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188:海賊船修理

 これまで味わったことのない美味な食事を腹一杯食べた女宇宙海賊達は安心しきったのか全員その場でウトウトし始めた。


 硬い床の貨物室に寝かせるのは可愛そうなので、冴内達は全員を船室に誘導した。半分眠りこけている獣人の女の子は美衣がおんぶしていた。


 コッペパン号は小型の航宙艦とはいえそれでも100人分の船室が用意されている。1室4人で2段ベッドが2列と小さな化粧台机がある部屋が25室あり、それとは別に艦長や賓客用の小さな個室が5部屋あった。


 女宇宙海賊達は総員でもわずか11名だったので、好きな部屋を自由に使ってくれと言うと、女宇宙海賊達は同じ部屋に入っていく者達や一人で入っていく者などに分かれて三々五々部屋へと入ってすぐにスヤスヤと寝息をたてはじめた。


 全員が部屋に入って休んでいるのを見届けた冴内達も展望デッキに戻っていった。


「全員無事で良かった」

「うん!アタイもすごくうれしい!」

「うん、でも皆女の人だったね、それにすごく少ない人数だった」

「そうね皆女だったわね。危ないわ・・・全員男嫌いだったらいいんだけど・・・」


「いくら宇宙海賊とはいえ、僕等のせいで酷い目に合わせてしまったと思うと、なんだかすごく申し訳ない気持ちだよ」

「父ちゃんはやさしいな」

「そうだ、彼女達の船を直してあげられないかな」

「冴内達が手伝ってくれれば可能だ」

「良かった!それじゃあ船を修理してあげよう!」

「おもしろそう!アタイもてつだう!」

「私も手伝う!」

「そうね!船を修理してあげたら彼女達は船に乗って仲間のところに帰って行ってくれるわね!」

「よし!それじゃあ皆で彼女達の船を直そう!」

「「「おーっ!」」」


 早速冴内達は女宇宙海賊達の航宙艦のところにワープして、優と良子の重力制御でコッペパン号まで牽引していった。冴内と美衣はさいごのひとの指示でいくつかの部品や良質な隕石を破壊して鉱物資源を含んだ隕石の破片を回収袋に入れていった。


 女宇宙海賊達の航宙艦がコッペパン号の牽引ビームネットにおさまると良子以外はコッペパン号の中に戻り、冴内と美衣はいつも通り作業室に入ってさいごのひとが指定した隕石の破片と回収した何かの部品をベルトコンベアに乗せた。その部品はベルトコンベアの中央にある大きな箱を通過すると、新しい部品になって出てきた。


 良子は女宇宙海賊達の航宙艦内部でさいごのひととげんしょのひとの思念体と協力して、艦内チェックをしていた。最も危険な機関室内部は冴内の最大パワーチョップヒールの際に放出された虹色の粒子により放射性物質は完全に除去されていた。


「すごい・・・あの人達こんな旧式の設備とシステムで上手に操舵していたんだね」

「うむ、よくぞこれだけの被害で済ませたものだ」

「うーん・・・せっかくだからもっと良いものにしてあげたいな、特に女の子もいるんだから生活環境周りはもっと良くしてあげないと」

「なるほど、ならばいったん戻って本格的にこの船の改修計画を検討しよう」

「うん、そうだね!」


 良子もコッペパン号に戻り、冴内達とさいごのひととげんしょのひとの思念体と音声ガイドの全員で女宇宙海賊達の航宙艦の改修計画を検討した。とりわけ美衣はあの船見た目が可愛くないからもっと可愛くしたいと強く要望した。


 いろいろと検討し、大体の改修方針が出来上がったところで、冴内達もさすがに眠くなってきたので風呂に入ってから全員眠りについた。


 それからしばらくした頃、女宇宙海賊達の数人が目を覚ましてコッペパン号の中をあちこちうろつきまわっていた。彼女達は割と自由にあちこち行けることに驚いた。


「おっ、ここもロックがかかってないぜ」

「ケシシシ!無防備なことだなケシシ!」

「無防備なのか、それともアタシらなんぞ脅威とすら思っちゃいないのか・・・」


「あっ!姐さん!アタシらの船だ!ビームネットで牽引されてるぜ!」

「ほんとだ!この船小型の割にすごい性能だな!」

「一体どうするつもりなのかね・・・私らも含めて・・・」

「ケシシシ!まさか修理とかしたりしてな、大分お人好しみたいだしよ」


「・・・ファ~・・・、オレはもうひと眠りする、死にかけたからまだ凄く眠い・・・」

「そうだな、なんか私も妙に身体が重い・・・」

「ケシシ!そりゃそうだ、アタイら全員死にかけたからな、ケシシシシ・・・」


 翌日、冴内達が貨物室に行って盛大に朝食を作っていたところ、女宇宙海賊達の中から冴内がコントロールルームに入っていた時に大声で泣いていた女海賊が冴内達の前にやってきて冴内に問いかけた。


「その・・・この船の医療室を利用させて欲しいんだが・・・」

「医療室?えーと・・・ガイドさ~ん」

『はい、医療室の使用ですね、かしこまりました。しかし皆さんいかがなされました?体調面では皆さん大変健康な状態にあるようですが・・・』

「あぁ・・・確かにおかげさまでアタシら全員すこぶる健康だよ、ちょっとその・・・異常なくらい健康になっちまったんだ・・・それで、その、自分達で確認させてもらいたいことがあってよ・・・」

『皆様のバイタル検査結果ならば全てこちらで管理把握していますので、私の方から皆様のプライベートを考慮しつつお見せすることも可能ですよ』

「なにっ!そんなことまで出来るのか?いや・・・しかし、一応アタシらのこの目で実際に見て確認してみたいんだ。悪いがお願い出来ないだろうか」

『かしこまりました、それでは皆様が食事を済ませた後でご案内いたしますね』

「すまねぇ助かる」


「えぇと・・・その、なんだ、アタシらの船のことなんだが・・・」今度は女宇宙海賊のリーダーが冴内に話しかけてきた。

「あっ、君達の船ならこれからしっかり修理しようと思うんだけど・・・いいかな?」

「すごく可愛いおふねにつくりなおすぞ!」

「えっ?か・・・可愛い?」

「うん!それに大分痛んでる所や古い所も全部新しくしようと思ってます!」

「えっ?なんで・・・そんなこと・・・」

「しっかり直せばすぐに仲間達のところに戻れると思うわよ!」

「えっ・・・アイツらの・・・所に?」

「勝手なこと言ってごめんね、だけどどうか僕等に君達の船を直させて欲しいんだ」

「・・・わ・・・分かった・・・まかせる」


「さっ!とりあえずご飯ご飯!温かいうちに美味しいご飯を食べよう!」

「いただきまぁ~す!」×15


「ケシシシシ!アイツらホントにお人好しだな」

「アイツら、いい奴らだっぺよ、オイラアイツらのこと好きになりそうだっぺ」

「フン、さっさと船を修理してアタシらを追い出したいのかもしれねぇがな・・・」


 食後全員で飲み物を飲んでしっかり食休みをとった後、冴内達は海賊船の修理にとりかかり、女宇宙海賊達は音声ガイドの人の指示に従って医療室へと向かって行った。


 作業室で様々な部品や船の外壁素材を生成し、美衣の宇宙ポケットに格納して冴内達は海賊船の修理にとりかかった。一応念のため優はコッペパン号に残った。


 美衣は真・万能チョップの神業を用いて海賊船の外部装甲を修理していった。金属素材や隕石から再生成した耐熱耐衝撃タイルなどを万能チョップを使って加工して叩いて取り付けていった。本来ならば高性能バーナーなどを使って溶接していくのだが、万能チョップの前にはそれらは全く不要だった。しかもそれに加えて海賊船の外観すらも万能チョップを駆使して大幅に変えていった。


 冴内はさいごのひとの指示に従い、コッペパン号の作業室で作った様々な部品を取り付けていった。ほとんどの部品がユニバーサル規格に準じており、特別な配線作業や工具を使わずともユニットごと手作業で交換可能だった。それでも一応今回のためにコッペパン号の作業室に搭載されていた万能工作支援ロボを数体連れてきており、それらのロボットも活用して海賊船内部のユニットをどんどん新品に交換していった。


 良子は海賊船のコントロールルーム内で、旧式の制御装置を最新の操作パネルへと交換し、統合管理システムも完全な自立思考型システムへと書き換えていた。


 もはや修理というより、好き勝手に自分好みの船に作り変えているといった状況だった・・・

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