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177:連続リングゲート移動

 その日の巨大隕石破壊活動という一仕事を終えた冴内達はたらふく食事をとり入浴してグッスリと眠った後、腹時計という目覚まし時計が鳴ったので目覚めてみると、いつもは閉まっている防御用シャッターが開いていて辺り一面真っ黒だった風景が明るい星々が輝く風景に一変しているので驚き、そしてそれが意味するところを寝ぼけた頭が理解したところで大喜びした。


「やった!星だ!宇宙断層帯を抜けたんだ!」

「やったぞ父ちゃん!」

「やったわね!洋!」

「凄い!本当にアステロイドベルトをこんな短時間で抜けたんだね!」


 さいごのひとが冴内達に次の目的地を説明し、既に各地のリングゲートが設置されてる星々には連絡説明済みであるので速やかに移動が可能であることも報告した。


 良子がコッペパン号のコンソールパネルを操作して正面パネルに次の目的地の惑星を投影し、今から5時間程で到着すると冴内達に告げた。


「今から宇宙イナゴを討伐する地点に辿り着くまで何日くらいかかりそう?」

「うむ、これから先は全てリングゲートを使って移動出来るのでかなり速く進んで行くことが出来る。およそ2千か所程のリングゲートを不眠不休で移動すれば10日程だが、さすがにそうもいかないので余裕をもって20日かひと月といったところだろうか」


「飲まず食わずで10日か・・・宇宙イナゴとの開戦までには間に合いそうかい?」

「そうだな・・・最新状況について宇宙連合艦隊司令部に直接問い合わせてみよう」


 宇宙連合艦隊司令部では突然コールしてきた緊急通信に大いに驚いたが、その後巨大空間スクリーンに冴内達一同が映し出された途端、その場にいた全員が歓喜をあげて万歳を繰り返した。


 すぐさまその模様は前線の指揮官達や最前線で必死の模擬演習を繰り返していた一兵士達にも知らされ、冴内達の姿を見るや爆発的な歓喜の渦に包まれて中には泣きだす者すら多数いた。


 さいごのひとが開戦まであと何日かかるかと聞くと宇宙連合艦隊司令長官がおよそひと月後だと答えたところ、そのタイミングで冴内達も前線に到着するだろうとさいごのひとが言ったものだから、宇宙連合艦隊司令部内はさらに凄まじい歓声の雄叫びに包まれた。普段は厳格な司令部の上級官職の者達ですら、威厳ある将校のみが被る帽子を宙に放り投げて喜びを表現する始末だった。軍司令部の戦況把握用大型コンソールの前に座る戦術オペレーター達の大半も喜びのあまり号泣していた。


 冴内達もそんな様子をコッペパン号の大型正面スクリーンで見ていて、とても勇気を奮い立たせられる気持ちになった。


 冴内達は全員「ヤ」る気マンマンで鼻息も荒く闘志に燃える気持ちになり、一刻も早く到着して彼らを喜ばせたいと思った。


 冴内が優に何かおにぎりとかサンドイッチみたいな移動しながらでも食べれるものを作って、少しでも移動時間を短縮出来ないだろうかと提案したところ、最高の提案だと家族皆から二つ返事で了解してもらった。


 着陸シーケンスは全てコッペパン号がオートでやってくれるので、冴内達は全員でキッチンに向かい食事を作り始めた。美衣の宇宙ポケットを使って食料を格納すれば格納したときの状態をほぼそのまま維持し続けるので、とりあえず惑星に到着するまでの5時間の間までに作れるだけ作ることにした。


 冴内と良子は大量に米を炊き、優と美衣は大量にパンを作り、米やパンが出来上がったら具材を大量に作り始めた。おにぎり、手巻きお寿司、サンドイッチ、ハンバーガー、ライスバーガー、ケバブ、ピロシキ、スープなどなど、時間が許す限りじゃんじゃん作っては宇宙ポケットに格納していった。


 さいごのひとと宇宙連合艦隊司令部は2千か所にも渡る各星々に対し今から冴内達が宇宙イナゴ討伐のためにリングゲートを通過していくので、冴内達が速やかに移動出来るように最善の協力をしてもらえるように説得通達していった。当然それら全ての星々からは二つ返事で即座に了承されていった。


 予想時間通りの5時間後にコッペパン号は目的地の惑星に到着した。下船した冴内達は振り返ってひとまずの役割を終えたコッペパン号を見て、全員でおじぎをした。


「ありがとうコッペパン号!宇宙イナゴを退治してきたらまた戻ってくるよ!」

「うちゅういなごをやっつけたらまたくるよ!」

「またね!コッペパン号!」

「有難うコッペパン号!次もまたよろしくね!」


 冴内達はコッペパン号にひとまずの別れを告げて宇宙船のドックを後にした。


 消しゴム状の携帯端末にて空間に投影されたさいごのひとの指し示す方向に従い冴内達はすっ飛んでいった。あらかじめ冴内達が移動する進路には人や物はなかったので可能な限り高速で移動した。広い場所を移動している際には沿道に冴内達を応援する人々が横断幕を掲げて大声で冴内達に声援を送っていた。当然移動している冴内達の様子は様々な高性能カメラで記録されており、その模様は全宇宙に中継されていた。


 リングゲート周辺にも少し離れたところに沢山の宇宙人達が冴内達を見守っており、冴内達が手を振ってこたえるともの凄い歓声があがった。


 リングゲートからリングゲートに移るまでの平均所要時間はおよそ5分程度であり、10時間で大体百か所のリングゲートを通過した。途中おにぎりやサンドイッチを宇宙ポケットから出して食べたのだが、時折リングゲートの横にその宇宙のご当地料理が置かれていたので全員大喜びでそれらを食べた。もちろん美衣は一際大喜びだった。そして当然それらの料理は手掴みですぐに食べられるものだった。


 時折用を足すためにトイレに立ち寄ったりしながら移動し続けて14時間程経過したところで冴内達は野外にも関わらずその場で宇宙ポケットからベッドを取り出して設置して、ベッドに倒れるように横になるやいなや泥の様に眠った。


 翌朝いつものように腹時計で目が覚めると、やはりリングゲート横の台座にいつの間にか出来立てのご当地料理が置かれていたのでそれをきれいさっぱり全て平らげて次のリングゲートへと向かっていった。


 次の日は16時間程ぶっ続けで次々とリングゲートを通過していった。さらに次の日は20時間程ぶっ続けで移動していった。さらに次の日は24時間ぶっ続けで移動していった。移動の合い間には例のサクランボや例のヤバイ桃を薄めたジュースなども口にしてリフレッシュしていた。


 冴内はあらかじめさいごのひとに次のリングゲート前に大きなテントか大きい簡易的な小屋を用意して欲しいとリクエストしていた。


 果たして冴内達が次のリングゲートに到着すると大きなドーム状テントが設営されていたので、冴内達は中に入ってみたところ、テーブルの上にはいつもの簡易的な食事ではないその星自慢の温かい食事がタップリ用意されており、冴内達は大喜びでそれらを平らげ、宇宙ポケットから風呂とベッドを取り出し、全員で入浴して汗を流した後ベッドに横になりグッスリと寝た。


 こうして大体3日おきに簡易的な建物を用意してもらって普通の食事と入浴を行い、それ以外の日はまさにぶっ続けでリングゲート移動をしていったところ、15日目には最終目的地のリングゲートまで到達した。なお、このリングゲートも宇宙イナゴとの開戦前には撤去される予定であった。


 この先は高速航宙艦で最前線まで移動することになる。ワープ移動が使える宙域なので冴内達が生身の身体でいくら亜光速を超える速度で飛んでいったとしてもワープには敵わないので素直に高速航宙艦に乗って最前線まで移動することにした。ちなみに優と良子は真面目な顔で自分達でもワープ出来ないだろうかとさいごのひとやげんしょのひとのデータバンクに相談していた。


 そうして冴内達は大勢の宇宙連合職員達からの拍手喝采の見送りを受けながら高速航宙艦に乗り込んでいよいよ宇宙イナゴと対戦する最前線へと向かうことになった。

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