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158:宇宙横断

「冴内様!お待ちしておりました!我々は耳長長身魔術人の種族代表を務めておりますシューシュリーシュリューリシュと申します!我が種族の大祖先にして大魔術師の【ΠΩΛーΛΩΠ】様との大闘技大会の試合拝見させていただきました!我が種族一同皆大感動いたしました!」


 かろうじて地球の言語でも発音と表記可能な固有名詞だったが、それでも途中でかまずに一気に言うのが難しい名前の美人エルフだった。ちなみに身長は190センチをゆうに超えていた。


「わっ!皆さんすごくお綺麗ですね!」

「そんな!冴内様!・・・ポッ」

「・・・コホン」ジト目の優。


「えっえーと・・・僕達が来たのは・・・」

「はい!さいごのひとから全て聞いておりますわ!宇宙イナゴの駆除にご尽力いただけるとのこと!我々一同心から御礼申し上げさせていただきます!」


「次の星のリングゲートはどこにあるのかしら?」

「あっ・・・優様!・・・はい!次の星はマシーンプラネットとなります!あちらの高台に見えるリングゲートになりますわ!」

「分かったわ!宇宙の危機だから急ぐわね!」

「はい!かしこまりました!」


 普段はあまり表に立たない優だったが、この時は積極的に先を進むと主張するのであった。


「来たばかりですいません!いずれまたお会いしましょう!」

「はい冴内様!是非ともまたいらしてください!」

「はい、そうします!それじゃ!」


 来て早々、本当に早いことに滞在時間は3分程度でエルフの星を通過した冴内達が次に訪れたのは、まさに未来科学都市だった。


 ビルも道路も浮遊するモビリティもまさにSFアニメの世界で、そしてもっと驚いたのが視界に入ってくる限りにおいては人々が全て全身が金属とプラスチックで出来たロボットのような姿だった。


「うわ!すごい!名前の通り本当にマシーンプラネット、機械の星だ!」

「お父ちゃんのきおくで見たきがする!きこうせんしガンダルだ!ガンダル!」


 相変らずギリギリを攻める作者。と、そんなことはどうでもよくて、すぐに冴内達の前に一団がやってきた。


「冴内様ですね!我々はマシーンプラネット外交安全特使を務めておりますジムザクと申します、全てさいごのひとから聞かされております!」と、今なお人気冷めやらぬ大人気ロボットアニメ機構戦士ガンダルに出てくる敵味方の量産型機械兵器を混ぜ合わせたような姿形の一応宇宙人?が挨拶した。


「初めまして冴内です!」

「お会いできて光栄です冴内様!早速次のリングゲートにご案内します!」


 移動しながら大闘技大会での試合ぶりを褒め称えたり、今回の件が無事終息し終えたら今度はゆっくりと訪問しに来て欲しいなどと話した。そうしてやはり5分程度で次のリングゲートに到着した。


「この先は辺境の惑星になります、まだ未開拓の場所が多く荒々しい風景が広がりますが、人々は素朴で穏やかな性格の人達が多いのでご安心下さい!」

「分かりました!有難う御座います!」

「それでは!またの再開をお待ちしております!」


 冴内達はマシーンプラネットを後にして次の星へと移動すると、確かに先に説明を受けた通り、目の前には荒々しい荒涼とした岩石地帯が目に飛び込んできた。それらはまさに奇岩奇山といった感じで、地殻変動や強い風などの浸食作用によって作り出されたその造形はどこか幻想的で芸術的な美しさを描いていた。


 すると砂埃をあげながらエッホエッホと冴内達に近付いてくる一団がやってきた。その姿形は背が低くかなりガッシリした体型で立派なヒゲが顔の大半を占めていた。ようするにドワーフだった。


「冴内殿!冴内殿ですな!」

「はい!冴内です!」

「おお!会えて光栄じゃ!わしらはこの星の開拓にやってきておるドムゲルグフ人です!一応わしが総責任者となっております!」

「よろしくお願いします!」と、この地は風が強いので大声で話している。


「ここから先へはリングゲートでは行けないので、航宙船を使って移動することになります!色々説明しなければならないことがあるので、まずは我らの建物へとご案内します!」

「あっそうなんですね!分かりました!」


 こうして冴内達は見た目はドワーフのドムゲルグフ人の後をついていった。途中で6本足のサイのような動物が引っ張る乗り物に乗って移動した。


 大きな岩石に開いている大穴に入っていくと地下に向かうスロープになっており、螺旋を描きながら地中深くへと進んで行った。


 やがて冴内達の目の前に現れたのは、濃い青紫色の美しい鉱石で彩られた中規模の町であった。町の奥の方には濃い青色の地底湖が見えた。各建物は濃い青紫色が多く混じった岩石ブロックで作られており、ところどころ見事な彫刻が彫られていた。ドムゲルグフ人達に混じってマシーンプラネットから来たと思われる機械人がいるのも確認できた。


 ほとんどの建物が平屋建てだが、冴内達はその中で最も大きい3階建ての立派な建物へと向かっていった。乗り物から降りてエントランスを歩いていると円柱形の大きな柱に見事な彫刻が彫られているのが見てとれて、ドムゲルグフ人達の技術水準と芸術水準が極めて高いことが伺い知れた。


 そのまま進んで行き応接室と思われる居室に近付くと、扉からしてとても精工な美しい彫刻が彫られており、その中も部屋の造形のみならず各種調度品に至るまでどれも一級の工芸品で満たされていた。


 入室し着席を勧められたので椅子に座ると、女性のドムゲルグフ人がやってきて各自に飲み物を配膳してくれた。やはり背は低くガッシリした体格でとても毛髪量が多く硬い直毛だと思われる金髪を三つ編みにしていた。なんとなく旧姓早乙女や吉田を彷彿する面影がありキュートな印象を受けた。


 飲み物が注がれたグラスも透明な濃い青紫色のグラスで表面に彫刻された模様の緻密さたるや、こうしたものに対する深い造詣や見識を持ち合わせていない冴内でも十分その凄さは理解出来た。いつかこの星とも国交を結んだあかつきには是非ともこのグラスと何かを交換したいと思った程だった。


 簡単な挨拶と自己紹介をした後で早速本題に入ると、さいごのひとから詳しい説明がなされた。


 まずこの先には巨大ブラックホールが複数存在する宇宙断層帯というものがあり、リングゲートによる往来が不可能で、この先を進むには航宙艦にて迂回して進まなければならないというものだった。しかもワープの使用も限定的で迂回路の中でも最大の難所であるアステロイドベルト地帯では使用不可とのことだった。


 対処法は既に用意されており、アステロイドベルト宙域で本領を発揮する小型で小回りの利く航宙艦にて航行するとのことだった。


 げんしょのひと達のテクノロジーとマシーンプラネットの人達の機械技術とドムゲルグフ人の卓越した工作技術という三位一体の共同作業により、この星に存在する航宙艦を高性能な最新鋭艦として改良するということで既に事は動き始めていた。


 ドムゲルグフ人が建造した航宙艦はどれも美しいフォルムで華美な印象を与えるものが多かったが、それらの美しい艦艇ではなく地味で無骨な小型航宙艦が選ばれた。それは数世代前の航宙艦で、丈夫で頑丈、質実剛健な前時代のものだった。


 そのフォルムはコッペパンみたいな丸みをおびたシルエットで余計な凹凸や装飾は一切なかった。


「パンみたいなおいしそうなおふねで可愛い!」

「そうね、小さくて可愛らしいわね」

「あっちの船も素敵だけど、私もこの船可愛くて好き!」


 残念ながら冴内だけはコッペパンみたいな船よりも、美しい流線形で恐らくスタビライザーの役割だと思うがあちこち尖ってるパーツが無駄についてるいかにもSFアニメやゲームに出てきそうな外連味(けれんみ)のある船の方が良かったのであった・・・

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