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352:危険な実験

 試練の門から勝手に持ち出してきたヤバイ成分入りのサクランボを投入した風呂に浸かり、かなりパワーアップしたチェリースライムを久しぶりに結構な本気の力でようやく撃退した冴内達は各々感想を述べた。


「前よりも強いぞ!」(美)

「うん、速さも頑丈さも一段上だと思う」(良)

「でも、攻撃パターンは変わらず、ただ体当たりしてくるだけね」(優)

「うん!ボク全部よけれたよ!」(初)

「そうだね、体力は上がっているけど技っていうか戦い方は変わらないみたいだね」

「これなら戦えるぞ!」(美)

「よし、それじゃ今日もどんどん進もう!」

「「「 りょうかーい! 」」」


 進撃を再開して30分も経たずに次のチェリースライム達が出現し、冴内達はしっかり2発を当てて撃退するか、最初からかなりの力で一撃で撃退したりした。


「あっ!ゼリーが出たよ!」(冴内)

「ボクも!」(初)

「アタイは出なかった」(美)

「私も出なかった」(良)

「私も出なかったわ」(優)

「父ちゃんどんなゼリーなんだ?」(美)

「うん、見てみるね」


-------------------

チェリースライムゼリー

効果:食べると心も身体も元気になって疲れが取れる。中程度の病気や怪我も治る。

-------------------


「あっ、なんかさらに効能が良くなってるよ」

「ホントだ!」(初)

「味もさらに美味しいといいなぁ」(美)

「多分もっと美味しくなってると思う!」(良)

「今晩食べるのが楽しみね!」(優)


 冴内達はさらに進撃を続け、今日も5時間程進んで距離もおよそ500キロ近く進み、各自チェリースライムを10匹倒したところで全員レベルアップした。


♪ファァァ~~~ンッ


「あっ!レベルアップだ!」

「アタイも!」(美)

「ボクも!」(初)

「私も!」(良)

「私もよ!」(優)


-------------------

冴内さえない よう

21歳男性

レベル:4⇒5

生命力:30⇒50

特殊力:30⇒50

攻撃力:4⇒5

防御力:4⇒5

素早さ:4⇒5

-------------------


「チェリースライムの倍以上は強くなってるから、午後はもう少しラクに戦えるかもしれないね」

「うん!ボクがどれくらい強くなってるのか楽しみ!」(初)


 ここで、レベルアップを実感したいからもう一匹倒してから昼食にしたいと言う者が一人もいないところが、冴内達らしいところだった。ある意味これは功を焦らずしっかりとルーティーン通りに行動する力堂達のような一流のプロフェッショナルのようでもあった。


 まぁ実際のところはレベルアップよりも美味しい食事を食べることの方を重要視しているだけなのだったが。


 ちなみに今日の昼食のメニューはシーフードパスタでホワイトクリーム派とトマトソース派に別れて作ったが、結局全員おかわりしてどちらの味も堪能したのでどちらかの派閥に別れて派閥争いを繰り広げるようなことは一切なかった。


 食休みをしっかりとって進撃を再開したが、残念ながらチェリースライムは現れず、通常のスライムしか現れなかった。


「さすがに遠くのスライムはお風呂まではやってこないみたいだね」

「うん、でも普通の力でも一撃で倒せるようになったぞ」(美)

「ボクも!」(初)

「私も!」(良)

「私も二刀流じゃなくても倒せるわ」(優)


 その後前日同様4時間程度進んだところで今日の探索活動を終了した。ゲートからは距離にして約2700キロというところで、明日の午後には日本の端から端までの距離を移動したことになるだろう。


 夜はスキヤキ風鍋を作ったが全員かなりの大食漢なので一応具材や味付けはスキヤキではあったが、見た目は何かのイベントか災害支援時の炊き出しのような巨大な鍋で作られていた。

 とはいえ食材はタップリあるので肉を取り合う醜い争いは起こらず、全員肉以外の野菜や豆腐などもまんべんなくしっかり食べた。

 そうして全員満腹満足幸せいっぱいの笑顔で食休みをしていたところ・・・


「父ちゃん、今日のお風呂には何を入れるんだ?」(美)


 この時誰よりもワクワクしていたのは、実はさいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機だった。


「そうだなぁ・・・今日は・・・ちょっと危険な気がするけど・・・」


「「「 ・・・ゴクリ 」」」


「少しだけ・・・少しだけ桃を入れてみようかと思うんだけど・・・どうかな?」


「桃か!」(美)

「桃?」(初)

「えっ!桃入れるの!?」(良)

「大丈夫?洋」(優)

「・・・やっぱり、危ないかな・・・」

「いや!試してみたい!」(美)

「ボクも!」(初)

「う~ん・・・危ない気もするけど・・・でも私も知りたいかも」(良)

「潰して薄めたら大丈夫じゃない?」(優)

「そうだね、でも出来ればそのまま入れてみたい」

「さんせい!さんせい!」(美)

「ボクもさんせい!」(初)

「大丈夫かしら・・・」(優)


 ようやくさいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機以外で反対意見に近い意見が身内から出た。これこそが真っ当な常識人の反応である。


「1個だけならどう?」

「そうね、1個だけならいいわね!」(優)


 残念ながら反対意見は幻と消え去った。


 さいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機は何故か安堵する心があることに内心で驚いていた。


 そうして今日のお風呂はかなりヤバイ効能のある桃を投入したお風呂となった。


 桃は1個しか入れていないのに甘い香りが漂い、昨晩よりもさらに心地よい気分になって湯に浸かり、まるで全員出来上がった酔っ払いのオヤジか恵比寿様のような上機嫌な顔になり、皆盆踊りの歌を歌い始めた。


 さいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機はそんな冴内達の様子を見て、これは結構危険なのではないかと思ったが、またしてもどうしようもなく好奇心の方が勝り、黙って興味津々で行く末を見守っていた。


 すると昨日よりも早い段階でスライム達がやってきて、躊躇することなくポチャンポチャンと次々に入浴してきた。

 そんな様子を見て冴内達も実に愉快な気分になりアハハアハハと笑っていた。いよいよもってかなり危ない光景だった。


 それでも特におぼつかない足取りということもなく、ただ単に上機嫌で鼻歌交じりで各自身体と髪を洗い昨晩よりも既に結構な数のスライムが入っている湯に浸かってから入浴を終了した。


 入浴後に冷やしたチェリースライムゼリーを食べたところ全員起立して「うんめぇーっ!」と絶叫したが、入浴していたスライム達は全くそんな様子に警戒することなく桃入りお風呂の湯舟に気持ちよさそうに浮かんでいた。


 その後全員で歯を磨いてベッドを設置して、横になった途端すぐに熟睡した。

 昨日よりもポチャンポチャンという音が多くした気がした。


 明けて翌朝、久しぶりに朝食はトーストのモーニングセットを食べた。ベーコン風味の恐竜肉をカリカリに焼いて、冴内ログハウスの庭で飼っている巨大ニワトリの卵でスクランブルエッグを作り、同じく放牧している大人しくて大きいモフモフの4つ足から採れた乳と、ほとんど養蜂業を営んでいるかのような量産型花子達によるハチミツを使ってハチミツホットミルクが用意された。


 いつもの和食の朝食と異なり新鮮な味わいで、冴内達は今朝もタップリ朝ご飯を完食した。

 辺りは相変らず真っ暗闇なのだが、冴内達はお腹いっぱい元気いっぱい気力体力充実して今日の探索のやる気も満々となり準備完了となった。


 昨日仕込んだ桃のお風呂に入ったスライムが果たしてどうなっているのか知りたくて皆一様にワクワクしていたのだ。

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