341:久しぶりのアザ
リビングに戻って来た冴内は早速先ほどのスライムとの戦闘映像を見ることにした。
美衣達は夕食の支度をしていたので、冴内とさいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機と初の4人で視聴開始した。
「あっいたいた」
「わっ、これなぁにお父ちゃん!」
「これはスライムだよ」
「すらいむ・・・あっ、しれんのもんでお父ちゃん達がたたかった丸いやつのことか!ボクもすらいむのおもち食べてみたかったなぁ~」
「うん、試練の門で倒したスライムのモチは美味しかったよ・・・ってあれっ?このスライムって結構動き速かったんだね」
「暗くてよく見えないけどとっても速いね」
「不思議なことに結構痛かったんだよなぁ、ってそんなこと言ったらまだ痛い気がする」
「なんかお父ちゃんの前に文字が表示されてるけど小さくてなんて書いてあるのか分からない、あれなんて書いてあるの?・・・数字?」
「あれはスライムの強さとか速さとかが書いてあるんだよ」
「それってげーむっていうのと同じやつ?」
「そうそう、ゲームに出てくるやつ」
「ドローン、スライムのステータス表示して」
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スライム
生命力:5
特殊力:0
攻撃力:1
防御力:1
素早さ:1
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「あっ、ホントだ!でもずいぶん弱いね」
「そうなんだよ、なんだかすごく弱い数字なんだけど、以外に強くてビックリしたよ」
「おもちは出なかったの?」
「うん、何も出ないで消えちゃったよ」
「そっかぁ~、倒したのはこのスライムだけだったの?」
「そうだよ、このスライム以外には出会わなかったよ。でも真っ暗で分からないだけで、他にもいるかもしれないね」
「おもちが出るといいなぁ~」
「そうだね、出たら持って帰るよ」
「うん!」
「おもちがどうしたんだ?」(美)
「うん、お父ちゃんがスライムと闘ったんだよ。でもおもちは出なかった」
「真っ黒スライムが出たのか?」
「いや、白っぽい透明のスライムだよ。倒しても何も出てこなかった」
「そうなんだ、真っ黒スライムの豆モチは美味しかったなぁ」
「ボクも食べてみたかった」
「今度つくってあげるよ」
「やったぁ!」
「おもちがどうしたの?」(優)
「うん、お父ちゃんがスライムと闘ったんだよ。でもおもちは出なかった」
「えっ!真っ黒スライムが出たの?」
「いや、白っぽい透明のスライムだよ。倒しても何も出てこなかった」
「あら、そうなのね、真っ黒スライムの豆モチは美味しかったわね!」
「ボクも食べてみたかった」
「今度つくってあげるわよ」
「やったぁ!」
「おもちがどうしたの?」(良)
「うん、お父ちゃんがスライムと闘ったんだよ。でもおもちは出なかった」
「えっ!スライムってあの試練の門で闘ったスライムのこと?」
「いや、白っぽい透明のスライムだよ。倒しても何も出てこなかった」
「あっそうなんだ、私あの真っ黒スライムの豆モチって食べて見たかった」
「ボクも食べて見たかった」
「よし、明日は豆モチ作ろう!」(美)
「「やったぁ!」」(初&良)
食卓のすぐ近くに危険なモンスターが生息する漆黒の闇のゲートがあるというのに、まるでコントのような繰り返しをする冴内家族であった。
美衣達が久しぶりに3人でせっせと料理支度をしていたのは、今日の夕食がお寿司だからだった。
「昨日父ちゃんがヘンテコ生き物の肉をお寿司にしたら美味しいかもって言ったから今日はそれを試してみるんだ」
「おっ!それは楽しみだね!」
「他にもおいしい星で洋が獲った20本足のタコとかもあるわよ」
「やった!あれはお寿司にしてもすごく美味しいと思うんだ!」
ヘンテコ生き物だけでなく例の白い大きな座布団のような生き物やそれ以外にもこれまであちこちで捕獲した魚介類を使って握り寿司を食べた。宇宙ポケットと試練の門で勝手に拝借してきた食料格納箱で保管しているので鮮度は全く落ちていなかった。
「うわっ!これめちゃくちゃ美味しいよ!」
「ホントだ!これお寿司にも凄く合う!さすが父ちゃん!」
「ボクおかわり!」
「あいよ!」
「これ、少し炙ってみても美味しいんじゃない?」(優)
「お母さん炙ってみて!」(良)
「いいわよ」
ボウッ!
優は魔法で指先から軽く火炎放射してヘンテコ生き物の切り身の表面を軽く炙った。
「パクッ、ン~~~ッ!美味しいッ!」(良)
「わっ!ボクも!」
「僕も!」
「いいわよ!」
完全に漆黒の闇のゲートで闘ったスライムのことなど忘れて、ひたすら握り寿司に熱中する冴内達とは別に、さいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機は大型ディスプレイの前で何度もスライムと冴内の戦闘映像を見たり、それ以外の暗闇をひたすら観察していた。
冴内達は寿司をたらふく食べて十分満足し、ゆっくり食休みをとった後で皆で風呂に入った。
「わっ!ちょっと洋!大丈夫!?」
「えっ?」
「わっ!父ちゃんすごいアザが出来てるぞ!」
「ホントだ!お父ちゃん大丈夫?」
「大丈夫?お父さん!」
「なんか少し痛いなぁと思っていたら、こんなになってたんだ、チョップヒール!」
冴内は自ら胸から腹にかけて内出血している箇所に手を当てて回復チョップをかけた。
「洋がそんな風になるなんて試練の門以来よね」
「くらやみスライムそんなに強いのか?」
「でも攻撃力1って書いてあったんだよ」
「攻撃力いち!?それで父ちゃんにアザが出来るくらい強いのか!?」
「そういえば、最初普通にチョップしたら弾かれたよ」
「えっ!お父さんのチョップでも弾かれたの?」
「うん、割と普通に叩いたらだめで、結構強くやってようやく貫ぬくことが出来たんだよね」
「大丈夫、洋?」
「うん、最初のは僕の不注意で、それ以後は全部避けられたから大丈夫だよ」
「それならいいけど・・・」
「大丈夫だ母ちゃん、父ちゃんがホンキを出したら別の宇宙ごとぶっ壊すくらい強いんだ!」
「それもそうね、洋は強いもんね」
宇宙が崩壊するのを防ぐために別の宇宙に行くのに、ぶっ壊してどうする。
入浴後、今日もリビングで寝ようと準備しかけたところでさいごのひとロボ4号機から止められた。
「冴内 洋、今日はリビングではなく寝室で寝ることを推奨する。大丈夫だとは思うがあのスライムが出てくるかもしれないし、他にも予測不能な事が起こるかもしれない。今夜は一晩中私と音声ガイドで漆黒の闇のゲートを監視し続けるので君達は2階の寝室で寝たまえ。ゲートに何かしら異変が起きたらすぐに知らせる」
「えっいいのかい?」
「はい、お任せください冴内様、私は少しでも冴内様達のお役に立てることをするのが生き甲斐なのですから」
「ありがとう」
「ありがとう音声ガイドさん!」(初)
「もったいなきお言葉、疑似感情プログラム抜きでとても嬉しい気持ちです」
冴内達は漆黒の闇のゲートの監視をさいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機に任せ、今日は通常通り2階の寝室に行って眠ることにした。
そもそも今の冴内ですらアザが出来る程の得体の知れないモンスターがいるというのに、同じ家の2階に退避したところで全く安全ではない気がするが、冴内達は全く気にもせずにその夜も熟睡した。