197:久しぶりの地球へ
翌朝、いつも通り冴内達は腹時計の音で目覚め、朝食を作るためにレストランに向かって行った。
一方、しろおとめ団の団員達が寝泊まりしている部屋では大騒ぎだった。
「うわっ!お前だれだよ!?って・・・えっ?あれっ?お前、ヤブ医者・・・じゃない温子か?」
「そういうアンタこそ誰よ!?・・・って、あれ?良く見たらえーと・・・恵子だっけ?」
「副機関長か?一体どうしたんだその姿・・・」
「機関長の方こそその姿・・・」
「二人とも一体その姿どうしたんですか!?」
「うわっ見習いの方こそ大分雰囲気変わったぞ!」
「えっ!私もですか!?」
「ニャア子、一体どうしたっぺよ!毛並みが凄く綺麗な銀色になってるっぺよ!」
「コックさんこそビックリするくらい美人になってるにゃ!」
「リーダー!なんだかとんでもないことになってますぜ!いや、なってますわよ!」
「いや、そういうお前、じゃない、アナタも尋常じゃないぞ、ないわよ」
「しろおとめ団全員集合!皆で大浴場に行って自分達を確かめるんだ!」
「「「りょ、了解!!」」」×10
しろおとめ団は急ぎ大浴場に行って、一夜明けて起きた自分達の身体の変化変容の状態を確かめた。
彼女達は以前とまるっきり別人になったわけではなく、しっかりと面影を残したまま、かなり容姿体型共にレベルアップしていた。
また、酷い扱いを受けた時の傷や無理矢理施された入れ墨や奴隷に近い身分を表す惨い焼き跡なども綺麗サッパリなくなっており、とても詳細には書けない理由でうつされた悪い病気とその爪痕も綺麗サッパリなくなって完治していた。
彼女達は隅々まで自分の身体を確認し、自分では見えないところは仲間同士で確認し合った。またデリケートな部分に関しても元ヤブ医者の温子が真剣な顔で確認していき、力強く頷くと全員が喜びの涙を流した。
冴内達がいつものレストランで料理を作り終えてテーブルに並べていると、しろおとめ団の全員がやってきた。
「あっ、今ちょうど起こしに行こうと・・・って、うひゃぁっ!!」
「どうした父ちゃん!」
「どうしたのお父さん!」
「洋様いかがなさいました!」
「どうしたの洋!あら!皆綺麗になったわね!」
「そ・・・その、お、おはようございます」
「みんなきれいなお姉ちゃんになった!」
「うん!ホントだ!でもちゃんと誰が誰だか分かるよ!」
「皆さんお綺麗です!」
「・・・やっぱり、こうなるんだ・・・次から気を付けよう・・・」いや、アンタはもっと前から気づきなさないよ。
「大将・・・いや、洋様・・・私達はあなた様に命を救ってもらったばかりか、私達が一生かけても死ぬまで消えない心と身体の傷を癒してくれました。私達はあなた様に生涯忠誠を誓います、私たちの心も身体も全てあなた様に捧げます」
「ダメよ!洋は私の大事な夫なんだから!」
「はい、優様、重々承知しております、私達は身の程をわきまえ、あくまでも配下の者として忠誠を誓う所存です」
「えーと・・・じゃあ皆に命令していい?」
「「「はい!なんなりと!」」」×11
「じゃあ僕からの皆への命令。皆それぞれが僕以外の好きな人を見つけて幸せな一生を送る事、無理に好きな人を見つけなくても好きなことがあるならそれを好きなだけやって充実した人生を送る事、そして僕等は上も下もない対等な仲間であること、だから様はナシだよ」
しろおとめ団は全員涙を流しながら力強く分かりました!と応えた。
「さぁさぁ!朝ごはんが冷めないうちにさっさと食べよう!今日はこれから忙しくなるよ!・・・主に僕だけだけど・・・」
「「「アハハハハ!!」」」×14
「冴内 洋・・・君は、君という人間は・・・本当に大宇宙の愛の使者なんだな、だから宇宙に選ばれたのか・・・」
食後、早速冴内は良子に頼んで地球とのゲートを開通してもらうことにした。
「みんなのほしから大分離れていると思うけど、ゲート開通出来そう?」
「うん、お父さん達のいた地球と繋げた時よりも簡単だよ!地球は違う宇宙だったけど、ここはみんなのほしと同じ宇宙だからすぐ出来るよ!」
良子はそう言うとすぐにみんなのほしとゲートを開通させた。場所は今冴内達がいる宿泊所のエントランスの前と、みんなのほしのホールケーキセンターの前である。
地球に行く前にワタリタビシロオオガラス達にはちょっと出かけてくるから自由に遊んでおいでと言い渡しておいたが、まだ生まれたばかりなので寂しいと言われたので毎朝顔を出すということで折り合いをつけた。ちなみにワタリタビシロオオガラスはサイズが大きいのでゲートをくぐるのは難しそうだった。
そうして冴内達はゲートを通過して、久しぶりのみんなのほしへと帰ってきた。
「わっ!冴内君!?」
「あっ木下さん!久しぶり!」
富士山麓ゲートとみんなのほしを繋ぐゲートから調査団の腕章を付けた木下が出てくるタイミングと第44調査惑星とみんなのほしを繋げたゲートから冴内が出てきたのが偶然にも一緒だった。
続いて優、美衣、良子の順に花子としろおとめ団の全員が続々とやってきたので、木下はさらに驚いた。
「えっえっ!?その凄く綺麗な方達はどなたなの?あと・・・えっと、それはロボットなの?ものすごく可愛くてまるで人間みたい!」
「私達はしろおとめ団と申します、冴内さん達の仲間です、可憐なお嬢さん、以後お見知りおきを」
「私は冴内家のメイドロボの花子です!よろしくお願いします!」
「わっ私は木下 彩と言います!えっと、冴内君とは同期で植物採取や研究を専門に行う探索者です!」
「木下さんですね!よろしくお願いします!」(花)
「「「よろしく!」」」×11(白)
「冴内君はこの後予定があるの?」
「うん、これから神代さんのところへ行こうと考えているんだ。半年程地球から離れてたから今の状況が全く分かってないし、こっちも色々報告しないといけないだろうなと思って・・・」
「そうだね、だけど冴内君達の状況はある程度さいごのひとが説明していたみたいだよ」
「あっそうなの!?」
「うん、それに宇宙イナゴ討伐の映像は討伐前のリングゲート移動から討伐後の大盆踊り大会まで全部見たよ、ほとんど全世界の人達が見たよ」
「そ・・・そうなんだ・・・とにかく、新しい仲間や家族も増えたことだし、僕達は富士山麓ゲート研修センターに行くよ」
「分かった!後で私も研修センターに行くね!」
そうして冴内達は木下と別れて、そのまま木下が出てきたゲートに入って富士山麓ゲートビレッジに移動し、そこから富士山麓ゲート研修センターへと向かった。
冴内は花子やしろおとめ団の団員達が別宇宙の地球の日本へ繋がるゲートを通過することが出来るかどうか少し心配したが、何の問題もなく全員普通にゲートを通過することが出来た。
「あっ!いっけね!」
「どうしたの洋?」
「どうした父ちゃん?」
「どうしたのお父さん?」
「洋様いかがなされました?」
「洋さん、どうしました?」
「すっかり神代さんのアポ取るの忘れてた・・・」
相変わらずこういうところは冴えない冴内のままであった。
とはいえ来てしまった以上は仕方がないのでそのまま富士山麓ゲート研修センターに入り、エントランス受付に向かって行くと、冴内を筆頭にとても美しい容姿の女性の一団と地球上どこを探しても存在しない可愛らしい容姿の超高性能ロボットがやってきたので、それを見た職員達は全員驚愕しつつも、受付嬢は優秀なことに速攻で神代に連絡した。
その後、5分もかからずに神代はすっ飛んでやってきた。