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335:宇宙からのSOS

 力堂や他の一流シーカー達が地道に試練の門を攻略している一方、力堂達ですら既に普通の人類とは呼べない程に超越した超人になっているのに、彼等の存在をもはや数値で比較不可能な程に飛び抜けて超越している存在の冴内は久しぶりに何も起きない平穏な日常を謳歌していた。


 その姿は誰が見ても普通の冴えない青年にしか見えず、とても彼が神の領域に達している超人には見えない程に見事なまでに普通の一般市民の見てくれだった。


 さいしょのほしもとても可愛らしいさいしょの民達が賑やかに平和に暮らしていて、1日中彼等を見ているだけでも癒されて飽きることなく、冴内はとても充足した気分を味わっていた。


 あまり良い事ではないのだが、冴内は怪我や病気で寝たきりのさいしょの民達をついうっかり全員完全治療してしまった。


 ついうっかりで治してしまう辺りが冴内らしいが、本来ならば彼等の今後の進化と発展のためにもあまり手を貸さずに彼等自身で困難苦難を乗り越えていかないといけないのだ。


 神様冴内様が何でも何とかしてくれるというのでは、彼等の成長をストップさせてしまうことになるし、冴内自身これまで述べているように、どんなときでも全ての者を助けることは出来ないのである。


 もしも、冴内が助けられずに悲劇が訪れた場合、最悪の場合冴内を恨むようになることだって起きるかもしれないのだ。


 宇宙連合が未開の知的生命体に積極的に介入しないのも、介入してしまうことで発生する様々な悪影響を考慮したからこそ厳しい規定を設けたのだ。


 だからいくらさいしょの民達が可愛くてたまらないからといって、いや、むしろ可愛いから助けたなどというのは実に利己主義的行為であり、そんな理由で特定の種を優遇するのは非常に差別的で、後々様々な問題を残すことになりかねないのだ。


 と、いうことをやんわりとしっかりさいごのひとロボ4号機から説明されて、ひたすらかしこまる宇宙最強の神にも等しい存在の冴えない冴内であった。


 ちなみに、これは冴内だけでなく美衣や優達にも知ってもらいたかったので、さいごのひとロボ4号機は彼女達に向けても具体的にどんなことが起こるのか分かりやすい事例を紹介しながら説明した。


 そんなとても物腰柔らかな説教をくらって、反省してシュンとはしていないが、しみじみそうだなぁと理解した冴内達であった。


 ところが、そんな優しい説教をくらった後に、さいごのひとロボ4号機も閉口してしまう程の事件が起こるのであった。


 それは間もなく夕飯の時間になろうとしている時のことだった。


 冴内はさいしょのほしの冴内ログハウスのリビングにてくつろいでいた。


 美衣、良子、初は久しぶりに漢字練習帳で書き取りをしており、優はさいしょの民を呼んでペロ芋の作り方を教わっていて、冴内は数人のさいしょの民の子供達に絵を描いてあげていた。子供達は冴内が完全治癒させた重病人や怪我人だった。


 リビングにある壁掛け通信装置のディスプレイが突然コールもなく点灯し、古い世代の人が懐かしいと感じる電子音が鳴った。


「父ちゃん電話が鳴っとるぞ」(美)

「うん、それが誰からの電話なのか分からないんだよね、えっと、もしもし、冴内です」


「この音はあの黒いのから鳴ってるの?」(子供A)

「聞いたことがない、ふしぎな音だねー」(子供B)


♪ペーポーパーペーポー

♪ペーポーパーペーポー

♪ペーポーパーペーポー


「あはは、ぺーぽーぱーぺーぽーだって!」(子供C)

「アハハハ!うまいうまい!」(美)

「「「♪ぺーぽーぱーぺーぽー」」」(子供全員)

「「「アハハハ!」」」(子供全員)

「「「♪ぺーぽーぱーぺーぽー」」」(子供全員)


♪ペーポーパーペーポー


「なんか、すごく昔の映画でこんなメロディがあったような気がする・・・」(冴内)


「これはひょっとして、何かのメッセージじゃないだろうか?」(最後ロボ4号機)

「そうですね、私もそう思います」(音声ロボ2号機)

 メロディが止むと、ディスプレイの前に黒い霧が立ち込めてきて、徐々にその黒い霧はヒトの形のシルエットになっていった。


「あっ!これは多分宇宙さんだ」(冴内)

「うちゅうさんってだぁれ?」(子供A)

「宇宙はここにいる全てのもののお父ちゃんとお母ちゃんみたいなものだよ」(美)

「それってカミサマみたいなの?」(子供B)

「そうだ、神様のお父ちゃんとお母ちゃんみたいなものだ」(美)

「そっかぁ~カミサマのお父ちゃんとお母ちゃんかぁ~」(子供C)


「やぁ、また会ったね冴内君」

「こんにちは、あなたはこの宇宙の宇宙さんですね」

「うん、そうだよ」

「どうしたんですか?珍しいですね、こんなに大勢の前に現れるなんて」

「うん、ちょっと緊急で重要なことが起きちゃってね、それで恥ずかしながらこうして現れたんだ」

「えっ?一体どうしたんですか?」

「うん、なんかね、僕じゃないんだけど、別の宇宙から助けてくれって相談を持ちかけられちゃって」

「別の宇宙ですか?」

「うん、何人かの別の宇宙から、ヤバイ奴が出てきて、このままだと他の宇宙がヤバイことになりそうだって言うらしいんだ」

「ヤ・・・ヤバイ奴ですか?」

「うん、ヤバイ奴なんだって」

「どんなヤバイ奴なんでしょう?」

「いや、僕もよくは分からないんだけど、これから彼等の代表が説明してくれるらしいよ」


♪ペーポーパーペーポー


「あっ、これこれ、どうもまだ別の宇宙代表はうまく言語を調整出来てないみたいだね、何かあの画面に向かって色々話しかけてみてよ」


「こんにちは!アタイは冴内 美衣!冴内 洋の娘で英雄勇者コックだよ!」

「ボクは冴内 初!冴内 洋の息子でこの星です!」

「私は冴内 良子!私も冴内 洋の娘で良い子です!」

「あのね!アタシはね!メルルっていうの!メロルとメリルの娘なの!」(子供A)

「ボクはね!ポルルっていうんだよ!ポロルとポロリの息子だよ!」(子供B)

「アタシはね!・・・」

「ボクはね!・・・」

(以下略)


「これ見て!今漢字の練習してるんだよ!これはね河岸段丘って書いたんだよ、僕の星にもこういう場所があるんだよ!」

「カガンダンキュウってなぁに?ハジメちゃん」(メルル)

「えぇとね、川がね・・・」(以下略)


『カ・・・カガ・・・カガン・・・ダン・・・キュウ・・・』


「あっ!しゃべった!言葉をしゃべった!」(美)

『サ・・・サァ、ナイ・・・ミィ・・・』

「そうだよ!アタイは冴内 美衣!」

『サ エ ナ イ ミ イ・・・サエナイ ミイ、カガンダキュウ』

「アタイはかがんだんきゅうじゃないぞ、神様冴内 洋の娘だぞ」

『カミサマ!サエナイ ヨウ!』


 冴内は自分が神様と呼ばれる度に内心では自分は神様でもなんでもない普通の一般市民なんだけどなぁと思っているが、惑星グドゥルでの一件あたりからそうして説明しておいた方が物事がスムーズに進むので仕方なく聞き流していた。今もこの場にさいしょの民がいるのでスルーした。


『サエナイ ヨウ!サガシテ・・・イタ!タスケテ、ホシイ!ウチュウ コワレル タスケテ ホシイ!』


「だってさ、どうする?冴内 洋」

「えっと・・・まぁ、助けてと言われたら助けてあげたい気持ちはあるんですが、もう少し話しを聞かせてもらいたいです」

「まぁそうだよね」


「ちょっと向こうの代表とコミュニケーションがとれないか試してみるよ。どうも相当僕等の宇宙とは異なるようだし、大分遠い存在のようだ。いや、ここで言う遠いっていうのは単純に距離が遠いっていう意味じゃなくて・・・なんていうのかな、とにかく僕や冴内 洋が知ってる宇宙とは随分違う宇宙ってことなんだ」


「えっ?宇宙にも違う宇宙なんてあるんですか?」

「いや、なんていうかどれも同じ宇宙ではあるんだけど、難しいね言葉で説明するのは・・・そうだなぁ、ホラ、君達人間同士でも変わった奴っているだろう?自分とは違う考え方、仕草、行動、同じような姿なのに、全然違う人間みたいな奴・・・かなり大雑把だけど無理矢理例えるならそんな感じかな」


「なるほど、宇宙にも色んな奴がいるんですね」

「そうなんだよ、まぁそういう多様性があるからこそ万物全てが調和して成り立っているんだけどね」


「あっ、別の宇宙の代表が呼んでる、ちょっと待っててくれるかい?別の宇宙の代表に会ってくる」

「分かりました」


 いよいよ冴内は見知った宇宙ですら良く分からないという別の宇宙からも救助の依頼を受けることになるのであった・・・

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