208:結婚しよう!
奈良ゲートビレッジに戻ってきたしろおとめ団達であったが、龍美はもう居ても立っても居られない様子を隠すことなく、報酬の宝箱をえるに押し付けて良美にあげてくれと言ってみんなのほしのゲートの中に入って行った。
慌てて龍美の後を追いかけてしろおとめ団達もみんなのほしへと向かって行った。
「おいおい!お前の宝だぞ!ホントに良美にあげてもいいのか?」(える)
「かまわん!私は間もなく龍になるのだ、人族のアイテムはもう必要なくなるのだ!」
「あっ・・・それもそうか・・・」(える)
「「「うんうん」」」
「あっ!良かった!いてくれた!洋さん!」
「あっ皆!おかえり!」
「すまん!その・・・りゅう殿に連絡していただけないだろうか!」
「えっ?りゅう君?・・・♪ピコーン!分かった!願いが叶いそうなんだね!」
「そうなんだ!願いが叶うんだ!」
「やったね!おめでとう!もしもし!りゅう君!りゅう君!こちら冴内です!りゅう君!」
「りゅう殿!りゅう殿!龍美もおります!」
「・・・おお!冴内殿!むっ!そして龍美殿!」
「あぁ・・・りゅう様・・・りゅう様・・・お会いしとうございました・・・」
「た・・・龍美殿・・・その・・・それがしもでござる!」
「りゅう君!龍美さんがこれから龍の姿に戻れることになったんだ!今からこっちに来れないかい?」
「なんと!それはまことでござるか!」
「はい!りゅう様!試練の門の最終ステージを攻略したので、願いが叶えられるのです!」
「なんと!それは僥倖!待たれよ!今すぐに参りまする!」
「龍美さん僕等は龍族のリングゲートに行こう!」
「はい!」
いつの間に覚えたのか龍美は冴内の後について空を飛んでいった。
「おいおい!空を飛ぶとかどうなってんだ!?もう既に龍みたいじゃねぇか・・・かしら」(える)
「ともかく私達も行きましょう!」(誠)
「「「おう!じゃない、ええ!」」」
龍族のリングゲートからりゅう君が現われるのと冴内と龍美が到着するのはほぼ同時だった。
「りゅう様!」
「龍美殿!」
龍美はりゅう君の大きな顔の鼻頭に抱き着き、互いに目をつぶった。少しの間そうした後、龍美は試練の門の最後の報酬でもらったクリスタル製の美しい容器を取り出した。
「皆様、私から離れて下さい!今から聖なるエキスを飲んで私は龍の姿に戻ります!」
「「「分かった!」」」
龍美は一切迷うことなく一瞬の躊躇もなく聖なるエキスを一気に飲み干した。すると龍美の目と口から凄まじい閃光がほとばしり、さらに龍美の身体は眩い光に包まれた。その光はぐんぐん大きくなっていき、光のシルエットがいかにもりゅう君と同じようなシルエットになっていった。
やがて光がおさまると、全身純白の実に美しい龍が現われた。どことなく女性を思わせる雰囲気を漂わせており、どこか気品漂う高貴な存在のようにも感じられた。
【グワァーオーゥゥーーーー!!】
「おお!その姿!そしてその美しき龍声!龍美殿はまぎれもなく我々龍族!それもかなりの上位種族で間違いない!なんと素晴らしい龍だ!!」
「りゅう様!ワタクシ!ワタクシ龍になれたのですね!」
「さようでござる!実に立派でこの上ない程美しい龍でござる!」
「あぁりゅう様!りゅう様!」
「龍美殿!」
「りゅう様!お願いがございます!」
「いや!龍美殿!その先はそれがしに言わせていただきたい!古風かと笑われるかもしれぬが、やはり男子たる者、是非とも拙者の口から言わせていただきたい!」
「りゅう様!」
「龍美殿!拙者と結婚していただきたい!拙者と未来永劫の夫婦となっていただきたい!」
「はい!私は喜んでりゅう様の妻になります!」
「「「ワァーーーーーーッ!!」」」
「うう・・・やったな龍美・・・」(える)
「良かったな龍美・・・グスッ」(恵子)
「ちきしょう良かったな龍美ズビーッ」(温子)
「良かったっぺ!良かったっぺ!うわぁぁ!」
「龍美姉ちゃん良かったにゃぁぁうわぁぁん!」
「「「良かった良かった!うわぁぁぁぁ!」」」
「あぁ・・・いいもんだなぁ・・・うん、こういうのを見るだけでとても幸せな気持ちになるよ」
「そうね、二人ともすごく幸せそう」(優)
「龍美姉ちゃん龍になれて良かったな!りゅう君も格好良かったぞ!」(美衣)
「うん!二人とも凄く嬉しそうで、私もすごく嬉しくなる!」(良子)
「お二人ともステキです!」(花子)
「みんな・・・そして洋様、本当に有難う・・・ようやく私は本当の自分を取り戻した感じがします、このご恩は一生涯忘れません」
「拙者は冴内殿から名前ばかりか、拙者にはもったいない程の素晴らしき伴侶まで紹介していただきました、このご恩は拙者も一生涯かけてお返しする所存であります」
「うん、本当に良かったね龍美さん、そしてりゅう君、だけど前にも言ったけど一番の恩返しは君達が幸せいっぱいで嬉しそうに楽しそうにしている姿を僕等に見せてくれることだよ、だからこれからいっぱい幸せになってね!」
「有難う・・・有難う・・・」
「さすが冴内殿でござる・・・さすが、宇宙の愛、冴内殿でござる・・・」
「♪ピコーン!そうだ!恩返しと言っちゃなんだけど、このみんなのほしで披露宴のパーティーをやりたいな!結婚式は多分りゅう君の星で正式に厳かにやりそうな感じがするから、その後落ち着いたらこの星でパーティーをやりたいんだ!沢山の宇宙人や仲間を呼んで目一杯盛大に楽しくやりたい!」
「さんせい!さんせい!さんせい!アタイ沢山ご馳走作るよ!」(美衣)
「賛成!私も作るわよ!」(優)
「私もー!」(良子)
「私は沢山の人をおもてなししたいです!」(花子)
「あっ!あのっ!・・・わっ・・・私も神代さんと一緒に参加していいですか!」(誠)
「えっ?誠さん・・・と神代さん?」
「洋さん洋さん、どうやら誠とカミシロのダンナは結婚するそうですぜ、いや、ですわよ」(恵子)
「えっ!!ホント!?それはすごくいいね!!おめでとう!大賛成だよ!!」
「あっ!ありがとうございます!!」
「ってことだけど、りゅう君龍美さんどうだろう?いいかな?」
「もちろんでござる!」
「もちろんです!」
「ガハハハ!こいつぁ楽しくなってきたっぺよ!」
「うん!最高に嬉しい気分だにゃぁーーーっ!!」
その後、りゅう君はオジサンや名誉会長に龍美を連れて紹介と報告に行くということで、龍美と一緒にリングゲートの中に入って行った。
誠は神代に電話して事の次第を見事に簡潔に的確に報告し、二人も出来るだけ早急に式を挙げようということになり、誠は早速神代と打ち合わせるべく富士山麓ゲート研修センターに向かって行った。
龍美が元の龍に変容した場所の地面には、武器として使っていた剣やアイテム格納ポケットなどの道具とゲートシーカー専用携帯端末が落ちていたが、しろおとめ団の制服のバトルスーツや下着や靴などは落ちていなかった。恐らく龍に変容したときに融合したのだろう。もしかしたら純白の龍になるのに少しは貢献したのかもしれない。
「マッタク、慌ただしいことだぜ、いや、ことね」と、龍美が残した品を拾いながらえるは言った。
「あぁ、これで龍美姉さん、誠、そして良美の3人がそれぞれの道を歩むことになるんだな」(冷香)
「なんか・・・ちょっと寂しい気もするけど、でもスッゲー良い気分だぜ!だわ!」(温子)
「ケシシ・・・シ・・・ッ・・・ウグッ・・・グスッ・・・」
「なっなんだよ恵子、オメェ泣いてんのかよ・・・グスッ!」(温子)
「そういうオメェも泣いてるっぺよ!ズビィッ!」
「だ・・・だってよ・・・だってよ・・・」
「「「うわぁぁぁん!うわぁぁぁぁん!」」」
「父ちゃん、どうして皆泣いてるんだ?」
「うん、すごくすごく嬉しいんだよ、とても大事な家族が幸せになれたことが自分のことのように嬉しくてたまらないんだよ」
「そうなのか・・・なんか、アタイにも分かる気がする・・・ココがとても温かくなる・・・」
美衣は自分の胸に手を当てて目をつぶった。その目からは少しだけ涙が浮かんでいた。