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171:地底湖に眠る古代遺跡

 ゲームを中断した冴内達は軽く食事をとった後でさいごのひとに頼んで浅い導眠効果の音を出してもらって仮眠をとった。3時間程仮眠した後で冴内達はゲームを再開した。あらかじめ宇宙ポケットからサクランボを取り出して一粒ずつ食べたので目も頭もシャキッと覚醒した。


「いよいよ古代遺跡探検だね!」

「わくわくする!」

「うん!楽しみ!」

「ホントね!」


♪ピコーン!♪ピコーン!

『新クエストをお知らせします!古代遺跡の最深部に行って古代遺跡の謎を解き明かして下さい!』


「これはいかにもって感じのクエストだね!」

「なぞなぞはウマイものなさそうだからみんなにまかせた!」

「なるべく皆から教わらないように自分達で解き明かさなきゃ!」

「そうね、コッペパン号の船旅はまだ続くからじっくり時間をかけて謎解き出来るわね」

「よし!それじゃ早速目の前の神殿みたいな遺跡に行こう!」

「「「りょうかーい!」」」


 冴内達は目の前にある神殿の階段を上がっていった。階段を上がりきると小型探査船アイロン号のズーム映像で見た柱や何かの彫像がある石畳の広場に出た。


「わはは!へんなの!」と、美衣が指し示したのは頭と身体が魚でなまめかしいスラリとした手足が生えている彫像だった。右手には槍を持っていて先端は3っつに別れていた。


「あはは!こっちのもへんだよ!」と、良子が指し示したのは頭と身体がエビでなまめかしいスラリとした手足が生えている彫像だった。右手にはやはり槍を持っていて先端は3っつに別れていた。


 冴内は何となくイヤ~な予感が閃いたが、杞憂かもしれないので黙って心にしまっておいた。


 神殿入り口へと続く石柱はドムゲルグフ人が彫刻した見事な柱には及ばない素朴なものであったが、古代に作られたものとは思えない程ほとんど風化していなかった。


 冴内達はそのまま進み神殿入り口へと入っていった。入り口は大きく開口していて扉はなくそのまま大きなエントランスホールとなっていた。そしてその大きなエントランスホールに入って真っ先に目に飛び込んできたのはとても大きな彫像で、それは巨大なカニだった。右手のハサミが異様に大きくて、全身に鋭利なトゲが生えていた。こちらのカニの方は先ほど美衣や良子がへんなのと言ったような人の手足などは生えておらず、まさしくカニそのもののシルエットだった。


 なんか今にも動き出しそうだ・・・と、またしても冴内はイヤ~な予感が閃いたのだが、口にすると本当のことになりそうなので、黙って心の中にしまってカギをかけることにした。


 巨大なカニの彫像の後ろに回り込んで、先に続く通路を見ると扉で塞がれていた。冴内達が扉に近づいていくと扉の上にある綺麗な大きい半球が赤く光り輝き冴内達をスキャンするように照らした。


 冴内はいよいよ戦闘開始か!?と身構えそうになったが後ろにいる大きなカニの彫像が動き出すとかいったことはなく、扉の上の綺麗な半球が赤色から緑色に変わり、目の前の扉は静かにゴリゴリという石が擦り合う音をたてて開いていった。


 全く不用心に警戒心ゼロで美衣がスタスタと歩いていくので、冴内は罠とかあるかもしれないよと注意したところ、美衣も良子もそして優もピタッと止まり辺りをしばらくガン見した。そして良子が確かにそこら中罠だらけだけど多分全部大丈夫だと思うと言うと、美衣も優も同じく罠だらけだけど、多分動かないから大丈夫だと言った。


 冴内も良く目を凝らしてみたところ、壁横に穴が幾つもあいているところや、いかにも開閉しそうな床とか、さらに足元になにやらスイッチのように動きそうなタイル状の床があるのを発見した。


 美衣がそのスイッチタイル床にジャンプして乗っかったので、あっ!と思わず冴内は声をあげたが、床はボタンスイッチのようにへこまずそのままだった。他にも良子が横の壁に穴が開いているところを通過しても何も飛んでこなかったし、優が開閉しそうな床の上を歩いても床が開いて落とし穴になることもなかった。


「ホントだ、トラップがあるのに動作しない!なんでだろう?」

「多分さっき扉の上のまん丸が赤色から緑色になったからだと思うよ!」と良子がいった。

「アタイたちが良い子だからだ!」

「そうね、私もそう思うわ」と、全員しれっと澄ましたドヤ顔で言い切った。自分達が良い子だと言い切った。


 確かに冴内は別に金銀財宝目当ての遺跡荒しや墓泥棒のようなよこしまな気持ちはこれっぽちもなく純粋にこの先がどうなっているのか知りたいだけの冒険心でいっぱいだったので、それがちゃんと伝わったのかもしれないなと思うことにした。


 さらにどんどん進んでいったが、途中危険な目に遭うことは一切なく普通にまっすぐ迷わず進んで行った。ただ時折天井に巨大な球体やギロチンのような巨大な刃がある場所や、明らかに壁が動いた跡や鏡のような壁の通路(恐らく迷路のように入り組んで迷わせるのだろう)などを通過した。


 1時間程歩き続けたところ行き止まりの通路の先にまたしても扉が現れ、近づくとまたしても扉の上の半球状の石が赤く光り輝き冴内達をスキャンし、やはり緑色に変わって扉は静かに開いていった。


 冴内達は中に入っていくと大きな部屋になっており真ん中に何やら怪しげな台座があり四隅に腰の高さほどの円柱が立っていた。


 いつもながら不用心というか無鉄砲というか度胸があるというか考えなしに美衣が好奇心の赴くまま真っ先に台座に向かって走っていき、台座の上に立ってみたのだが何も起きなかった。


 冴内達も台座に駆けつけて辺りを見回してみると台座のある床には何やら文様のようなものが描かれており、四隅にある円柱と繋がっている線が描かれていた。何気なく冴内が円柱の一つの上に手を置いて押してみたところ円柱はズズズと地面に埋まっていった。他の3人もそれぞれ残り3っつの円柱に手を置いて下に押すとやはりズズズといって床に埋まっていった。


 3本の円柱が全て完全に地面に埋まり終えると、台座が光り輝き始めた。すると台座の真上の天井がパァーッと光り輝き始めて透明な円柱形の物体が音もなく上から降りてきて、台座の上で静止すると透明なドアがスライドして開いた。


 やはり美衣が警戒心ゼロですっ飛んで行って中に入っていったので、冴内達も慌てて中に入った。悪意のあるゲームや辛口のゲームだったら冴内達は何度も死んでいたことだろう・・・


 冴内達が全員透明な円柱形の入れ物に入ると、透明なスライドドアは閉じて、まるでエレベーターのように上に上昇し始めた。どんどん床が遠ざかっていきやがて天井を突き抜けて神殿の上部に出て、神殿もみるみる小さくなっていった。そのままどんどん上昇し続け、今度は地底湖のある巨大ドーム状空間の天井にまで達して、さらにそのまま透明なエレベーターは上昇し続けた。恐らく岩盤を突き抜けているらしくすぐに真っ暗で何も見えなくなってしまったので冴内達は互いに手を繋いだ。


 10分程そんな状態が続いた後、突如眩い光に包まれたので冴内達はまぶしくて目をつぶった。冴内達は少しづつ目を細めて周りを確認したところエレベーターは地上に出てさらにそのまま空高く上昇していて、下を見下ろすと岩山に囲まれたエレベーターの穴が点のようになっていて、冴内達がいたゴサハラビ大砂漠は遥か遠くの場所になっていた。


 透明エレベーターは止まることなくどんどん上昇し続け、とうとう低層にある雲よりも高く登っていった。10分程登り続けたところでようやく何やら上の方にお皿のようなものが見え始めてきた。そこからさらに20分程登り続けると、そのお皿がかなり巨大なものであることが分かった。エレベーターは徐々に速度を弱めていきお皿の中心部を貫通していった。やがてお皿を突き抜けたところでエレベーターは停止して透明スライドドアは開いた。


 冴内達の目の前には緑豊かな空中庭園都市が広がっていた。

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