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30:採掘マン

 さらに200メートル進み午前の目標到達地点で矢吹さんと自分は小休止しつつ梶山君と鈴森さんの鉱石採取作業を見守っていた。


 手代木さんは携帯端末に何かを入力しており早乙女さんはビスケットをかじっていた。目が合ったので「食べますか!」と聞かれたが遠慮しておいた。


 二人の採取作業をじっと見ていると興味が出てきてなんとなく自分もやってみたくなった。


 ふと自分も壁を見渡してなんとなくキラキラ光る綺麗な石の塊を見つけたので、何度かその石の周りの縁をトントンと軽くつつき、きれいに抉り取れるようイメージしながら石の縁にそって斜めにチョップしてみた。数日前に薪割りしたときに手加減のコツをつかんだ気がしたのだ。


 ザクッといい感じに切れ目が出来たので四角く切れ目を入れていくと最後にバコッという音ともにこちらに鉱石が落ちてきた。落として割ったりキズがついたりしてはいけないと思いすかさずそっと抱え込んだ。


 我ながら綺麗に取れたので気を良くして他にもないかと見てみると結構ある。これまで意識して見ていなかったものが意識して見るようになった途端その存在を認識することが出来るようになったのだろうか。


 ともあれ同じような要領でサクサク鉱石を採掘する。これが結構楽しい。なんとなく自分の性格にあっているような気がする。


 あっ!あれなんかすごく綺麗だ!なんかマーブル模様が描かれていてすごく魅力的に感じる、これはそっと丁寧にやらなければ、せっかくのマーブル模様を割ったりしたら大変だ。


慎重に慎重に、そーっと優しく

サクッ!サクッ!・・・ボロン!

やった!綺麗に取れたぞ!やった!

うわ!あそこに壁から突き出してるのがある!

クリスタルだろうか?

すごく綺麗な結晶が壁から突き出ている!


 これは角度的に取り出すのが難しそうだ。おまけに割れるかもしれないからこれも要注意だ。ヒカリ石みたいに簡単に割れるかもしれないぞ。これはどうやったら綺麗に取れるかな。えーと・・・少しづつ切れ目を入れて・・・うーん角度的に難しいなこれは。


 足を大きく広げて上半身を思いっきり横に傾けてチョップをしたり、チョップというより抜き手のように手を岩盤に突き刺すという異様な光景が展開されはじめた。


 普通の細身の体格の青年がニヤニヤしながらブツブツ言いながら変な恰好で岩盤を素手で掘削していく姿はおよそ人類が目にしたことがない異様さだった。


 切れ込みを入れては少しづつクリスタルを揺らしていって丁寧に周りを切り取っていった結果、ズボッっとクリスタルが抜け取れた。形を全く崩すことなくとても綺麗な状態で採掘できた。


「やった!やったぞ!・・・・」


 そこでようやく我に返りふと背中に視線を感じたので振り返ってみると全員が自分を凝視していた。その目は一様に「驚愕」を表していてしばらくは誰も一言も発することはなかった。


 やがてようやく梶山君が口を開き一言

「自分、次から必要なくないッスか・・・」


 決して大きい声ではなかったのだが、その声は妙に重く洞窟内に響き渡った気がした。

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