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248:招かれざる客の出迎え準備

 昨日までのお祭りムードから一転、今度は招かれざるお客さんが大挙して訪れてくるということを知らされ、一気に大恐慌へ変わるかと思われたが、冴内達はそれ程慌てふためくこともなく、お茶を飲み始めて冴内は一言次のセリフを言った。


「困ったねぇ・・・」


「ブラックホールミサイルか物質還元光子魚雷を用意いたしましょうか?」とは音声ガイドロボの言。


「なるべく穏便に解決したいなぁ・・・」


「お父さん、ワープアウトの座標位置を太陽の中心に書き換える?」(良)


「なるべくなら【彼女達】を傷つけたくないなぁ」


「催眠魔法で全員眠らせる?」(優)


「えっ?そんなこと出来るの?」


「うん、さいごのひとの睡眠誘導音を私なりにアレンジして魔法にしてみたのよ」(優)

「えっいつの間に・・・でもそれはいいね!」


「良子に手伝ってもらって私の催眠魔法が大きな船の中全部に響くようにしてもらえばうまくいくわ」

「分かった!私手伝う!」

「私だけが大きな船の中にワープで入って催眠魔法を使うから、良子は大きな船の中の隅々までそれが行き渡るようにしてもらえる?」

「うん!それくらいなら簡単に出来るよ!」


「万が一のことを考えて、君達宇宙人3名は宇宙服を着こんでコッペパン号のクリーンルームに待機しておくと良いだろう」(さいごロボ)

「わ、分かったベア!」


「えーと・・・僕も宇宙服とか着ておいた方が良いのかな?」

「いや、冴内 洋には不要だ」

「えっ、でもナノマシンが体内に入ったら・・・」

「そんなもの君の体内に入ったとしてもすぐに消滅して何の効力も発揮しない。これは絶対的に間違いようのない事実だ」


「えっ?そうなの?」

「うむ、必要がないので話してこなかったが、これまで実は様々な猛毒物質が君の体内に入り込んできたのだが、君が成長し強靭な肉体になっていくごとに全く無力無害なものになっていったのだ」


「そうなの!?」

「君にも思い当たるフシは何度もあったと思うが」

「そう言われてみれば・・・」


 冴内は一番最初に毒に侵された記憶、ゲート世界に入って初めて巨大ハチに刺されたときの記憶や、試練の門で受けた毒や、そこいらじゅうに生えている怪しい植物を片っ端から食べた時や、宇宙空間で生存出来るための修行などの記憶を思い起こした。


「常人であれば即死級のあらゆる毒や宇宙放射線などを君はこれまで幾度となく身体に受けて続けてきたのだ。遥か昔のナノマシンなど、君の身体にとっては何らの脅威でもない。私の推測では無意識レベルで冴内 洋の付近にあるナノマシンは冴内 洋の浄化能力で消滅するのではないかと思う」


「そ・・・そうだったんだ・・・」


「さすが父ちゃんだ!」

「さすが私の洋!」

「さすがお父さん!」

「ご立派でございます洋様!」

「さえない よう、お父ちゃんはやっぱり強い、僕お父ちゃんの子供になってよかった」


「ということはそのナノマシンとかを全部消滅させることが出来れば、もう一度彼女達の星の文明は復活するだろうか?」

「うむ、少なくとも人類絶滅は回避できるかもしれないが、今【蛮族】と呼ばれている【彼女達】と子孫を残しても良いと考える男性種族が果たしているだろうか・・・」

「うーん・・・そうだよねぇ・・・」


「まぁその辺りの事は、我々がどうこうしようとするのではなく、この宇宙の人達の代表である宇宙連盟に任せようではないか」

「それもそうだね」


「じゃあとりあえず僕等は彼女達を無力化することにしよう。優が彼女達を全員眠らせたら僕も船に乗り込んでナノマシンを消滅させることが出来るか試してみるよ。そうすれば万が一何かがあってもゲストの皆さんに害が及ぶこともなくなるからね」


「おおサエナイ殿!そうしていただけるベアーか!」

「はい、やってみます!このことを宇宙連盟の人達にも伝えてくれる?」

「うむ、了解した」


 こうして招かれざる客達への出迎え方針が決まった。その頃宇宙連盟の本陣ともいえる艦隊司令部にはさいごのひとロボ2号機と音声ガイドロボ2号機が到着し、この最新情報を説明し始めた。


「・・・という状況のようだ」

「フゥム・・・それにしてもナノマシン、しかもおぞましいことに対人兵器の類だとは・・・まだまだ我々の未知の領域は数多いのですな・・・」


「君達の宇宙にはリングゲートはないのかね?」

「リング、ゲート?・・・それはもしかして宙移門のことでしょうか」

「宙移門・・・なるほど、そうだ。宇宙に存在する異なる2つの座標位置を結びつける技術のことだ」

「はい、あります。稼働出来ているのはまだ4か所程度で、距離もまだまだ短いものですが数百年前に実現可能となりました。次元調整装置がまだまだ理論に追いついていないという現状です」

「ほう!その段階であれば技術の完成まであともう少しというところだ」

「なんと!そうなんですか!」


「次元調整装置が完成すれば距離は飛躍的に伸ばすことが出来るだろう。後はどれだけ装置を巨大化出来るかというのと生産性を向上させることが課題になるが、良ければこちらの技術を紹介しようか?」

「ほっ!本当ですか!?」

「うむ、我々の宇宙連合規約では優れた文明と高度な良識を持つ文明人との交流においてはそれを規制することはなく、積極的に技術交流することを勧めているのだ」

「素晴らしい!是非ともお願いしたいところです」


「リングゲートが完成すれば、冴内達のいる星にも設置して自由に行き来することが可能になるので、私としても是非貴君らと強力してリングゲートを建造したいと考えている」

「なるほど!それには私個人としては大賛成です。恐らく議会承認でも賛成を得られるでしょう」


「うむ、次に冴内達がこれから接触する【蛮族】と仮称する種族達の処遇についてだが、冴内達は最終的にはその者達の星に赴いてナノマシンを全て除去するだろう」

「何故サエナイ殿はそこまで・・・」

「それが冴内 洋という存在で、ひとえにそれを我々は宇宙の愛と呼んでいる」

「宇宙の・・・愛・・・」


「・・・」


「・・・なるほど、これは私の単なる想像ですが、サエナイ殿達がこの宇宙にやって来たのも、その宇宙の愛によってなのかもしれませんね・・・」

「なるほど、それは興味深い」


 もちろんこの場の全員が【良く分からないモノ】によって冴内達がこの宇宙に呼び寄せられたということは既にさいごのひとの思念体AIから知らされているが、さらにその現象を超えて、それすらも宇宙の愛による思し召しなのではないかと想像してしまうのであった。


「【蛮族】・・・いや【彼女達】については、時間をかけて議論する必要があります。まずは平和的な対話が可能になることから築き上げていく必要があるかと思います」

「うむ、同意する。【彼女達】が絶滅するまではまだ数百年はあるという計算結果が出ているが、少しづつ理性的な個体、いや、人物を選定して種の保存を検討してもいいかもしれないな」

「なるほど、それほど遠い未来でも近い未来でもないということですか・・・後は人道的な側面として【彼女達】が保護対象かどうかという議論も必要になってきますな・・・」


「うむ・・・もしかしたらその判断を先に冴内 洋がしてしまうかもしれない・・・」

「サエナイ殿が・・・ですか?」


「うむ、冴内 洋は有り得ない程の超異能能力者である前に、ごく普通の人間として当たり前にありきたりに優しい一人の青年なのだ。普段は本当に冴えない一人の青年、それこそが冴内 洋なのだ」

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