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344:お味はいかが?

 冴内は音速飛行移動を緊急停止して、瞬間移動を試みた。


「あっ、ダメだ。出来ないみたい」

『ゲート前でもか?』

「うん、ゲート前を意識してもダメだ」

『なるほど・・・やはり元の宇宙とは勝手が違うのか・・・』

「そうだね、でも飛ばせばいいだけだから別にいいかな」

『だが、今後の事を考えると不便だな・・・数万キロ程度ならまだしも、数億光年単位となると移動は現実的ではなくなるぞ』

「あっそうか・・・星と星、いや、銀河と銀河を移動するならワープとか出来ないと無理だよね」

『ふぅむ・・・また課題が出来たな・・・』


 そんな会話をマッハを超えるスピードでしていたら数分でゲート前に到着した。

 ちなみに一番遠い場所にあるゼリーを両手で抱えて持ってきた。音速を超える速度で移動したのでゼリーがグシャグシャにならないように冴内は虹色の粒子で守って運んできた。意図して虹色粒子を放出したのではなく、大事に守ろうと意識したら勝手に指先から虹色粒子が少し放出されたのだった。


 冴内はリビングに戻り、スライムゼリーを入れる適当な袋を探したが、冴内ログハウスには適当な袋はなかったので、日本の実家に瞬間移動で戻って、埼玉県の冴内の実家がある市町村の指定ゴミ袋を一枚もらってきて、もう一度漆黒の闇ゲートの中に入り残りのスライムゼリーを回収した。やはりゴミ袋はマッハを超えるスピードには耐えられないのでまたしても虹色粒子で守りながら持ち運んだ。


「あら!ゼリー沢山とれたのね」(優)

「うん、全部で5個あるから一人1個食べられるよ」

「やった!」(良)


 ちなみにスライムゼリー1個は小さめのクッション枕程の大きさがあり鏡餅のような形である。冴内は早速大型冷蔵庫に格納して冷やした。


「どんな味なんだろう!楽しみ!」(良)

「レベルは上がったの?」(優)

「うん、30匹倒したところでレベル3になったよ」

「わっ見てみたい!」(良)

「いいよ、ステータスオープン!」


-------------------

冴内(さえない) (よう)

21歳男性

スキル:全宇宙のチョップLvMAX

称号:全宇宙の愛の使者

-------------------


「あれっ?これはいつものやつだ。あっもしかしてここの宇宙と違うからかも!ちょっと試してくる」


 冴内は漆黒の闇ゲートの中に入ってステータスオープンと言ってみた。すると・・・


-------------------

冴内さえない よう

21歳男性

レベル:3

生命力:20

特殊力:20

攻撃力:3

防御力:3

素早さ:3

-------------------


「やっぱりだ。なるほど・・・っていうことはここはちゃんと別の宇宙なのかもしれない」


 リビングに戻りさいごのひとロボ4号機に今の事を話した。


「なるほど、その判断は正しいと思う」

「だけど、別の宇宙さんとはまだ会ってないし何の連絡もないからやっぱりまだ完全に完成していないのかもしれないね」

「うーむ・・・だとしても何かしらの説明があるべきなのだが・・・」

「何か予想外の事が起きてるのかな?こっちの宇宙とは大分違うって言っていたから相当難しいことをしているのかも」

「確かに、それはあり得るな」


 時刻はまだ午後5時前で、さいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機は前回同様に冴内のタクティカルベストの背中にある大型ポケットの中の端末とドローンからデータを受信し、リビングにある大型ディスプレイに映像を映し出して解析を開始した。


「ほう、瞬間移動は出来なかったのか」

「そうなんだよ、くらやみの中だけの移動なら行けるかもと思ったんだけどそれもダメだった」

「やっぱり冴内様が言う通り別の宇宙には別の宇宙の法則があるのかもしれませんね」(音ロボ)

「そうだね、僕のステータスがこっちと向こうで全然違うのもそのせいかもしれないね」

「うむ、順調に情報が蓄積されてきているな」


 大型ディスプレイで冴内の戦闘記録とレベルアップを確認していると、割り込みで呼び出し通知のお知らせが入ってきた。相手は美衣で冴内に迎えに来て欲しいという内容だった。


 冴内は早速秒以下で瞬間移動して美衣と初を迎えに行った。第3農業地の人達は冴内の行動記録動画や最新の情報を見るのが一番の楽しみなので、当然冴内の瞬間移動能力のことは知っており、美衣が電話を切ると同時に冴内が出現したのでタイミングよく皆拍手で出迎えた。


「あっ!いっけね!」

「どうした父ちゃん」(美)

「分かった!クツを忘れたんだ!アハハハ!」(初)

「ホントだ、アハハハ!」(美)

「「「 ハハハハ! 」」」(第3農業地の皆さん)


「初、豆モチは食べれたかい?」

「うん!ものすごく美味しくてボク思わず星の姿になっちゃった!」

 思わず原寸大の星にならなくて良かった。もしも思わず原寸大の大きさの星になっていたら地球人が数多く活動しているゲート惑星は消滅していたことだろう。


「お土産も沢山もらったよ!」(美)

「そうなの?それは良かったね!」


 冴内は第3農業地の人達にお礼を述べた。

「いつももらってばかりですいません、何か僕等にお礼が出来るといいのですが・・・」


「そんなこと気にしないでください!前にも言いましたが、私らは冴内さんの活躍を見るのが毎日の楽しみなのでそのお礼です」

「そうです、それに実はこれまで美衣ちゃんからは色んな星の美味しい野菜や穀物の種などをもらっているんですよ。それはもうまさに宝物と言ってもいいくらい貴重で素晴らしいものです」

「えっ、そうだったんですか?」

「そうです、試しに一粒鑑定してもらったらそれ一つでも莫大な価値が算出されました。とても我々では一生かかっても返し切れない程のものです」


「ありがとう美衣、いつも沢山のお米や納豆をもらってばかりでちょっと申し訳ない気持ちだったんだけど、美衣がお返ししてくれたおかげでとても安心したよ」

「えへへへ」


「それでは僕等は失礼します、今日は有難う御座いました」

「ありがとう!豆モチ美味しかった!」(初)

「またご馳走作りに来るね!」(美)


「「「 また来てください~!! 」」」


 冴内達は大歓迎の見送りの中瞬間移動して、別宇宙のログハウスに戻った。


 冴内は明日から宇宙ポケットが必要になるから貸して欲しいと美衣に頼むと美衣は快諾し、冴内がやや仰天するほど今日もらってきた大量の食料を、試練の門から無断で勝手に持ち出してきた食料格納箱にどんどん移していった。


 ちなみにとりわけ物凄い量があった食べ物は干し芋と干し柿で、恐らくりゅう君の結婚披露宴パーティー用として龍神族達のために用意したものだと推測された。


 第3農業地の人達と一緒に手作りした大量の豆モチは後でおやつとして食べることにして、夕食は第3農業地の人達が作った干し魚や野菜を使って和食にすることにした。和食といっても美衣が作るので超高級懐石料理レベルの最上級の和食料理だった。


 食後はお風呂に入り、風呂上りに冷やしたスライムゼリーを食べることにした。一人1個食べることにしたが普通の食欲の人には多すぎる量である。これで美味しくなかったらかなりの罰ゲームである。


 一応スプーンを用意したのだが、冴内以外両手でゼリーを持って豪快にかぶりついた。ちなみに冴内は何度もスプーンが弾かれたので諦めて皆と同じようにしてかぶりついた。


ガブリ!

「・・・」(冴内)

「・・・」(優)

「・・・」(美)

「・・・」(良)

「・・・」(初)


「「「ウッ!ウンメェ~~~ッ!!」」」(ALL)


「何だコレ!すっごく美味しいぞ!」(美)

「ボクまた星になっちゃった!」(初)


 この時初はすごくシュールな姿になった。両腕が生えていて口がある星である。見ようにによってはかなりキモイかもしれない。果たして良野や吉田や木下が見たらどんな反応を示すだろうか。


 冴内達はそんな初を見ても全く気にすることなくそれぞれ素晴らしい美味しさを堪能した。


「なんてジューシーで爽やかで絶妙な甘酸っぱさなんだ!こんなの食べたことない!」(冴内)

「ホントね!ありがとう洋!すごく美味しいわ!」

「有難うお父さん!すっごく美味しい!」(良)


 別の宇宙でとれた得体の知れないものをよく口にするなと感心するというよりは呆れるところだが、結果的に冴内達は全員スライムゼリーに大満足したのであった。

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