212:おとめ観光株式会社
大浴場の湯を良子が手ですくって何の躊躇もなくゴクリと飲み干すと、げんしょのひとの思考生命体が成分分析をしたらしく、それによるといつも冴内達が入浴する大闘技場近くのオープン居住スペースから持ってきたお風呂の湯と同等レベルのお湯であることが判明した。
「病気や怪我、慢性疲労や美容にすごく良いって皆が教えてくれたよ!もちろん飲んでもとっても良いんですって!」
「それはすごい!おとめさんありがとう!すごく素敵な星になったよ!」
『ウフフフ、どういたしまして冴内はん』
「えっ?うわっ?今の声誰?何?直接頭の中に響いてきたぞ!」(温子)
「恐らく洋さんが言ってたおとめぼしだ、星が直接語りかけているんだ」(恵子)
「マジか!!」(温子)
「凄いニャ!お星さま、ありがとうニャ!」
「なんかすごくウマそうなモノがたくさんある感覚がプンプンする!お星さまありがとう!」(美衣)
「カラスちゃん達も、美味しい果物がたくさんあって、イヤな生き物達がいなくなって安心だって言ってくれたよ!お星さま有難う!」(良子)
「こんなに素敵な星になって、こんなに素晴らしい温泉大浴場があれば、またお客さん達が沢山来てくれます!お星さま有難う御座います!」(花子)
『ウフフフ、めんこいめんこいお嬢ちゃん達、有難うな、それもこれも全部冴内はんがおとめぼしなんちゅう素敵な名前を付けてくれたおかげや、ほんにありがとうな冴内はん』
「こちらこそです!本当に有難う!お星さま!」
『どういたしまして。それではさらばじゃ』
「「「さようならー!」」」
「いやー・・・しかしホント驚きました、まさか星が語りかけてくれるなんて全く想像すらしてきませんでしたよ」(恵子)
「うん、以前大闘技場でスーパー太陽と闘ったときにスーパー太陽さんに教えてもらったんだ、星はその星に生きるあらゆる生命と会話出来るんだけど、ものすごくシャイだから滅多に話すことはないんだって」
「シャ・・・シャイなんだ・・・星って」(温子)
「しかし洋さん、こりゃどうします?一夜にしてこんなに激変してしまったわけですが調査継続しますか?」(恵子)
「そうだねぇ・・・♪ピコーン!あっ閃いた!」
「おっ!閃きましたかい!?」
「うん!昨晩僕は星に自然豊かな観光名所になって欲しいって願って、まさしくその通りの星になったんだから、この星で本格的に観光事業を始めて、沢山の宇宙人観光客に来てもらおうと思うんだ!」
「なるほど!この星ならそりゃ大当たりですぜ!じゃない、ですね!」
「その観光事業を君達に任せてもいいかな?」
「えっ?アタシらにですか?」
「うん、僕等も出来る限り手伝うけど、出来れば君達で運営していって欲しいんだ」
「ど・・・どうする皆?」
「今はお前がリーダーだっぺよ、オレ、じゃないアタシらはお前にの決定に従うっぺよ」
「あぁ元子の言う通り、アタシらは恵子の決断に従うぜ、じゃない、従うわ」(拓美)
「フフフ、でももう恵子の中で答えは決まってるんじゃないのか?」(冷香)
「まぁいーんじゃねーの?」(温子)
「「「ウンウン」」」
「よし分かった!やろう!アタシらでこの星を宇宙一の観光名所にしようじゃないか!」
「「「おおーーーっ!」」」
「良美お姉ちゃん、これあげる!」
「美衣師匠、これは?」
「これはこの星の名物レストランの全ての料理のレシピが書かれている秘伝の書だよ!」
「これは!美衣様の宝物!いただけません!」
「いや、もうこの本に書かれていることはアタイの頭の中に全部入ってる、これからは良美お姉ちゃんがこの星の名物レストランの料理長になって、沢山の人達に美味しい料理を食べさせておくれ、良美お姉ちゃんはもうアタイと同じ位料理が上手になってるから大丈夫だ!」
「うん!良美お姉ちゃんは凄く料理が上手になったと思う!」(良子)
「そうね、私もそう思うわよ!」(優)
「み・・・皆さん・・・ありがとうございます!アタシの夢は自分の店を持つことでした、それがこんなにも早く、こんなにも素晴らしい形で叶うだなんて・・・うっ嬉しいです、とても嬉しいです!!」
「良かったな良美!」(拓美)
「良かったっぺよ!良美!」(元子)
「やったな良美!」(冷香)
「おめでとうございます!良美姉さん!」(るき)
「やったニャァ!アタシも嬉しいニャァ!」(ニア)
「ケシシシ!最高の温泉に旨い料理とくりゃあ観光客もバンバンやってきてガッツリボロ儲け間違いなしだぜケシシシシ!」(恵子)
「オイコラッ!洋さんの前だぞ!」(温子)
「・・・ウグッ!す!すいませんつい地が出てしまいました・・・」(恵子)
「いや、いいんだ、ボッタクリはダメだけど、ちゃんと対価はもらっていいと思うよ、色んな維持費のためにお金は結構かかると思うからさ」
「確かにそうですね、設備の維持費や自然維持やサービスの維持・・・これだけ価値ある星を維持するとなるとかなりお金はかかると思います」(恵子)
「洋様!お願いがあります!」
「うん?どうしたの?花子」
「私・・・ここで働きたいです、沢山の観光客の人達をおもてなししたいです!」
「もちろんいいよ!大賛成だよ!花子がやりたいことを自由に思いっきりやってよ!」
「ありがとうございます!」
「花子さんが居てれりゃ最高に大助かりですぜ!じゃない、大助かりですわ!」(恵子)
「いつも思うんだが、無理に女言葉にしなくてもいいんじゃないのか?」(冷香)
「いや、これからアタシらは沢山の観光客の人達を相手にすることになるんだ、印象を悪くさせないためにもこれまで以上に話し方には気を付けないといけないと思う」(温子)
「なるほど、そうだな・・・そうですわね」(冷香)
「アタシはあんまり自信がないっぺ・・・」(元子)
「元子姉さんはそういうキャラでいいと思います!温かみがあるから、そういうのが好きな人もきっと沢山いてくれると思います」(るき)
「そうだっぺか・・・」
「そうだニャ!アタシも元子お姉ちゃんはそのままで良いと思うニャ!そのままが好きニャ!」
「ありがとう!嬉しいっぺよ!」
「本格的に観光事業をやるということなら、事業申請とか色々やる必要があるのかなぁ・・・僕はそういうことは全く知らないんだよね・・・やっぱり神代さんに頼るか・・・」
「カ・・・カタギの仕事だ・・・」(温子)
「あ、あぁアタシ達はこれからは真っ当な仕事をやるんだ」(恵子)
「し、しっかりしないと・・・」(冷香)
冴内は白い消しゴム状の携帯端末の方を使って神代に連絡した。違う宇宙の違う星なのでゲートシーカー通信端末では地球とは繋がらないのだ。一通りの事情を説明すると、全てはこの神代にお任せくださいとのことだった。毎度のことながらいつもいきなり丸投げしているのに快く引き受けてくれて、しかも完璧に期待以上の仕事をしてくれる神代には頭が上がらない冴内だった。
「全てこちらでつつがなく進行しておきますので、差し当たって冴内様には、新しく立ち上げる観光会社の会社名を決めておいていただけます?」
「会社名ですか?・・・名前、大丈夫かなぁ」
一瞬名前付けで考えてしまった冴内であったが、生き物などと違って会社に付ける名前だから、姿形が変化変容することもないだろうと思い至り、その場で軽く閃いた名前を言ってみた。
♪ピコーン!
「おとめ観光株式会社ってどうかな?」
見事にそのまんまだった・・・
「ケシシシ!おとめ星をしろおとめ団のアタシ達が観光のお仕事をする会社で、おとめ観光カブシキ会社か!分かりやすいし覚えてもらえやすいしいいんじゃないですかい?」
「そうね!そのまんまだけど、かえってそれが一番良いと思う!」(温子)
「異議なしだ」(拓美)
「うん、私も異議なし」(冷香)
「それが良いっぺよ!」(元子)
「あたしも賛成です!」(るき)
「良い名前ニャァーッ!賛成ニャァーッ!」(ニア)
「私も賛成です、レストランの名前もおとめレストランにしたいです」(良美)
「「「賛成!賛成ーッ!」」」
かくして、おとめ星でしろおとめ団が運営するおとめ観光株式会社が設立することになった。