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337:ファーストコンタクト

 冴内と宇宙との対話の場には当然さいごのひとロボ4号機と音声ガイドロボ2号機も近くで見聞きしており、冴内と宇宙が対話している間は一切口をはさまなかった。


「えーと・・・なんかこんな事になっちゃったけど二人はどう思う?」


「さすがに分からんな」(最後ロボ)

「はい私も同じです」(音声ロボ)


「何が起きても不思議はないから、いくらでも想像することぐらいは出来るが、まるで情報がないので何一つ推測の確かさを証明する材料がない。だから全てただの想像の域を出ない」(最後ロボ)

「はい、まさにおっしゃる通りです。私もいくらでも想像は出来ますが、それってむしろ妄想に近いと言われても仕方ありません」(音声ロボ)


「まぁ・・・そうだよね、うん。行ってみないことには何も分からないか」


 その後美衣達から夕食の支度が出来たと声がかけられたので、冴内はダイニングテーブルへと向かった。


 その日の夕食はさいしょの民達の主食のパンにヘンテコ生き物の肉が煮込まれたシチューだった。パンについては第330話「最高の晩餐」の回にて良野達が食べたものと基本的に同じで、美衣の監修入りなのでさらに美味しいものに仕上がっており、シチューについては味と色あいはホワイトシチューではなくビーフシチューに近いものだった。


「うわっ!この肉なんだい?すごく柔らかいのに脂っこい感じがなくてとても美味しいよ!」

「これはコワイコワイだよ、小人さん達をいじめてたヘンテコ生き物だ。見た目はヘンテコなのに、やっぱりおいしい星で獲れるものは何でも美味しいんだなぁ大したもんだ」

「これ肉だけど、もしかしたら刺身にして寿司に乗せても美味しいかも」

「なにっ!父ちゃんスゴイな!それは気付かなかった!」

「いや、前にさ、家族で人気の回転ずしに行ったときに霜降り和牛の握り寿司を食べたことがあってそれを思い出したんだ」

「寿司なのに牛の肉を乗せるのか!?」

「そうなんだよね、少し高いけど珍しいから奮発して家族皆で食べてみたんだ、これが結構美味しかったよ」

「さすが父ちゃん。やっぱり年上なだけあって、色々経験豊富だ。早速明日試してみよう」

「ボクも食べてみたい!」

「私も!」


「それにしてもこのナンに似たパンすごく美味しいね。これだけで何枚でも食べれそうなくらい美味しいよ」

「そうなんだよ。小人さん達は料理の工夫がとても上手なんだ。おいしい星でコワイコワイとかにいじめられてたから、色んなおいしい食べ物をたくさん取りに行くことが出来なかったかわりに、色んな風に工夫して料理することが上手になったんだ」


「なるほど、そうなんだね」

「ボク、パンもシチューもおかわり!」

「あいよ!」


 冴内達は今日もたらふく食べてまったりした後で風呂に入り、入浴後もまったりした後で寝る時間になった。とはいえなんと時刻はまだ9時台である。冴内達はいつもそれくらい早寝早起きなのであった。もちろんさいしょの民達も。


「あれ?父ちゃん枕と布団持ってどこに行くんだ?」

「うん、夜中に宇宙から連絡があるかもしれないからリビングのソファで寝るよ」

「アタイも行く!」

「ボクも!」

「私も!」

「私は最初からそのつもりよ」

「えっ!皆も?」


「なんかキンキュウジタイで面白そうだ!・・・キンキュウジタイってどう書くんだっけ?」

「金球時代?」(初)

「緊急事態だよ」(良)

「「そっかぁ~」」(美&初)

「アハハハ!小人さん達みたい!」(良)

「「アハハハ!」」(美&初)


 そんなやりとりをしつつ、冴内達はリビングで寝ることにした。リビングのソファーなどを美衣の宇宙ポケットの中にしまって、いつもの大きなベッドを配置した。彼等の怪力や重力制御能力があれば、重たい家具などティッシュ1枚と変わらない程のものだった。


 これまでも軽く触れたことはあったが、冴内以外はこれから寝るぞと意識すると横になった瞬間まるで電気のスイッチをオフにしたかのようにすぐにスゥスゥと眠るのだが、この日はいつ緊急事態の連絡が来るかワクワクしてなかなか寝付けなかった。


 ・・・ということは全くなく、結局全員横になった途端すぐにスゥスゥ熟睡した。ちなみに冴内も皆の幸せそうな寝息を聞くといつもそれを聞くのが心地よくてすぐに寝入るのである。


 そしてその晩、久しぶりに冴内は夢を見た。


『モシモシ』

「うーん・・・」


『モシモシ』

「うーん・・・んっ?あれっ?電話(リビングにあるディスプレイ付き通信装置のこと)じゃないのか?」

『モシモシ』

「あっ、はい、冴内 洋です」


『ア・・・アンムルメンドウ』

「はっ、はい?」


『ツヴネェー、メスティソン、ウーウィ?』

「えっと・・・すいません、何て言ってるのか分からないです」


『シュチッ!』

「・・・」


『ス イ マ セ ン、マ チ ガ エ マ シ タ』

「あっ、そうなんですね」


『サ エ ナ イ ヨ ウ、カ ガ ン ダ ン キ ュ ウ』

「いや僕は冴内 洋ですが河岸段丘ではないです」


『サエナイ ヨウ・・・サエナイ ヨウ・・・サエナイ ヨウ・・・カガンダンキュウデハナイ』

「とりあえず河岸段丘から離れましょうか」


『ワタシ ウチュウ ココ チガウ ウチュウ』

「あっ、そうなんですね、こんにちは宇宙さん」


『コンニチハ サエナイ ヨウ、アナタ トテモ ユウメイ』

「えっ!そうなんですか?」


『ソウ サエナイヨウ ノ ゲェッ ダイニンキ』

(冴内心の声:そっちかぁーッ)


『キミ タチ ウチュウ ワタシ ウチュウ トテモ チガウ ハナシ ムツカシイ』

「そうみたいですね、ここの宇宙さんからそう聞きました」


『モウ スコシデ ゲ、ゲート? カンセイ スル』

「あっそうなんですね」


『サエナイヨウ ニ キテホシイ ソコデ セツメイ スル ココ ムツカシイ』

「なるほど、分かりました」


『デハ サヨ オナラ』

「はい、さようなら」


 冴内は真っ暗闇で真っ暗闇と話しをしていた。今回の夢は美衣達は登場してこなかった。


 午前4時半、リビングに燦々と輝く日の出の太陽が入り込み冴内達は腹の虫の音と共に起きだした。


グウゥゥゥ~~~


「う~ん・・・ムニャムニャ、お腹すいた」(美)

「ファ~、おはよう、美衣お姉ちゃん」(初)

「おはよ~」(良)

「・・・んっ・・・朝か」(冴内)

「おはよう、洋」(優)

「おはようみんな、なんか昨日夢を見たけど、みんなは何か夢を見た?」

「なんも見てないぞ」

「うんボクも見てない」

「私も見てないよ」(良)

「見てないわよ」

「そうなんだ」


「昨日の夜は電話は鳴らなかったみたいね」

「うん、だけど別の宇宙が夢に出てきたよ」

「わっ!どんな宇宙だったんだ?」(美)

「それが、何もかもが真っ暗でどんな宇宙なのか全く分からなかった」

「ひょっとして暗黒宇宙なのかな・・・」(良)

「分からない、でも、もう少しでゲートが完成するとか言ってた・・・って・・・あれ?何だあれ」


 リビングの壁に備え付けの大型ディスプレイのちょうど真横の壁が細長く真っ黒に塗られていた。


 冴内はベッドから起き上がり、真っ黒く塗られた壁に近付いた。


「まさか、これってゲートなのかな?」

「向こうが何も見えないぞ父ちゃん」(美)

「やっぱり暗黒宇宙なのかも」(良)

「そんな宇宙ってあるの?」(初)


「暗黒物質って呼ばれているものがあって、実際にはそういうのがあるらしいって言うだけで私も見たことがないから良く分からないんだけど、その暗黒物質しかない宇宙なのかなって思ったの」(良)


「そういえば、ここの宇宙さんも暗黒宇宙かもしれないって言っていたな・・・」

「どうする?父ちゃん」(美)


「そうだね・・・まずは・・・」

「まずは?・・・ゴクリ・・・」


グウゥゥ~~~!


「朝ご飯にしよう」

「アハハハ!分かった、そうしよう!」


 典型的なお約束のパターンで、とりあえずまずは腹ごしらえをすることにした冴内達であった。

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