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342:冴内レベル2

 翌朝、特に異常は起こらず冴内は夢を見ることもなくいつも通りの朝を迎えた。


 冴内達がリビングに降りて、さいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機に状況を聞いてみたところ全く何も起きなかったという返答が返ってきた。


 その後冴内達は相変わらず漆黒の闇のゲートが近くにあるというのにダイニングテーブルで朝食を食べて、食後のお茶をすすっていた。


「アタイ今日は第3農業地に行ってモチ米と黒豆をもらってこようと思う」

「わぁ!ボクも一緒に行く!」

「洋は今日もくらやみに行くの?」

「うん、そのつもり。昨日スライムを見つけたから他にもいるか確認しようと思う」

「じゃあ私は残ってお留守番するわね」

「私も残って何か分かることがないか、さいごのひとさんと色々調べてみるね」

「ありがとう」

「父ちゃん、今日も宇宙ポケット使うか?」

「いや大丈夫だよ、モチ米もらいに行くなら美衣が持って行っていいよ」

「わかった!」

「美衣はお昼どうするの?」(優)

「向こうで食べる!夕食までには戻るよ!」

「わかったわ」


 まるでいつもと変わらない日常を送り、いつもと変わらない朝の会話をする冴内達であった。


 午前6時、冴内は今日も漆黒の闇のゲートの中に入っていった。


「それじゃいってくるよ、お昼には戻る」

「いってらっしゃい洋、気を付けてね」

「いってらっしゃいお父さん、気を付けてね」(良)

「うん、ありがと」


「さて、今日は昨日のスライムを探そうと思う、あとスライム以外にも何か別のモンスターとかいるのか調べてみよう」

『了解した。実は昨晩ドローンを改良して、バイオセンサーを搭載したのだ。昨日のスライムの各種データは既に登録しているので大体半径500メートル圏内なら探知可能になっていると思う』


「ホント!?それはすごく便利だね!」

『ではジグザグにドローンを移動させてみる』

「うん、任せるよ!」

『ドローン、スライムとそれ以外の生体反応の探索開始!』


 ドローンは右から左へと移動を開始した。


「これは便利だなぁ・・・あっそうだ!ドローンがあと3っつくらいあれば一斉に前に進められるんじゃない?宇宙ポケットに入れて運べば全部いっぺんに持って行けるよ」

『なるほどその通り実に妙案だ。製作には一晩もかからないから、午前の探索を終えて戻ったら早速製作に取り掛かろう』


 そんな話をしながらドローンの後をついていくこと数分・・・


「あっ!昨日の警告音だ!」

『早くも見つけたか!』


 冴内はドローンの元へと早足で近づいた。するとドローンはライトの照射角度を変えて、スライムがいると思われる方へとやや速度を落として進んで行った。


「あっ!いた!昨日と同じ白い半透明のやつだ!」


 冴内は試練の門の時の要領を思い出し、ある程度近づいたところで斬撃チョップをお見舞いした。


「それっ!」

バシュッ!ブヨンッ!

「まぁこれくらいじゃ倒せな・・・おっと!」

サッ!

「それっ!」

ザシュッ!パンッ!


 冴内は最初の斬撃はあくまでもけん制攻撃として全力の半分程度の力で攻撃し、恐らくその後カウンターでこっちに向かって体当たりしてくるだろうと予想した通りに動いてきたので、冴内の十八番の体捌きからの側面抜き手チョップを正確にスライムの内部核に突き刺した。


『久しぶりに見たが実に見事なものだ。タイミングといいまったく無駄のない完璧な動きの流麗さといいある意味芸術の域に達しているな』

「えっそう?ウフフ・・・なんだか照れるね、でも嬉しいよ」

 聞く人によっては結構キモイ笑い方をした冴内であった。


「なにもドロップしないね。そういえば今のスライムってステータス分かる?」

『うむ、やはり妙なプロトコルでデータが送られてきたので登録済だ。表示させてみる』


-------------------

スライム

生命力:5

特殊力:0

攻撃力:1

防御力:1

素早さ:1

-------------------


「昨日と全く変わらないね」

「うむ」


「まぁこの調子で探索を続けよう、何だか久しぶりにゲートシーカーらしい探索でちょっと楽しいよ」

『了解した、しかし一応念のため言うが、注意はしたまえ』

「ありがとう、気を付けるね」


 ドローンは引き続き探索移動を続けた。


 数分後またしても警告音がしたので、同様に近づいてみるとやはり同じスライムがいた。


「あっしまった!宇宙ポケットに入ってるサクランボとか桃を薄めたジュースを用意するんだった」

『む?』

「試練の門にある疲労回復の食べ物を用意すれば、フルパワーのチョップで遠くからでも一撃で倒せるかどうかとか、色々試せると思ったんだよね」

『なるほど。やはり君はプロのゲートシーカーなのだな。私の方から事前に戦術提案するべきことだった。気付かず申し訳ない』


「そんな、さいごのひとさんにはすごくお世話になってるよ。このドローンや距離を測る機械とかすごく便利で助かってる。僕一人じゃとてもじゃないけどこんな短時間でここまで調査出来なかったよ」


「それにこんな真っ暗闇で一人っきりで調査すると気が滅入っちゃうよ。一緒にいてくれるだけでもすごく気が楽になって大助かりだよ」


『有難う冴内 洋、君は本当に素晴らしい人格者だ』

「えっそう?ウフフ・・・なんだか照れるね、でも嬉しいよ」

 やはり聞く人によっては結構キモイ笑い方をする冴内であった。


 その後は少し時間が経ち、数十分後にまたしても警告音が鳴り、近づいたところまたしても同じスライムがいたので、これも同じ手法で撃退した。今度も何もドロップしなかった。


「フゥ、全力は出していないんだけど少しだけ疲れるね。やっぱりこのスライム結構強いのかも」

『そうだな、君が疲れるなんてとても珍しい。ちょっとバイタルチェックをしてみようか・・・確かに心拍数上昇、血圧上昇、消費カロリーは・・・5千キロカロリー!?随分消費しているぞ!』

「えっ?そうなの?」


 ちなみに男性が距離約50キロのフルマラソンをした場合およそ3千キロカロリーを消費する。


『君達はいつもなかなかの食事量だと思っていたがなるほど、こんなに消費していればそれも理解出来るというものだ』

「そうだったんだ、今まで全然気にしてこなかったけど、確かに僕ゲートシーカーになってからすごく食べるようになったんだよね」


 冴内が惑星規模でフルパワー虹色粒子チョップを放った時は倒れ込む程に空腹になるが、その時は一体どれほどのカロリーを消費しているのだろうか。


 そんなちょっとした会話を挟みつつも気は抜かずにスライム探索と退治を繰り返し、特に問題もなく昨日から数えて9体のスライムを撃退した。


「えっと、今は・・・10時半か。次で10匹目だっけ?」

『そうだ』

「じゃ、次のスライムを倒したら戻ろう。結構疲れが溜まった感じがするし、お腹も空いてきた」

『了解した』


 数分後スライムが出現したので、冴内はここで奇をてらって変なことはせずにこれまで通りの手順で全く危なげなくスライムを撃退したところ・・・


♪ファァァ~~~ンッ

ボフンッ!


「えっ?うわっ?何?」


-------------------

冴内さえない よう

21歳男性

レベル:1⇒2

生命力:5⇒10

特殊力:5⇒10

攻撃力:1⇒2

防御力:1⇒2

素早さ:1⇒2

-------------------


-------------------

スライムゼリー

効果:食べると元気になる

-------------------


「あっ!僕のステータスだ!始めてステータスっぽいのが出てきた!そしてやったぞ!レベルアップだ!・・・ってうわっ、ショボッ!弱ァッ!僕レベル2だって!アハハハ!レベル2!しかも攻撃力2!アッハッハッハ!!」


 冴内は珍しく久しぶりに大ウケで大笑いした。


 全宇宙最強のチョップを誇る冴内がたったのレベル2で、宇宙をもぶっ壊す程の威力があるにも関わらず攻撃力もたったの2だった。


 果たしてこの数値は一体どういうことなのだろうか・・・

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