190:子分にしてくれ!
「アタシ達はもう二度とアイツらの元へは戻りたくない!もう金輪際宇宙海賊にはなりたくないんだ!頼む!アタシ達をお前さん達の下で働かせてくれ!アタシ達に出来ることならなんでもする!お願いします!アタシ達をお前さん達の子分にしてくれ!」
「「「お願いします!!!」」」×9
「分かったわ!私があんた達全員の面倒を見る!もう二度とあんな酷い目に合わないように私が守ってあげるわ!」
「あ・・・姐さん!」
「姐さん!」「姐ご!」「姐さま!」
「えっ!ちょっちょっちょっと・・・ちょっと待って優・・・面倒を見るってえっと、全員?」
「そうよ!いいでしょ洋!彼女達はこれまで精一杯戦って生きてきたわ!そうして命がけで私達に会いに来たんだから彼女達はこれから幸せになる権利を勝ち取ったのよ!だから私達で彼女達を幸せにしてあげなきゃ!」
「う・・・うん、僕もそう思うし、皆を守ることも僕等なら全く問題なく出来ることなんだけど、皆を幸せにするっていうのはどうするの?」
「私達全員をアンタの女にしてくれ!」
「いやいやいや!!ムリムリムリ!」
「ダメ!それだけはダメよ!」
「あっ!スマン!別に結婚してお嫁さんにしてくれっていう意味じゃないんだ!その、アンタの・・・分かるだろ?アレでいいんだ、アレで・・・」
「いやいやいや!アレでもダメだってば!」
「アレ?アレって何?お嫁さんじゃないなら私はいいと思うよ洋」
「いやいやいや!意味分かってないでしょ優!アレってのは・・・ゴニョゴニョゴニョ・・・」
「やだぁ!洋!」
バチィーンッ!
「ゴフゥッ!!!!」
「・・・オイ・・・今、首が一回転しなかったか」
「・・・あ・・・あぁ・・・そう見えた」
「と・・・とにかく、僕の国ではそういうのは法的にダメなんだ。だから君達のアレにはなれないけど安心して。君達を守ることには変わりがないし、君達の居場所は沢山あるんだ」
「みんなのほしっていう僕達の星や僕の故郷の地球という星の日本という国、そして僕達が向かっている惑星もこれから開拓していけばとても良い星になるかもしれない」
「だから君達はこれからは海賊じゃなくて開拓をする探索者になればいいと思う、そして普通に好きな人を見つけて結婚したい人は結婚して、普通に穏やかで平和な生活をすればいいと思う」
「僕が思う幸せっていうのは、好きな人と普通に穏やかに楽しく過ごすことだから、それでいいなら少しは皆の手伝いが出来ると思う」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「「「惚れた!!」」」×10
「やっぱりアンタが大将だ!」
「アンタはやっぱり宇宙の愛だ!」
「アンタと一緒になって幸せになりたい!」
「アンタの子供が沢山欲しい!」
「アンタがいい!」
「アンタに決めた!」
「いやいやいや!だからそれはダメなんだって!」
「そうよ!ダメよ!洋は私のものなんだよ!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「ヒソヒソヒソ・・・」
「・・・なぁに・・・事実を作っちまえばこっちのもんよ・・・」
「だな、夜中にコッソリ・・・」
「そこ!聞こえてるわよ!」
『優様、ご安心下さい。その際はさいごのひとと協力して睡眠誘導音で深い眠りの底に誘いますから』
「頼むわね!」
『かしこまりました!24時間365日常に監視し続けます!』
「クッ!」
「チッ!」
「父ちゃん!おはなしはおわったのか!」
「父さんただいま!大丈夫?早かった?」
「いや、もう大丈夫だよ、丁度良いところに帰ってきてくれて助かったよ・・・」
「皆・・・どうしたの?アタシ達これからどうなるの?」
「大丈夫だ、もうアタシ達は二度とアイツらの所に戻ることはない、これからは冴内様達が守ってくれる、アタシ達は全員冴内様の女になって守ってもらうんだ」
「えっ!ホント!!やったぁ!!」
「コラッ!そこ!変なこと言わないで!」
「・・・すっ!すいやせん!」
「えっ?違うの・・・?」(涙目)
「いや・・・その、皆を守るのは間違ってないよ」
「えーと・・・・・・」
♪ピコーン!
「そう!君達は僕等の仲間だ!そうそう!今日から君達は僕達の仲良しの仲間になるんだ!」
「えっ!そうなのか!父ちゃん!」
「そうなのお父さん!」
「う、うん!えっと・・・皆それでいいかな?」
「きゃっほう!アタイはだいさんせいだよ!」
「私も賛成!!」
「そうね!仲間ならいいわね!そう!仲間よ!」
「わぁ!アタシ、美衣お姉ちゃんと良子お姉ちゃんの仲間なの!やったぁ!嬉しい!嬉しいにゃぁぁぁぁ!!」
「アタイもうれしいぞ!がおぉぉーーー!」
「私もがおぉぉーーー!!」
「ひゃぁ!美衣お姉ちゃんも良子お姉ちゃんも戦闘獣になれるの?すごい!アタシもなりたい!」
「わかった!こんどおしえてあげるよ!」
「お母さん!後でお母さんの獣人族の戦士の証貸して!」
「いいわよ、貸すんじゃなくてあげるわね!」
「やったぁ!有難う!お母さん!」
「さすがだ母ちゃん!」
「さ・・・さて、僕はそろそろ船の修理に行かなくちゃ!」
「アタイも行く!」
「私も!」
「あ・・・あの、アタシ達も何か手伝えることないか?」
「えーと、何かある?さいごのひと」
「うーむ・・・現在亜光速で巡行しながら改修作業をしているから彼女達では船外活動は到底不可能だが・・・そうだ、冴内 優のワープでピストン輸送すれば船内の部品交換などがはかどりそうだ」
「なるほど!優お願いできる?」
「いいわよ!」
「よし!じゃあ僕は作業室でどんどん交換部品を作るから、出来た部品の取り付けをお願いするよ!」
「「「分かりました!お頭!」」」×11
「いや、おかしらはちょっと・・・」
「アハハハハ!おかしらだって!父ちゃん魚のたいのおかしらみたいだ!」
「それじゃあ!皆!作業開始!」
「「「りょうかーい」」」×14
そうして冴内達15人は海賊船の改修作業にとりかかった。作業は一気に進み夕飯よりも大分前に完了した。
「なんか・・・すごいことになってないか?」
「スゲェ・・・エンジンが最新式の粒子エンジンになってる・・・これで放射線で早死にしたり子供が産めなくなることもなくなった・・・」
「こっこれ自立思考型システムか?航法ナビゲーションとかってどうやって設定するんだ?」
「スゲェ!綺麗なシャワールームがある!あっ!風呂までついてるぞ!」
「おい皆見ろ!船が!船の形が!!!」
「「「アァーーーッ!」」」
これまではまるで日本の海辺にあるテトラポットなどでよく見かけるフナムシのような見た目で、あちこちが老朽化していて外装部品がつぎはぎだらけで実にみすぼらしい姿だった女宇宙海賊達の航宙艦が、全くまるで別物の姿形に変容していた。
そのフォルムは美しい曲線を描いており、いかにも女性的なエレガントなシルエットになっていて、船体は白一色でまさしく純白の乙女のようだった。船体が白一色になっている理由は船体表面に隕石から再生成した耐熱耐衝撃強化タイルが敷き詰められており、高温度で燃焼圧縮して出来上がった強化タイルはまるで白い陶磁器のようだったからである。
これまではアンテナなどのセンサーがまるで害虫のようにあちこち不格好に飛び出ていたのが全て撤去され、先端に一角獣のようなアンテナが一本あるだけになっていた。
数千万年以上前の極めて危険で人体に悪影響を及ぼす燃焼型エンジンは、重力制御と宇宙粒子放出型エンジンに置き換えられた。
「こ・・・これ・・・アタシ達の船か?」
「ご・・・ごめん!君達の船を勝手に改造しちゃって!ええと・・・皆張り切っちゃってその・・・やり過ぎちゃったかな?」
「あの・・・こんな凄い船・・・もらっちゃってもいいんですか?」
「えっ?もっもちろん!あれは君達の船だよ!」
「「「キャァーーーーーッ!!」」」×11
若い元・女海賊達は全員まさしくうら若き元気な女性らしく大喜びではしゃぎまくった。