205:恋の予感
しろおとめ団達は早速冴内達に事情を説明し、彼女達のステータスをオープンして見せた。
「うわっ!皆凄い数値だね!・・・って、んんん?エェェーーーッ!!」
「どうした父ちゃん?」
「どうしたの洋?」
「どうしたのお父さん?」
「洋様いかがなさいました?」
「い!いや!龍美さんがその・・・えっと・・・」
「そうなんだ洋さん、自分でも驚いてるんだ」
「父ちゃん龍美姉ちゃんのどこがへんなんだ?」
「いや、その・・・1万歳とか・・・ドラゴンブレスとか・・・」
「まだ若いわね!」(優)
「龍族なら成人して間もないくらいですよ」(良子)
「えっ!?あっ、そうか・・・龍美さんは龍族だから・・・って、そうなの!?」
「そうですよ」(花子)
「「そ、そうだったのか・・・」」(冴内&龍美)
「皆さん、この私のスキル、ドラゴンブレスとかって何のことか分かりませんか?」
「くちからいっちょうど・・・そうだ、漢字ドリルの練習の成果を見せないと・・・口から一兆度の炎を履く、間違えた、吐く攻撃だ!スゴイぞ!」
「「「えぇーーーッ!」」」
「いやいや美衣、あれはりゅう君達の名誉会長の凄い人っていうか龍さんだから出来たんだよ」
「あっ、そうか、そうだった」
♪ピコーン!
「待てよ、ドラゴンのことならりゅう君に直接聞いてみるのがいいのか!」
冴内はちょうど今いるホールケーキセンターの前に置きっぱなしの例の通信装置機能付きテーブルの前に立ってりゅう君を呼び出した。
「もしもしりゅう君、りゅう君いますか?冴内 洋です!もしもーし!」
「・・・おお!冴内殿!お久しゅうございます!」
「あっりゅう君だ!アハハハ!美衣だよ!」
「おお美衣殿!会えてうれしいでござる!」
「して冴内殿、本日はいかな用でござろうか?」
「うん、ええとね、龍美さんこっち来て」
「あっ・・・はい!」
「こちらしろおとめ龍美さんっていう人で、僕達ゲートシーカーの仲間なんだけど・・・」
「・・・ッ!!!」(りゅう君)
「・・・ッ!!!」(龍美)
「えっと・・・あれ?どうしたの2人とも」
「ゴホン!い、いえ!何でもないでござる!」
「はっ!はい!何でも・・・何でもないです!」
「そうなの?えっと、龍美さんはこう見えて龍族らしくて、ドラゴンブレスについて教えて欲しいそうなんだ」
「ドラゴンブレスでござるか?ドラゴンブレスは身体の中で生命エネルギーを凝縮させて一気に口から吐き出すものでござる」
「今ではそれが出来る者はかなり少なくなってしまいましたが、それがしは冴内殿から名前を頂いたおかげで出来るようになりました」
「文明が発達したことで、我々龍族も随分軟弱になったものだと嘆くご老体も大勢おります」
「そうなんだ、龍族もそうなんだね」
「その・・・りゅう・・・さん」
「は・・・はい!ななな、なんでござろうか?」
「そのドラゴンブレスのコツ、みたいなのを教えてもらえないだろうか・・・」
「・・・!!!わっ、分かりました!今からそちらへ行っても良いでしょうか?」
「あっそうか!リングゲートがあったね!えっ?でも今りゅう君いつもの家にいるんじゃないの?」
「今それがしは里帰り中でござる、冴内殿が宇宙イナゴ討伐を終えたので、ずっと駐在していなくても良くなったのでござる!」
「そうなんだ、それは良かった!」
「では今すぐにそちらに行くでござる!」
「うん!よろしくお願いするよ!」
「やった!りゅう君こっちに来るのか!」
程なくしてリングゲートからりゅう君がやってきた。名誉会長には及ばないものの、りゅう君の全長は30メートル程もあり、冴内に固有の名前を付けられたことにより見た目だけは名誉会長にも負けず劣らず立派であり、かなりのイケメンだった。
「ス・・・スゲェ・・・本物の龍族だ・・・」
「は・・・初めて見た」
「すごいにゃぁーッ!カッコイイにゃぁーッ!」
「冴内殿!ご無沙汰でござる!」
「わー!りゅう君ー!」
「りゅう君!久しぶりね!」
「おお!美衣殿!優殿!も元気そうで何より!」
「あっ!あのっ!しろおとめ龍美ですっ!りゅうさん、初めまして!よろしくお願いします!」
「たっ!龍美殿!・・・こここ、こちらこそ、以後よろしくお願い申し上げる!」
「はっ!はいっ!」
「ケシシシシ分かりやすいな、この2人」
「ガハハハ分かりやすいっぺよ」
「でも、身長差ありすぎじゃねぇか?」
「いや、身長とかどうとか以前の様な気がするが」
「まぁまぁ、2人の邪魔にならないように私達は私達で相談しましょう先輩方」
「んだな」
りゅう君と龍美がなかなかに良い雰囲気なので、他のしろおとめ団達は気を利かせて2人きりにしてあげて、冴内達に相談することにした。ニアには今後美衣がマンツーマンで指導することにして、えるには優が指導することにした。
恵子と温子には良子が戦術分析と救護と回復に関する知識を教えることにして、るきには旧姓早乙女が運搬技術を伝授することにした、早乙女はかなりお腹が大きい状態で今は仕事を休んでいてヒマだったということで喜んで引き受けてくれた。
良美は富士山麓ゲートの食堂に行き、見習いでいいので修行させて欲しいと頼み込みに行ったが、その際どの程度の腕前か見極めるために得意の料理を作ってみてくれと言われて作ってみたところ、かなりの腕前であることが分かったので見習いどころかすぐに料理人として採用された。
残る、拓美、誠、元子、冷香には冴内が神代に相談して、槍術、弓術、格闘術の達人を紹介してもらい、技術面での指導をしてもらうことになった。
その際、元副機関長でしろおとめ団随一の誠実な性格の誠は思い切って神代に誰か意中の人はいるのかと聞いた。
神代は耳まで真っ赤にして「いません!未婚です!」と即答し、誠は「今度お話し出来ませんか」と尋ねたところ「出来ます!いつでも出来ます!」と即答。では本日の指導を終えたら連絡しますということになり、何やら事態は急展開を迎えそうな勢いだった。
一方、みんなのほしではりゅう君と龍美がいい感じの雰囲気であり、龍美がりゅう君のウロコや立派なツノなどにボディータッチする程の仲にまで進展していた。
「ホントだ!りゅうさんの言う通り龍脈っていうのが分かる気がします!」
「おっ!分かるでござるか!やはり龍美殿は紛れもなく龍族でござるな!このように身体の中のエネルギーを集めていくのでござる!」
龍美がボディータッチしていたのは、りゅう君の身体の中に流れる龍脈を感じるためであった。
「これを腹の中心に集めて溜めていくのでござる、そして集まったエネルギーを一点に集中して放出するのがドラゴンブレスでござる、威力弱めでござるがやってみるので少し離れて下され」
「はい!・・・どうぞ!」
「では行くでござる!・・・ンバァァァァ!!」
「凄い!・・・綺麗・・・」
「・・・さ、では龍美殿、やってみるでござる!」
「はい!」
「スゥゥゥゥ・・・ハァァァァ・・・・」
「スゥゥゥゥ・・・ハァァァァ・・・・」
「スゥゥゥゥ・・・ハァァァァ・・・・」
「そうそう、それでいいでござる、良い感じで龍脈が流れているでござる」
「スゥゥゥゥ・・・ハァァァァ・・・・」
「スゥゥゥゥ・・・ハァァァァ・・・・」
「スゥゥゥゥ・・・ハァァァァ・・・・」
「何か・・・お腹に熱いものが溜まっていく感じがします・・・」
「おお!それはかなり脈があるでござるぞ!最初から全開で放つと喉を傷めるので、まずはその威力で良いので放たれてみよ!一点に集中するのをお忘れなく!」
「分かりました!やってみます!」
「スゥゥゥゥ・・・ンバァァァァァ!!」
次の瞬間、龍美の口から全長100メートルにも及ぶ青白い炎が放たれた。ちなみに中心温度は数億度にも達していた。
「やった!やりました!りゅう様!」
「おお!龍美殿!見事なブレスだ!実に美しい、まさに貴殿のように美し・・・ッ!」
「・・・ッ!?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
しばらく見つめ合い互いに顔を赤らめる1人と1匹であった。
その夜龍美と誠は食堂には現れず、結局帰ってこなかった。一応携帯端末には明日の朝試練の門の前で会おうというメッセージが入っていた。