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172:空中庭園都市

♪パララララーン♪

『おめでとうございます!クエスト完了です!古代遺跡の最深部に到達し見事謎を解き明かしました!古代遺跡はなんと空中庭園都市への唯一の移動手段だったのです!』


「うーん、ほとんど安全無事な一方通行だったし、謎解きらしいことも全くしなかったんだけどね」


『いえいえ!皆さんの素質資質気質が遺跡に認められたということだけでも十分評価に値しますし、遺跡の最深部にあった軌道エレベーターの起動についても優れた直観力を見事に発揮なされました!第44調査船団はここまで至るのに数年もかかり不幸な出来事も多くあったので、皆さんのご活躍は賞賛に値しますよ!』


「有難う、素直に喜ぶことにするよ」


『それではクエスト完了ボーナスを贈呈します!クエスト完了ボーナスは魚人族の証しと魚介類の詰め合わせです!』


 冴内達の胸に魚の形をしたとても綺麗なバッジが付けられた。また、目の前にとても大きなクーラーボックスが出現し、中には新鮮な魚介類がタップリと入っていた。


「キャーッ!」と美衣はその場で重力を無視してバク転を10回転くらいやって大喜びを表現した。

「良かったね美衣!」

「うん!なぞなぞだからウマイものもらえないと思ってたのにこんなにタンマリうまそうなものがもらえてすごくうれしい!がいどの人ありがとう!」

『どういたしまして!』


♪ピコーン!♪ピコーン!

『それでは新クエストをお知らせします!空中庭園都市を色々と探索して5つ以上の発見をして下さい!発見内容は自由で、事実内容や出来事、歴史、アイテムなどの物など、とにかく様々な物事を調査して発見してみて下さい!発見した物事に応じて随時ボーナスが支給されるので幾つでも発見していいですよ!』


「これは面白い!こういうの好みだよ!」

「うん!私もこういうの大好き!」

「そうね!色んなものを見つけ歩くのは楽しそう」

「いっぱいウマそうなものをみつけるぞ!ウマそうなものがなくてもむかしのひとがどんなウマそうなものを食べていたのかしらべるんだ!」


「じゃあどうしようか・・・マップがあれば皆どこにいるか分かるし、これはゲームだから本当に怪我したり死んだりすることもないし、そもそも皆凄く強いわけだからそんな心配もほとんどないし、ここは一つ皆で自由に探検するかい?」


「「「さんせーい!」」」


「じゃあ皆自由に探検して色々発見しよう、腹時計がなったら中断して食事にしよう!」


「「「りょうかーい!」」」


 冴内達は各自散開して探索することにした。冴内は久しぶりに自分がシーカーであることを認識してウキウキする気分だった。


 真っ先に勢いよくすっ飛んで行ったのはやはり美衣でこういう時の直観力と判断力と行動力はピカイチだった。良子はその場に留まり目を見開いて物凄い集中力で空中庭園都市の全体を観察していた。優は冴内の腕を組んでニコニコしていた。一緒に行くつもり満々で発見は二の次のようだった。冴内もかなりウキウキな気分でまずは優と一緒に見事な庭園を散策することにした。


 空中庭園都市はとても広大で緑豊かで清潔感にあふれていた。ところどころ小川のような水路も流れており、蝶や小鳥や水路に小魚などはいたが、今の所人の気配は全くなかった。建物も高層建築物はなくほとんどが平屋だったが、中心部には3~5階程の高さの大き目の建物があった。


 冴内と優は水路沿いを歩き様々な色とりどりの可愛らしくも美しい花々を見ながら歩いていた。探索活動というよりは単なるデートだった。


「なんかこういう植物庭園みたいなところをデートしているとソフトクリームとか食べたくなるね」


 と、さっきまでの探索活動の意欲はどこへ行ったんだとツッコミたくなる冴内のセリフ。しかも何をのんきに突然ソフトクリームを食べたいとかいうセリフが出てくるのかもツッコミたくなる程だったのだが、そこで驚くべきことが起きた。


 突然冴内の近くにある床がスライドして開き、中から冴内の胸の高さまでありそうな円筒形の物体が出現したのだ。冴内は一瞬身構えたが誰がどう見ても危険物に見えない物だったので警戒心を解いた。


 それは白地に淡いピンク色の模様が描かれており先端は丸くなっていて顔の部分が液晶パネルのようになっていた。そしてその液晶パネルにはニッコリと微笑んでいるかのような顔が表示されていた。


『空中庭園都市のガーデンフロアへようこそ!私は当ガーデンの案内ロボットです!ステキなカップルさん!ソフトクリームをどうぞ!』と、自称案内ロボットは両サイドからフレキシブルアームを出し、腹部にあたる部分のハッチが開くとそこには2つのソフトクリームがあり、それぞれをフレキシブルアームで掴んで冴内達の目の前に差し出した。


「わぁ!凄い!くれるの!?有難う!」

『どういたしまして!』

「あら!コレ凄く美味しいわよ!」

「ホントだ!とても美味しい!」

『喜んでいただけて私もとても嬉しいです!』


 恐らくこの空中庭園都市もかなり古代の建造物だと思うのだが、そこから出てくるソフトクリームなど果たして口に出来るものなのか、そもそも原材料自体どうなっているんだとあれこれ突っ込みたくなるのだが、VRゲーム世界のことなのでスルーすることにする。


「せっかくだから色々と案内してくれるかい?」

『はい!喜んで!』


♪パララララーン♪

『早速一つ目の発見おめでとうございます!古代遺跡の案内ロボットの発見と起動に成功しました!成功ボーナスは案内ロボットです!インベントリに格納可能になり、いつでもしまったり出したりすることが可能です!』


『とても久しぶりに生きている人を案内出来て嬉しいです!よろしくお願いします!』

「こちらこそよろしくね!ところで君には何か名前があるのかい?」

『いえありません、個体識別番号と製造番号はありますが愛称のようなものはありません!』

「そうなんだ、せっかく君も僕等の仲間になったことだし、君を呼ぶ時に案内ロボットって呼ぶのも味気ないから何か名前をつけようと思うんだけど」

『有難うございます!嬉しいです!』

「うーん・・・何がいいかなぁ・・・あっそうだ、ここにある沢山の可愛い綺麗な花になぞらえて花子にしよう!君は今日から冴内家のロボット家族、冴内 花子だよ!」


『・・・!!!クピポピピ・・・パピポピポピピプパピポパププ!プーーーーン!!』ロボットからはどことなくノスタルジックな電子機械音が鳴り響き全身が強く光り輝いた。まぶしい程の強烈な閃光がおさまると、とても可愛らしい少女に擬人化されたロボットが出現した。ってまたこの流れですか。


『こっ!これは!名前付けがまさかロボットにまで影響を及ぶとは驚きです!』

『・・・しっ信じられん、こんな・・・人造機械にまで影響を及ぼすなんて有り得ない。一体どうなっているんだ?』


 げんしょのひとの末裔のさいごのひとにも分からないことってあるんですね・・・


「あら!とても可愛い姿に生まれ変わったわね!」

「うん、まさかロボットまで名前付けで変化するとは思わなかったけど・・・」

『ありがとうございます!とっても嬉しいです!これまでの自分じゃないみたいで、本当に嬉しいっていう気持ちでいっぱいです!こんな風に思考することは生まれて初めてです!これが感情っていうものなのでしょうか!』

「気に入ってくれたようで良かった、それじゃ花子ここのこと色々教えてくれるかい?」

『はい!全てお教えします!特一級の絶対秘密事項も一つ残さずありとあらゆること全てをお教えします!』


 5つの発見どころか全ての発見をすぐにでもしてしまいそうな状況になってしまった。このクエストもあっという間に完了してしまいそうな展開だった。

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