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349:第一次遠征開始

 いよいよ今日から本格的に泊まり込みで暗闇世界の探索を開始するということで、冴内達はワクワクして夜はまともに眠れなかった。


 ・・・ということは全くなく、いつも通り全員ベッドに横になった途端にすぐにスヤスヤと眠り、その代わり朝はいつもより少しだけ早く起きた。ちなみに時刻は午前4時少し前である。


 美衣と優がはりきって朝食を作り、その間に冴内と良子と初とさいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機と花子はそれぞれ昨晩のうちに製作していた様々な装置を宇宙ポケットに格納していった。


 朝食の準備が整い、各自今日からの探索に胸を躍らせてあれこれ会話しながら食事を楽しんだ。


「それじゃ留守はお願いするね花子!」

「はい!皆さんお気をつけていってらっしゃいませ!」

「「「いってきまぁ~す!」」」

「いってらっしゃぁ~い!」


 といっても、玄関での見送りではなくリビングでの見送りというところがなんともシュールな絵柄だった。しかも見送られる側は壁の中に入って行くという異様さ加減である。


 暗闇に入るなり、早速さいごのひとロボ4号機はゲート内のすぐ目の前にとある装置を置いた。


「それは?」

「うむ、毎晩花子に定時連絡を行うためのデータ送受信装置だ、これから1日ごとの最大到着地点に同じ機械を設置して、機械ごとに中継リレーさせてゲートへと通信文を送る。特殊な波形の電波を送ることでこの暗闇の世界内でシンプルな文字情報程度ならやりとりすることが可能になる」

「昨日言ってたやつだね!さすが!」

「よし、設定完了。出発準備完了だ」

「分かった、それじゃいつも通りに進もう!」

「「「 りょうかぁ~い! 」」」


 今日からは右から良子、優、冴内、初、美衣の順に五人一列に並びローラー作戦で前方に進んだ。そのために新たにドローンをもう一台作成して全員の前方を進ませた。さいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機は冴内達の後方をついて行った。


 朝食を食べたのが午前4時台だったので9時少し前に豆モチを間食として少し食べて、さらに3時間後に昼食の準備を開始した。昼食はなんと天ぷら付きのざるそばだった。


「わぁ!ざるそば久しぶり!まさか暗闇キャンプでざるそばを食べられるとは思わなかった!」

「昨日のうちにお母ちゃんと一緒に手打ちで作っていたんだよ!」(美)

「やった!最高だよ!二人とも有難う!」

「「ありがとう!」」(良&初)

「「 どういたしまして 」」(優&美)


ズルズルズル~~~ッ!

「うんめぇ~~~!!」

「アハハハ!父ちゃんたすけてすけみたいだ!」

「アハハ!美衣ったらたすけてすけじゃなくて、たつのすけよ!」

「そっかぁ~」

「「「 アハハハハ! 」」」


 ちなみに何度も書くが、ここは完全に真っ暗闇の世界である。一応各自のドローンの照明で冴内達が座ってるところだけ明るく照らされているが、それ以外は辺り一面地面も含めて漆黒の闇である。そんな中でも周りの暗闇とは完全に真逆で対照的に明るく笑っている冴内達であった。


 午前中はおよそ7時間で距離約600キロ超程進み、あともう少しで全員レベル3になりそうだった。冴内の時よりも若干遅いのは5人横になっているため、一人当たりのスライム遭遇確率が下がっているためであるが、誰一人としてレベルアップを急ぐ者はいなかった。


 午後も冴内達は進み続け、途中午後3時におやつの豆モチを食べてからさらに進み、午後6時近くまでスライムを倒しなが進んでいった。その頃には全員レベル3になった。もちろん能力値は冴内の時と一緒だった。


 優と美衣は食事の支度をし始め、冴内はベッドとお風呂とトイレを設置し、良子と初はごみ処理装置とお風呂の洗い場を設置し、さらに排水や汚水を処理する装置を各設備に接続した。


 さいごのひとロボ4号機は花子と定時連絡を行うための送受信機を設置し、今日の行動内容を入力して送信した。音声ガイドロボ2号機は各種センサーを搭載した自動巡回型早期警戒装置を10機近く作動させた。


 野菜や果物の皮やその他の食料ごみはごみ処理装置に捨て、キッチンの流し台で使った水は一体どこに排水されているのか、それとも分子レベルで分解されて循環されているのか全く分からない仕組みでどこにも排出されないのでキッチンには排水装置は接続しなくても良かった。


 良子が用意した排水設備はお風呂の洗い場とトイレで使われるようになっていた。


 まずお風呂のすぐ近くに壁も天井もない洗い場が設置された。お風呂に大きな蛇腹形状のホースを突っ込み、ポンプ内臓給水装置を通過して5つのシャワー台に送られる作りになっており、15センチ程の厚みがある床があり若干傾斜していて両サイドには溝もあり、傾斜に沿って水が流れていき排水装置へと繋がっていた。


 トイレの方も小さなホースをお風呂に突っ込んで使い、温水シャワー洗浄機能付きトイレとなっていた。もちろん冴内の強い要望によりこちらはお風呂の洗い場と違ってしっかり壁や天井がある個室になっており、消臭換気機能もついている。そしてトイレはまず汚水処理装置と接続して、そこからさらにお風呂の洗い場も繋がっている排水処理装置と繋げた。


 全て簡易的な装置とはいえ、ここまで衣食住設備が揃うとキャンプという雰囲気はなかった。そもそも辺り一面真っ暗闇という時点でおよそキャンプと呼べるものではなかったが。


 夜の献立はキャンプらしくカレーライスだった。日本全国津々浦々のスーパーで手に入るメジャーな食品メーカーのカレールーを元に、肉と野菜をゴロゴロと大き目にカットしてタップリ入れて、さらに美衣シェフの隠し味が加えられた冴内家のオリジナルカレーだった。


「うまっ!うまっ!うまぁ~っ!これ美味し過ぎて止まらないよ!」(冴内)

「ボクおかわり!」(初)

「えへへ!あいよ!」(美)

「洋もおかわりいる?」(優)

「うん!僕もおかわり!」(洋)

「ニッポンのスーパーで売ってるカレールーってすごく美味しいよね!」(良)

「そうなんだよ。工場で大量生産されてるのに凄いレベルが高くてアタイもとても感心する。お菓子もそうだがニッポンのレベルは凄い!」(美)


 そうして冴内達は満足するまで腹一杯カレーを食べて堪能した。腹一杯カレーを食べた後に一杯出す物があってもしっかり温水水洗トイレがあるので何の心配もなかった。


 食休み後は1日の疲れをいやすため、試練の門から無断で勝手に誰の許可もとらずに持ってきた風呂の湯船に浸かった。この風呂は疲労回復や怪我の傷や痛みなども除去する最高の風呂だった。


「あぁ~・・・いつもよりとっても気持ちいい気がする~~~」(初)

「お父ちゃんが言ってた通りスライムを倒すととても疲れる。ここのスライムは強い!」(美)


 ちなみに全員例のサクランボを何粒かポケットに入れていたのでスライムを何匹か倒した後は各自適宜サクランボを食べてリフレッシュしていた。それでも身体の芯に蓄積された疲労には風呂の湯がとても心地よかった。


 そうして冴内達が気分良く風呂に入っている時の事だった。


プゥーッ!プゥーッ!プゥーッ!


「なんだ?父ちゃん変わったオナラの音がするぞ」(美)

「えっ!?いや!ボクじゃないよ!」


プゥーッ!プゥーッ!プゥーッ!


 その音は音声ガイドロボ2号機が作動させた自動巡回型早期警戒装置の警戒音だった。


「全員緊急事態発生だ!敵対勢力、データ的にいつものスライムがこちらに集まってきている!」(最後ロボ)

「えっ!?スライムが?」


 冴内達はすぐに風呂からあがり、全員裸のまま冴内達に近付いてくるスライムに対して迎撃態勢をとった。

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