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203:しろおとめ団本格始動

 翌朝しろおとめ団は力堂達と一緒に手代木が運転するマイクロバスに同乗して奈良ゲートのある玉置神社駐車場に向かった。すぐ後ろで元総舵手の元子が熱心に運転操作を興味深く見ていた。


 途中で荷車をそれぞれ1台ずつ調達して、ロープやバッグに折り畳みのプラスチックケースなども仕入れて試練の門に向かって行った。


 先に力堂達が試練の門難易度「非常に難しい」に挑んでいき、続いてしろおとめ団達が難易度「最高に難しい」に挑んでいった。その際多くのシーカー達から励ましのエールをもらい、手を振って応えて入っていった。


 力堂や機関職員達から聞いていた通り前回から20時間経過していたので案の定昨日と同じところで巨大イノシシがいた。


 元航海士の恵子が手短に指示して、まずえるが覚えたてのファイヤーボールを最大火力の半分以上の魔力でぶっ放したところ、なんと巨大イノシシはその一発で消滅した。


「「「スゲーーーッ!!」」」

「オイオイ!ウソだろー!!」

「える!お前そんなに強かったのか!ってオイ!える大丈夫か!!」


「ハァ・・・ハァ・・・だ、大丈夫だ・・・つい師匠に教わった以上の力を出してしまった・・・なるほど、体力がごっそり持っていかれるっていうのはこういう感じなのか・・・」


「温子!」

「わかってるって!ホラえる!えむぴーぽーしょんだ、飲め!」

「ありがとう・・・ゴクゴク・・・フーーーーッ!うおっ!スゴイなこれ!あっという間に体力が回復したわ!」


「良美!荷車持ってきてくれ!」

「あいよ!」


「幸先いいですね!リーダー!」

「そうだな、力堂や職員達のおかげで大分やれそうな気がする」

「アタシもにゃんだか調子がいい気分だにゃ!ガオーッ!」


 しろおとめ団達は先を進んで行くと15分程進んだところでまたしても前方に何やら黒い巨大な岩のようなものが行く手を阻んでいるのを見た。


「あれはクマとかいうやつだ・・・あんなデカイのはちょっとヤベェかもしれないな・・・」

「ななな・・・なによ、恵子いつもの威勢はどどどどうしたのよ」

「バカ、考えてもみろよ今回オレ達は、じゃない、アタシ達にはパワードスーツも浮遊戦車もないんだぞ、生身でしかもこんな原始的な武器だけで戦わなきゃならないんだ、慎重にならねぇと死ぬだろが」

「そ・・・そうだった・・・ガクガク」


「とりあえずもう一度アタシがやるか?」

「そうだな、まずはえるの魔法とやらをぶっ放して様子を見よう、次にアタシが矢を放つ、良美とるきは後ろに下がっていつでも逃げられるように荷車を下げてくれ、拓美と誠は槍で迎え撃って突進を防いで足止めするんだ、くれぐれも今回は槍を投擲すんなよ、足が止まったらリーダーが剣で足を狙ってくれ、ニャア子はクマの注意を引き付けてくれ、いいか!?」

「「「わかった!」」」

「よし!やる・・・わよ!」


 恵子の戦術指示通りまずはえるがもう一度ファイヤーボールをさっきよりもさらに強く放ち、すかさず温子がMP回復ポーションを飲ませた。残念ながら巨大なクマは消滅せず、彼女達に向かってきたが明らかにかなり弱っていたので、拓美と誠は自ら進んでいった。クマが立ち上がり両手を広げて威嚇してきたところへ巨大な腹めがけて槍を突き刺したところ、クマは悲鳴をあげてかなり効いてるのが分かったので、恵子は戦術を変更してニアにとどめを刺すように言った。


「まかせるにゃあ!ガオーッ!」

 戦闘獣モードになったニアは巨大なクマの太い首元に鋭い爪を深々と突き刺すとクマはそのまま消滅して消えた。


「ガオーーーッ!!」

「「「うぉー!やったーッ!」」」


 巨大なクマが消滅して消えた後には、やはり毛皮と巨大な肉の塊と今度は牙ではなく巨大な熊の手が落ちていた。


「なんだこれ?手か?なんで手なんだ?まぁいいか一応これも拾っておこう」


 ちなみにこの熊の手は後日数十億の値がついた。多数の難病に瀕した人々を救う奇跡の薬の元となったのだ。


 さらにこの後もしろおとめ団達は特に危なげなく進んで行き、大体15分おきに現れる危険対象物を撃破していった。クマの後には巨大トカゲを倒し、トカゲの後にはコウモリを倒した。コウモリは空を飛ぶのと、超音波による攻撃にかなり苦戦した。そして今、しろおとめ団達の目の前には明らかにこの先はボス部屋だと分かる危険な雰囲気のする扉が立ちはだかっていた。


『この先にはこの階で最も強い者がいます。十分に備えてからの挑戦をお勧めします』

『挑戦しますか?』

『はい/いいえ』


「どうするリーダー?」

「これまでの進み具合から問題ないと思うが、恵子はどう分析する?」

「うん、オレ・・・いやアタシもリーダーと同じ考えだ」

「よし!ならば行こう!」

「「「了解ッ!」」」×10


 しろおとめ団は全員ボス部屋へと入って行った。全員が入室するとボス部屋の扉が閉まり、部屋の中央が光始めてこれまでで最大サイズの大きなクマのシルエットが浮かび上がってきた。


「える!ぶっ倒れてもいいから全力の魔法をぶっ放してくれ!えるが倒れたら荷車に乗せて良美とるきで荷車を走らせてえるが回復するまでクマから遠ざかるんだ!後はこれまでと同じだ!温子はケガしたヤツに回復薬を飲ませる役だ!ニア!お前が一番強ェんだ!引き付け役をまかせるぞ!」

「分かったにゃ!ガオーッ!」

「よし行くぞ!」

「「「オーッ!」」」


 戦術通りえるが全力のファイヤーボールをぶっ放すと言った通りにえるはぶっ倒れたので、すかさず荷台に乗せて良美とるきは全力で後退した。


 えるの全力の攻撃はボス熊に結構効いたようではあったが、それでも力強い雄たけびをあげてしろおとめ団達に向かってきた。

 拓美と誠は槍を構えて踏ん張り、ボス熊の突進を食い止めようとしたがボス熊は片手で槍を払いのけた。

 誠がバランスを崩して倒れたが、拓美が体制を整えて払いのけた時に出来たボス熊の脇腹に思いっきり槍を突き刺した。

 ボス熊は悲鳴を上げて立ち上がり反対の手で拓美と誠を薙ぎ払おうとしたところへ、ニアが突進してボス熊の顔面を鋭い爪で引き裂いた。

 絶叫したボス熊は両手で顔面を覆ったので、恵子が胸を狙え!首の真下の心臓だ!と叫んだ。

 拓美と誠は槍を持ち直して思いっきり首の真下に槍を突き入れた。

 ニアはボス熊の背中に回って後頭部の首の付け根を思いっきり噛み続けた。

 他の者達は武器を置いて拓美と誠をガッシリと支えて槍をさらに突き刺していった。

 やがてボス熊はビクンビクンと大きく痙攣したかと思うと消滅した。


「や・・・やった・・・やったぞ・・・」

「「「やったぁーーーーッ!!!」」」


『皆さんおめでとうございます。試練の門第1ステージ攻略完了です。試練を乗り越えた皆さんには報酬が与えられます』


 しろおとめ団全員の目の前にそれぞれ宝箱が出現した。各自宝箱を開けて見ると全員同じデザインの白い上下のスーツ一式が入っていた。


「このスーツは?」

『現時点で最高の防御力と耐久性を誇るバトルスーツです、防水防寒防熱性能も最上級で、一切の汚れの要素をはじきます。それでも汚れてしまった場合は汚れ成分を分解して自己修復します。洗濯は不要ですが軽く水ですすぐだけで清潔さを保ちます』

「それは素晴らしい!」


 早速しろおとめ団達は全員その場で着替えた。彼女達以外誰もいないので、何の気兼ねもなく抵抗もなく彼女達は嬉々として着替えた。


「うわ!すげぇピッタリだ!」

「どうだ?おかしくないか?」

「クッ、言いたくないが似合ってる、わよ!」

「動きまわっても全然邪魔じゃにゃいにゃぁーッ!すごく良く伸び縮みするにゃあーッ!」

「肌触りも実に心地よいな、これはいい!」

「我らしろおとめ団にふさわしいスーツだ!」


『お気に召しましたか?』

「あぁ、こんなに素晴らしいものをくれてありがとう!」

『どういたしまして。それではいったん門の外へお送りいたします。十分に休息し、英気を養って下さい。それでは第2ステージでお待ちしております。お疲れ様でした』

「あぁ、また来る!」


 しろおとめ団達はまぶしい光に包まれ、全員試練の門の前に転送された。

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