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206:龍になりたい!

 翌朝、龍美と誠は実に晴れ晴れとウキウキとした顔で試練の門の前で他のしろおとめ団と合流した。


「大分ゴキゲンですね、お二人とも」

「ケシシシシ!昨日はお楽しみですかい?」

「バッ!バカ野郎!相手は本物の龍だぞ!アタシがどうにかなる相手じゃないだろうが!」

「ケシシシ!ごもっともごもっとも」


「アンタはどうだったんだ?誠」

「・・・・・・」

「ちょっ!おまっ!何顔赤くしてんだよ!」

「ガハハハ!お前の方こそ赤いっぺよ!」

「うっ!うるせぇよ!」


「・・・あの・・・私・・・け・・・結婚します」

「「「何ィィィィィ!!!」」」


 その後も試練の門の前で盛大にワイワイ騒いでいたのだが、他のシーカーの邪魔になるので、とっとと中に入ってしまうことにした。


 試練の門の中に入ると、話しの続きを聞きたくて攻略どころではなく、危険対象物を発見するやいなや、龍美の数億度のドラゴンブレスであっという間に瞬殺していった。


 不謹慎なことに既にしろおとめ団にとって、試練の門の攻略はどうでも良くなっていた。


「しかし2人ともうまいことやったっぺよ!」

「いや!私はまだやってないって!」

「ま・・・まぁアッチの方はそうかも知れないけどそれでも良い人を見つけたってことには変わりがないだろう?」

「う・・・うむ・・・」

「チェッ!否定しないのかよ!チキショー!羨ましいぜ!いや羨ましいわ!」

「ケシシシ!お前ホントに羨ましいのかよ男嫌いのくせによ」

「バ!バカ!男にもよるんだよ!アタシは龍族のことは良く分からないけど、あのりゅう君ってのはアタシが見ても格好いい龍だと思うよ!それに誠が惚れたあのカミシロとかいう男もなかなかにいい男じゃねぇか!」


「「あげないわよ!」」×2


「いらねぇよ!そういう意味じゃねぇよ!」

「ガッハッハッハ!爽快爽快!良い事だっぺ!」

「「「そうだな、良い事だ!」」」

「アタシもなんだか嬉しいにゃぁーッ!」


「ハァ・・・・」

「どうしたリーダー?」

「私も龍になりたい・・・」

「えっ?り・・・龍に?」


「あぁ・・・やはり私の身体には龍族の遺伝子があるのは間違いないらしい・・・そして本来はりゅう殿達のような立派な龍族の姿であるべきなのだが、私の身体の中で何かが邪魔しているらしいのだ」


「「「なんだってーーーッ!!!」」」


「おいヤブ医者!じゃない温子!オレのじゃない、私の身体の中で何が邪魔しているのか調べてくれないか?」

「い・・・いや、そんなこと言われたって、オレ、私にもそんなの分からねぇ・・・わよ」

「ケシシ!そういうのはさいごのひとに聞けばいいんじゃねぇ・・・のかしら」


「そうか!それだ!」

「「「ウンウン!」」」


「そうと分かれば、さっさとこのステージを終わらせて洋さんのところに戻ろうぜ!戻りましょう!」


「「「りょうかーい!」」」


 結局その後も龍美のドラゴンブレスだけでどんどん進んで行き、第2ステージボス部屋のゴリラキングすら開始早々数億度のドラゴンブレスで瞬殺して終了させてしまった。


「これもう、アタシらいらねぇな」

「あぁ、るきと良美の荷物持ちだけで十分だな」


 かくして、しろおとめ団は昼前には試練の門、第2ステージを攻略し終えてしまった。しかも第2ステージの報酬として、美衣の宇宙ポケットには及ばないがアイテム格納ポケットが全員に授けられたので、ますます龍美以外のメンバーはやることがなくなってしまう状況になったのであった。


 龍美が携帯で今日も冴内に尋ねたいことがあると問い合わせると、みんなのほしでこれから昼食を食べるからおいでよと言われたので全員みんなのほしに向かって行った。


 しろおとめ団達は美衣達が作ったランチをごちそうになりそれぞれに舌鼓をうちその絶品の味を堪能した。良美は深く頷きながらよく味わっていた。


 食後、龍美がさいごのひとに自分の身体の内にある何か本来の姿を疎外しているらしい何かの存在について相談すると、さいごのひとにも分からないらしく、げんしょのひとの思念体データベースにアクセスするのでしばし待ってくれと言って消えた。


「洋のチョップヒールと名前付けでも、その何かは消えなかったってことだとしたら結構手強いかもしれないわね・・・」

「「「あっ・・・」」」

「ううむ・・・」(龍美)


「お待たせした、それらしい事例を見つけた」

「その事例って!?」

「どうも龍封じの儀というものらしい」

「龍封じの儀!?」

「うむ、我々にも若干理解するのが難しい科学的分野というよりも精神的分野の範疇の類なのだが、かなり原始的な精神性を重んじる種族が、生まれたばかりの幼児を用いて龍の力を封じ込めるというものらしい」

「しかし実際には何らかの理由で死に瀕した龍がいて、その近くに生まれたばかりの幼児を置くだけのことだった」

「龍は死に際に粒子となり宇宙に還元されていくのだが、あまりにもその力が強いため、もしもその近くに生まれて間もない生命力の生物が存在した場合はその生命体に還元してしまうのだ」


「「「なんだってーーーッ!!」」」


「そ・・・そんなことが私の身に起きていたのか、そう言われてみれば・・・なんとなく、分かる気がする・・・初めてりゅう殿を見たときも何か自分の中で何かが目覚めたような気がしたんだ」

「うむ、普通の人間種族ならば龍族を見ても大抵は畏怖するだけだ」

「そうだったのか・・・」


「えっと、それで龍美さんを元の龍の姿に戻すことって出来るのだろうか?」

「不可能ではない・・・としか言えない」

「えっ?それってどういうこと?」


「うむ、冴内 洋のヒーリングや名前付けでも除去出来なかったのは、恐らくそれが本人にとって害悪ではなかったからだ」

「いや、より正確には冴内 洋がヒーリングや名付けをしたその時点では、しろおとめ龍美本人にその自覚が全くなかったのでそれが除去されるべき害悪として処理されなかったのだ」


「じゃあもう一度僕がチョップヒールを使えば除去できるってこと?」

「恐らくそれでは除去出来ないだろう」

「えっ!そうなの!?」


「うむ、これは本人の相当強い意思がなければ外れないと思われる」

「そもそも生命体として極めて頑強な龍が死に瀕して粒子になる程の時に赤子の中に還元してまったのだから、それを解くにはそれを超える程の強い意思や外的要素が必要だと推測する」


「・・・・・・」


「つまり・・・要するに私自身の強い気持ちの問題だっていうことだな」

「あまり科学的根拠のある理由ではないのが心苦しいが、端的に言うとそうだ」

「分かった!それ程絶望的状況じゃないことが分かっただけでもスッキリした!有難う!」

「すまない・・・いや、冴内 洋に習っていうと、私も有難うと言うべきか、何かしらの答えになったようで私としても良かった」


「願い・・・強い思い・・・願いか・・・願いね、うーん・・・」

♪ピコーン!

「そうだ!願いは願えばいいんだ?」

「どうした父ちゃん、なぞなぞか?難しいぞ」

「どうしたのお父さん、それって哲学的な何か?」


「い・・・いや、すいません・・・えっと、そんなレベルの高い話しじゃないんだけどね・・・その、試練の門を最後まで攻略したら、願いが叶えられるんじゃないかな~って思ってさ・・・だ・・・ダメかな?」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「!!!!!!」


「「「そっ!それだァーーーッ!!」」」


 珍しいというか恐らくこの時初めてさいごのひとも加わって、辺り一同全員がその可能性に激しく同意したのであった。

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