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207:願いよ届け!

 翌日からしろおとめ団達、というよりも龍美は猛ハッスルで入場開始からドラゴンブレスで破竹の快進撃をし続けた。


 ドラゴンブレス連発で消耗した分は冴内からもらった例のヤバイ桃ジュースを千倍に薄めたものを飲んで回復した。ちなみにこれまでは一万倍に薄めないと危険過ぎて飲めなかったのだが、ステージクリアによるステータスアップでかなり強靭な肉体、というよりも人間離れしていったのだ。


 さらにステージ終了ごとにドラゴンブレスのレベルも急上昇していきもはや龍美を止める者は誰もいなくなった、というより手が付けられない程チート級の強さに急成長していた。


「龍族やべぇな・・・」(恵子)

「あ・・・あぁ・・・」(温子)

「さすがリーダーにゃ!アタシよりも強いにゃ!カッコイイにゃ!」

「なんていうか、ドラゴンブレスはやっぱり龍が吐くからサマになるってもんだが、人の姿だとゲボ吐いてるみたいでサマにならねぇな、じゃない、ならないわね」(える)

「「「・・・たしかに」」」


 結局昼までに第3と第4ステージまで攻略してしまった。そのほとんどが危険対象物と接敵するまでの移動時間で、戦闘時間自体はほぼ一瞬だった。


「試練の門よ、教えて欲しい事がある!本来ならばこういった事は聞くべきことではないのは承知しているのだが、私の未来がかかっているのでどうしても知りたいんだ!」

『伺いましょう』


「今私達が挑んでいる試練の門は全部で何ステージまであるんだ?力堂に聞いたところでは百もあると聞いたのだが・・・」

『あなた達が今挑んでいる難易度は、元々設定された通常の難易度とは別に設けられたもので、言わばボーナスステージというか特別に設けられたおまけ的なものなのです、ですから今あなた達が挑んでいる試練は全部で10ステージで終了します』


「おお!わずか10ステージで終了なのか!それは有難い!」

『しかし、後半からはかなり厳しい戦いになりますので、充分気を付けてしっかりと対策をして挑んでください。ボス部屋までは何度でも挑めますからしっかりと力を付けて決して先を急がず着実に進んで行ってくださいね』

「有難う!忠告感謝する!」

『それでは次の試練でお会いしましょう』


 しろおとめ団達はいったん昼食をとりに研修センターの食堂に戻り昼食をとった。彼女達の食べる料理は良美が作った。食材はもちろん試練の門で獲得したとれたての食材であるが、肉などは巨大な塊のため8割ほどは機関の鑑定調査のために換金所にて提供していた。


「おい良美!このカツドンとかいう料理めちゃめちゃうまいっぺよ!」

「あぁ!これは実にうまい!」(拓美)

「腕をあげたな良美!」(冷香)

「おいしいニャ!おかわりニャ!」


「そういえば、結構アイテムを換金所に預けてきたが、カネって振り込まれてるんだっけか」(温子)

「ケシシ!そういえばスズモリのおっちゃんが言ってたな。ここにいると金の心配がねぇ、じゃない、ないから全然気にしていなかったな」

「どれ、確認してみっか・・・えーと」(温子)


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


「なんかゼロがやたら多くないか・・・」(温子)

「この国の桁ってなんていったっけ」(恵子)

「いや、それよりも貨幣価値が分からん」(冷香)

「まぁカネに困ってないんならいいっぺよ!」

「「「それもそうだな」」」


 彼女達の口座にはあと少しで兆に届こうとする単位の金額が振り込まれていた。通貨こそ円ではあったが、地球上全世界の機関で使える口座であり、ゲートシーカー専用携帯端末を使用することで電子マネーとして各種支払いや決済をすることが可能であった。


 午後もしろおとめ団、というより龍美はやる気満々で試練の門へと挑んで行った。第2ステージの報酬でゲットしたアイテム格納ポケットがあるおかげでとうとう荷物運び役すらもいらなくなり、龍美以外のメンバーは適当に雑談しながら龍美の後をついていくだけという有様だった。


「すまん、明日から本格的に食堂で料理の修行を開始してもいいだろうか?」(良美)

「この状況ならもういんじゃね?」(恵子)

「おいリーダー!龍美!それでいいか!?」(える)


「ンバァァァァーーー!・・・えっ!?何!?」


「いや、良美が明日から食堂で料理修行に専念したいが、それでいいかってよ」(える)

「あっ?あぁ!いいとも!大賛成だ!」

「ありがとうリーダー!オレ、じゃない、アタシはもっと料理の腕を磨いて皆にもっとウマイもん食わせる、いや、食べさせるから楽しみにしてくれ!」

「おう!そいつは楽しみだっぺよ!」

「楽しみだニャー!」

「あっもうボス部屋が見えてきましたよ!」(るき)


 第5ステージのボスは大トカゲというより、もはや恐竜と言ってもよいサイズの強敵だったが、龍美はその恐竜をも上回る龍族だったので、やはりまったくもって相手にならず開始早々ドラゴンブレスレベル4百の前に消滅した。


 その後もステージマラソンは続き、夕方までに第7ステージまで攻略完了してしまった。途中でニアが自分にも戦わせてくれと頼み挑んでみたが、結構苦戦して倒すまでに10分もかかったので、龍美は苦い顔をして次からはやはり自分がやると言い、ニアはしゅんとした。


 ちなみに約1年後に力堂達が同じ危険対象物相手に挑んだ時は2時間以上の激闘の末にようやく倒すことで出来る程の相手だった。


 明けて翌日、昼前までに第9ステージまで攻略してしまい、いよいよ残すは最後の第10ステージというところまで来てしまった。龍美は居ても立っても居られず、そのまま最終ステージまで挑もうと行ったのだが、龍美以外の全員の腹時計がグゥグゥと不平不満を表明していたので、仕方がなく研修センターの食堂に向かうことにした。


 龍美は自分一人で最終ステージに行ってもいいのだがと言ったが、せっかくだからしろおとめ団全員で攻略して龍美を祝福させてくれと言ったので、龍美は自分勝手だったすまない猛省すると言った。だが実際のところは他のメンバー達は龍美に着いていくだけで得られる報酬とステータス目当てなのであった。まだまだこの辺りは昔の海賊だった頃の影響が残っている彼女達なのである。


 食堂で良美が作ってくれたスキヤキテイショクなる料理の衝撃的なうまさにしろおとめ団達は大感激しておかわりしまくっていたが、果物と数種の植物しか食べれない龍美は早く試練の門に行きたくてうずうずしていた。


 ようやく全員満腹満足して試練の門に挑みに行ったが、龍美以外の全員がまるで妊婦のような腹になっており、モタモタ歩いてくるのを見て龍美はかなり苦虫を噛み潰したような渋い顔になった。


 ともあれ、試練の門最終ステージに入っていったしろおとめ団達であったが、最終ステージはいきなりボス部屋しかなかった。


 音声ガイドの説明では3連戦になるのでかなりの激闘になるから回復薬などの準備を十分するようにとのことだった。ちなみに難易度「この世の地獄」程むごい設定にはなっていないので途中でギブアップ棄権可能だとのことだった。


 しかしながらここでも龍美の愛の執念のドラゴンブレス、いまやレベル9百の前には最終ステージの最後のボス達もまるで紙っぺらのような弱さという有様で、開始から5分もかからずに全てのボスを倒して最終ステージも攻略し終えてしまった。


『よくぞ試練の門、難易度最高に難しいを攻略しました、まずは全員に報酬をお配りしましょう』

 いつも通り全員の目の前に宝箱が出現した。


『次に特別報酬として、たった一つ、あなた達の願いを叶えましょう』


「「「きたぁーーーッ!」」」×10


「すまん皆、いいか?」

「もちろんだ!そもそもリーダー一人で全部攻略したようなもんだからな!」(える)

「「「ウンウン」」」

「ありがとう皆!では願うぞ!」


「私を元の龍の姿に戻してくれ!それが願いだ!」


『・・・』

「「「・・・ゴクリ・・・」」」×10



『・・・その願い承りました』

「「「オォーーーッ!!」」」×10


 すると龍美の目の前に美しいクリスタルの容器が空中に出現した。


『その中に入っている聖なるエキスを飲めばあなたの願いは叶えられるでしょう。しかし注意して下さい。それを飲むとあなたはたちどころに大きな龍へと変容するので、飲む場所には十分注意して飲んでください』

「わ!分かった!十分注意する!有難う!本当に有難う!」

『どういたしまして、それでは見事試練を乗り越えた皆様に、光と幸あらんことを・・・』


 しろおとめ団達は温かい光に包まれ、試練の門の前に転送された。開始からわずか4日で「この世の地獄」を除く最高難易度「最高に難しい」を攻略してしまったのであった。ほとんど龍美一人で。


 ちなみに約1年後に力堂達も挑んだのだが、攻略完了までに1年近くかかった。しかも最後の願いはまたしても矢吹が死んでしまったので生き返らせるために使うことになるのであった。

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