的な体当たり攻撃を見切って各自ミラクルスライムを撃退した。生き返ったミラクルスライムの撃退には2回の全力攻撃が必要だった。
「フゥフゥ・・・またちょっと・・・疲れるのに戻ったけど・・・何とか一人で倒せた!」(美)
「ハァハァ・・・ボ・・・ボクも!」(初)
冴内達は美衣のところに集まって美衣が宇宙ポケットから取り出したチェリースライムゼリーを食べて元気を回復した。
「あ~美味しい~スッキリした~」(美)
「これで残りはあとひとくち分だね」(冴内)
「チェリースライムゼリーがなくなったら次はピーチスライムゼリーを食べるの?」(初)
「そうだね、でもほんの少しかじるだけでも元気になると思う」(冴内)
「そしたら結構長持ち出来るわね」(優)
「うん、どれくらい効果があるのか次第だけどかなりもつと思う」(冴内)
冴内達はチェリースライムゼリーをひとくち食べた後すぐに進撃を再開した。
次のスライムも同様にして倒した冴内達は最後のチェリースライムゼリーを食べて元気が回復し、さらに次の3匹目のミラクルスライムを倒したところ、早くもレベルアップした。
♪ファァァ~~~ンッ
「あっ!まだ今日は3匹しか倒してないのにレベルアップしたよ!」(初)
「きっと強いスライムを倒したからだ!」(美)
「そっかぁ~」(初)
「「アハハ!」」(美&良)
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冴内 洋
21歳男性
レベル:9⇒10
生命力:230⇒300
特殊力:230⇒300
攻撃力:9⇒10
防御力:9⇒10
素早さ:9⇒10
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「これでまたミラクルスライムと同じ強さになったね、多分またラクになると思うよ」(冴内)
「うん!ボクまだスライムゼリー食べなくても大丈夫!」(初)
「アタイもだ!きっと今レベルアップしたから疲れが取れたんだ!」(美)
「それじゃ進もう!今日が探索最後だから行けるところまで行ってみよう!」(冴内)
「「「 りょうか~い! 」」」
さらに進撃を続け次のスライムに対峙したが、予想通り先ほどまでの疲労はなく、通常のサクランボを一粒食べるだけで元気になったので、ピーチスライムゼリーの出番はなかった。
そうして朝から累計して10匹目のスライムを倒したところで冴内達はまたレベルアップした。
♪ファァァ~~~ンッ
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冴内 洋
21歳男性
レベル:10⇒1★
生命力:300⇒1★
特殊力:300⇒1★
攻撃力:10⇒1★
防御力:10⇒1★
素早さ:10⇒1★
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「あっ!何だコレ!?表示が変わった!」(冴内)
「ボク弱くなっちゃったの!?」(初)
「アタイもだ!数字が小っちゃくなった!」(美)
「でもなんか数字の後ろにお星さまのマークがついてるよ!」(良)
「ホントだ!」(初)
「どういう意味かしら?」(優)
「分からないけど・・・弱くなったってことはないと思うけど・・・」(冴内)
「スライムと戦えば分かる!」(美)
「そうだね、もうお昼の時間だけどもう1匹だけ倒しに行こうか。だけど僕達が本当に弱くなった可能性もあるから、皆僕の所に集まって!」(冴内)
「「「 了解ッ! 」」」
全員冴内の元に集まり、集団で次のスライムを倒しに移動した・・・のだが・・・
「あっ!行き止まりだ!この先は壁だってマップに表示されてる!」
「ホントだ!」(初)
「ホントだ!行き止まりだ!」(美)
「えっ!これでお終いなの?」(良)
「左右に分かれて通路がないか確認してみたら?」(優)
「そうだね、僕と優は右、残りは左に行って通路がないか確認しよう!」
「「「 了解! 」」」
冴内達は二手に分かれて移動したが、結局左右の壁に突き当たるまで全く通路などなく壁のままだった。冴内達は引き返してちょうど真ん中で集合した。
「本当に行き止まりだね、ここから先はないみたいだ。えっと、ちなみに今入り口からどれくらいの距離にいるか分かる?」
「うむ、ちょうど5千キロの地点だ」(最後ロボ)
「ピッタリ5千キロ?」
「うむ、壁から壁の距離が丁度5千キロだ」(最後ロボ)
「それだけピッタリの数字ってことは、やっぱりここまでで終わりみたいだね」
「どうする?父ちゃん」(美)
「うーん・・・まずはここでお昼にしようか」
「「「 さんせー! 」」」
これ以上進めないようなので冴内達は探索を終えてここで昼食をとることにした。
昼はお好み焼きを作って食べた。海鮮を具材にしたものと肉を具材にしたものなどを数種類作ってたらふく食べた。
「やっぱりここはまだ未完成なんだと思う」(冴内)
「別のうちゅうじんさんもいなかったね」(初)
「そうだね、ゲートが出来たらそこで会って話しをするって言っていたけど、6日経ってもまだいないってことはまだゲートが出来ていないんだよきっと」
「最初私達が中に入れなかったのはまだゲートが出来ていないからかもしれないわね」(優)
「なるほど、僕だけ手違いか何かの理由でたまたま入れちゃったのかもしれないな・・・それならもうここにいても仕方がないから、午後からは家に戻ろう」
「「「 りょうか~い 」」」
結局最初から最後まで漆黒の闇の中は真っ暗闇のままで、出てくる生き物も最後までスライムだけだった。果たして本当にここは未完成のゲートなのだろうか?