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347:関係各所への連絡

 夕方5時前に冴内達はリビングに戻ってきて、美衣達は夕食の支度をし始めて、冴内と初はリビングのソファでくつろいでいたところ、壁にある大型ディスプレイ付き通信装置から呼び出しがあり、画面の字幕にはグワァーオーゥゥと書かれていた。


「もしもし冴内です」

「おお冴内殿おられましたか、いや此度の別宇宙の件さいごのひと殿からの全宇宙緊急通信にて知りましたぞ!」

「あっ!」

 事ここに至りようやく冴内は関係各所に連絡するのをすっかり忘れていたことに気が付いた。


「すいません、すっかり連絡するのを忘れていました・・・」

「なんのなんの!お気になさらず!別宇宙の崩壊の危機となればそれは致し方のない事、しかしそうなると婚姻の儀は欠席ということになりますかな」

「う~ん・・・今のままの状況が続けば参加出来るのですが、この先何が起きるか分からないので必ず参加出来るとは言えません。でも僕等は出来れば出席したいと思っています」


「父ちゃんが行けないときはアタイが行く!」

 料理途中の美衣がやってきてそう言った。

「ボクも行く!」

「二人ともありがとう」

「おお美衣殿に初殿、誠に感謝する。美衣殿はりゅうと仲良くしてもらっておりますから、りゅうの奴も喜ぶでしょう」

「うん!」

「まぁでもこのままの状態がまだ続くようなら家族全員で参加します。ところでその時花子も一緒に連れて行っても良いでしょうか?」

「もちろんですとも!冴内殿ご家族ならば全員歓迎いたしますぞ!」

「有難う御座います、婚姻の儀の日に近くなったら連絡しますね」

「お手数をかけまする」

「それでは失礼します」


「いや~すっかり多くの人に連絡するのを忘れてたよ。今回もさいごのひとさんが連絡してくれて良かった。いつも有難うさいごのひとさん」

「全く問題ない。だが感謝してくれたことについては嬉しく思う」


「そういえば神代さんの結婚式っていつなんだろうか・・・よし聞いてみよう、もしもし神代さん、神代さ~ん」


 大型ディスプレイには神代呼び出し中という文字が表示されており、3コール目で神代が出てきた。


「これは冴内様!神代でございます!」

 初めて冴内と出会った時とは遥かに異なる対応というかキャラになってしまった感がある神代であったが、時の流れとしてはわずか1年ちょっとしか経っていないのである。もちろん冴内に対しての態度は大きく変わってしまったがそれ以外では全くこれまでと変わらず、極めて優秀な日本を代表するゲート機関局長なのである。


「此度の別宇宙の崩壊の危機、さいごのひと殿からの連絡で知りました。今回の連絡もその件に関することでしょうか?」

「いや、まぁそうでもあるんですがその、えーと、神代さんの結婚式ってもう日取りは決まっているんでしょうか?」

「・・・はっ?私めの結婚式でありますか?」

「はい、出来ればその・・・出席したいなと思いまして」

「なんと!もったいなきお言葉!」

 神代はディスプレイの向こうで土下座して平伏しそうになるのを冴内はなんとか必死に制止した。


「この先状況がどうなるか分かりませんが、出来ればしろおとめ・(まこと)さんの新たな門出でもありますし出席したいなと思っているのです」

「冴内様!!なんと!なんと!」

 神代はガチで号泣していてしゃべろうとしても嗚咽を繰り返すので、どうやら側にいたらしい(まこと)が変わって画面に登場した。


「洋様!お久しぶりでございます!(まこと)です!」

「あっ誠さんお久しぶり!そちらの生活はどうですか?」

「はい!大分慣れました。日本という国の素晴らしさには毎日感動する程です。トイレもスーパーもコンビニも人々も治安も何もかもが信じられないくらい素晴らしいです」


 真っ先にトイレが出てくるあたりが何ともアレだが、事実日本のトイレのレベルは世界に誇っても良い程のものだと思う。


「それは良かった。ところで神代さんとの結婚式っていつですか?出来れば出席したいなと思っているんです」

「わぁ!本当ですか!有難う御座います!丁度10日後の土曜日に式を挙げるんです!場所は冴内様の時と同様こちらの研修センターにあるチャペルで執り行う予定です」

「分かった10日後だね、何時から始まるの?」

「私達は午前10時半入場ですが、参加者の方は10時から入れるそうです」

「10時だね、ありがとう。トラブルとか何事も起きなければ僕等も参加させてもらうよ」

「はい!有難う御座います!何事も起こらないよう日々お祈りいたします!」

「ありがとう、それじゃ!」

「さっ!冴内様!有難う御座います!有難う御座いますーッ!」

 かろうじて最後だけ神代はなんとか号泣から立ち直り感謝を述べることが出来た。日本を代表する優れたゲート機関局長ともあろう人物が、こんな状態で果たして結婚式は大丈夫だろうか。


 ともあれ冴内はゲートシーカー専用携帯端末を取り出してカレンダー予定表にアラーム知らせ付きでスケジュールを登録した。10日後は神代の結婚式で、翌日は夕方からりゅう君の婚姻の儀ということで、日取りが被らなくて良かったと冴内は思った。


 後は予期せぬ事態が起こらないことを祈るばかりである。

 その後冴内は他の関係者達の状況を聞くことにした。


 まずイリィーティアと一緒に同行している音声ガイドロボ初号機は常に2号機と情報連携共有を行っており、現2号機によると旧2号機がイリィーティアに自らの身体を捧げて救い出したことで初号機は大変な歓迎を受けたとのこと。


 とはいえロボットなので豪華な食事を食べることは出来ないし、寝心地の良いベッドを用意されても不要であるし、莫大な金品を受け取っても全く使い道もなく不要なので、ロエデランデ一族もどうやって感謝すれば良いのか困ったそうだが、イリィーティアは元々惑星再生プロジェクトに参加する程の研究者であり、気が遠くなるような長い間宇宙の割れ目にて別宇宙の様々な現象をその目で見てきたことを活かして、今後イリィーティアは宇宙そのもの対してさらなる研究を行うということを聞いた初号機は、ならばイリィーティアに仕えてずっと一緒に研究を手伝いたいと申し出たところ、ロエデランデ家一同からはそんなことで良いのかと言われ、それどころかイリィーティアからは多額の費用を提供してでも初号機に一緒に手伝って欲しいと思っていたと言われたとのことだった。


 冴内は大いに喜び初号機の気が済むまで初号機のやりたいようにして欲しいと伝えると、プログラミングされた疑似感情であるはずの初号機は声を震わせ詰まらせるほどに感動した。涙を出すことはできないが本当に人間が泣いているようだった。


 次に宇宙連盟に常駐しているさいごのひとロボ3号機から宇宙連盟の様子を聞くと、宇宙連合との最初の会談が近日中に行われるというのを聞いた。なんと最初の会合はしろおとめ観光ホテルで行うとのことだった。ちなみにリングゲートがないので龍人族代表は小型龍の長老が出るそうだ。


 さらに惑星グドゥルの復興の様子を動画を交えて説明してもらい、極めて順調に人間らしい生活と文明を取り戻している様子が伺い知れた。

 近隣衛星から救助した種族達も宇宙連盟先遣隊の3人のそれぞれの故郷の星にて手厚く保護されて、元気に過ごしている様子を見ることが出来た。


 途中から冴内達は夕食を食べながら大型ディスプレイにて各地に常駐しているさいごのひとロボ1~3号機からそれぞれの宇宙での様子を見聞した。


 冴内達にもたらされた様々な情報の中で、外宇宙開拓用大型航宙艦ドリーム・ホープ号は元々ソティラ達惑星グドゥルにあったものなので、今は支援物資の輸送や復興支援や入植を希望する人達を運ぶのに用いられているとのことであり、コッペパン号は宇宙連盟先遣隊の3名が有効に活用しているとのことだった。


 冴内はそれぞれが充実した日々を送っている様子を見て安堵し満足したのであった。

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