151:初めての宇宙人招待と会食パーティーと同盟締結
久しぶりの農村に到着すると相変らずの大歓迎を受けた。冴内達に加えて力堂が妻を連れて、宮も妻の旧姓早乙女を連れてきて、矢吹と吉田もついてきた。手代木も本心では参加したかったが、ここまでのことを神代に報告しなければならないということで富士山麓ゲートに戻っていった。良野も木下や他の職員達との打ち合わせがあるので仕方なく富士山麓ゲートへ戻っていった。
その夜の第3農業地は村をあげての大祭りとなり、小さなやぐらに太鼓を掲げて大いに飲んで食べて歌って踊った。美衣と良子は浴衣を着せてもらい、小さな盆踊りを二人で踊った。その二人の姿を見て全員メロメロになった。とりわけ吉田と旧姓早乙女は身体が半分溶けていた。
一方優と力堂と村一番の大酒のみはガブガブと酒を飲んで大酒競争をしていた。3人ともまったく底なしだったが優が樽ごと抱えて飲んでしまい、村のお酒がスッカラカンになってしまった。ちなみに優のお腹は4つ子でも産むのかというくらいパンパンに膨らんでいた。そして冴内が目に入るやいなや飛びついてキスしたり頭をこすりつけていた。皆なるべく見ないようにしつつもチラチラと嬉しそうに見るので冴内は恥ずかしくなって優をお姫様抱っこで抱えて少し酔い覚まししてきますと言って空を飛んだ。
ちなみにこの物語はR15指定なのであまり深くは書けないが、月明かりがとても綺麗に映る泉の近くで二人は久しぶりに愛を確かめあいましたとさ、やれやれめでたしめでたしですね。ヽ(`Д´)ノ
明けて翌日、朝から米の炊き出しで村中大忙しだった。そもそも朝食の時点で爆食軍団がいるので、それだけでも大忙しな上に今日は宇宙からお客さんがやってくるということでじゃんじゃん米を炊いていった。
良子は初めて食べる現地の新米に大感激して美味しい!美味しい!と目をキラキラ輝かせてバクバク爆食した。その言葉と表情と膨らんでいくお腹を見るだけで、農作業シーカー達は全てが報われて幸せな気分になった。ただその喜びを得られるだけで辛い農作業が楽しい喜びとなるのであった。
朝食に大満足して、冴内達はみんなのほしに戻っていったが、宮はお礼として家や家具や農作業用器具の修繕で大活躍した。旧姓早乙女と力堂も力作業を手伝って大活躍した。ついでに冴内からの依頼でやってきたアリオン達も大活躍だった。
みんなのほしに戻った冴内達のうち、優は早速果物をどんどん並べていき、美衣と良子はバケツリレーと重力制御で干し柿をどんどん並べていった。
そうこうしているうちに良野と手代木がやってきた。良野は何人かの料理人シーカーを連れてきた。
美衣が宇宙ポケットから大量に魚の切り身やエビカニや貝の身を取り出して机の上にじゃんじゃん置いていくと、優と良子とやってきた料理人達はどんどん寿司のネタ用にカットしていった。美衣も全ての食材を取り出し終えるとカットに加わった。
冴内が垂直上昇して豆腐ハウスの外縁を見ると二つの大きなゲートが少しづつ現れ始めていくのを確認した。
やがて完全に大きなリングゲートが姿を現すと、大きな龍【グワァーオーゥゥ】が出てきた。もう一方のゲートからもモフモフのケモミミ獣人達が出てきた。
大きなホールケーキセンターは一目見ればすぐに分かるのだが、あえて冴内は皆に分かるように虹色のチョップを振り回して皆に知らせた。
【グワァーオーゥゥ】人側のゲートからは名誉会長を筆頭に、大きさは半分くらいのカッコイイ見た目の龍が2匹とりゅう君のオジサンがやってきた。
ミャアちゃん達も続々とやってきた。こちらはミャアちゃんを筆頭に10人くらいの獣人達が入ってきた。
いよいよ全員勢揃いしたが、さすがに【グワァーオーゥゥ】人達はでかすぎた。一応彼らは宙に浮かぶことが出来るので地面は問題ないのだが、彼らが豆腐ハウスよりも若干高い場所に浮かんでいるとその下の日かげ部分はとても暗くなった。
その大きさと姿だけで威圧感が半端なく、冴内ファミリー以外は目に見えて萎縮していた。
「皆さん、みんなのほしへようこそ!ここはその名の通り皆の星なので、これからも自由に来てくださいね!」
「今日は記念すべき最初のお客さん歓迎会なので、皆さん楽しく食べて語らいましょう!」
なんと、冴えない冴内のくせに一丁前の挨拶を途中で噛むこともなくスラスラ言ってのけた。
「【グワァーオーゥゥ】人の皆さんはこちらの果物と、そして我が星我が国の加工技術で作った干し柿をどうぞ!柿は第7惑星で収穫したものです」
「なんと!干し柿とな!」とりゅう君のオジサン。
「おお、あれがオヌシの言っていた干し柿か、確かになんとも良い匂いがするではないか!」
「ミャアちゃん達にはやはり我が星我が国の魚を使った伝統料理のお寿司をどうぞ!」
「ミャアちゃん!アタイが沢山作ってあげる!」
「わぁ美衣ちゃんが作ってくれるの!?楽しみ!」
「なんと・・・魚を生で食べるのか?我々の祖先がはるか大昔に食べていたようだが果たして大丈夫なのだろうか・・・」
「おすしはとってもおいしいよ!」
そうしてまずは各々食事を楽しむことにした。
「なんという芳醇な旨味!この干し柿というのは果物の味を凝縮して際立たせる素晴らしい物だ!」
「オヌシの言う通りだ!かような食べ物これまで長きに渡り生きてきたが食べたことがない!冴内殿、誠に感謝する!ホレお前たちも遠慮せず食べよ!」
「ハハァッ!」×2
「うむっ!むぐっ!ゴクンッ!」
「これは!うみゃい!にゃんともうみゃい!」
「こにょ小さな魚の切り身に白い食材、そしてにゃんとも形容し難いこの液体、白い食材がほんにょり甘酸っぱくて、この液体を魚の切り身に少しつけると、全てが完成された美味しさを作り出している!しかも口の中に入れるとホロホロと白い食材がバラけて、魚の切り身と交じり合うことでますます全ての旨さが見事に調和する!魚自体はカットしているだけにゃのににゃんと見事な食べ物にゃんだ!」
「美衣ちゃん!おすしとっても美味しいよ!美味しくてとまらにゃいよ!」
「ありがと!いっぱい食べてね!グゥ~グゥ~」実にかいがいしいことに美衣は盛大に腹の虫が鳴っているにもかかわらず、ミャアちゃんのためにお寿司を握っていた。
「そうだ、美衣なめろうも作ってあげたら?」
「あっ!そうする!」
「にゃめろう?」
「うん!とっても美味しいよ!美味しくておさらをなめちゃうくらい美味しいよ!」
「にゃんと!いや、我々はこれでも王室の臣下たるもにょ、さすがに皿をにゃめるにゃど、旧石器時代にょ祖先じゃあるまいし、そにょようにゃことはしませんぞ!」
数分後【なめろう】を食べた獣人達は全員皿を可愛らしい舌でペロペロ舐めていた。
「く、悔しいにょう!悔しいにょう!ペロペロ」
「だが、とまらん!ペロペロ」
かたやあっという間に干し柿も果物も食べ尽した【グワァーオーゥゥ】人達に美衣の宇宙ポケットを借りた冴内は中から第四の試練にあった果物を幾つか取り出して、食べられそうなものありますか?と尋ねたところ、フンフンと匂いを嗅いでいき、これはなかなか美味しそうだということでまずは桃をパクリと食べたところ・・・
「フギャーーーッ!!」と、名誉会長は目から光線が飛び出した。
「会長殿!」×3
「グ!グワァーーーオゥ!・・・うまいぃーっ!!これはなんといううまさだ!危険すぎる!これは実に危険なうまさだ!」
「なんと!では拙者も!」
「拙者も!」
「わ・・・私も!」(オジサン)
「ギャアオォォォウゥゥゥ!ギャオォウゥ!」と、凄まじい大音響の咆哮が空気を響かせた。
その咆哮で料理人とミャアちゃんの臣下の数名が気絶した。
「も!申し訳ない!冴内殿!これは!この果物は危険すぎる!いや素晴らしくうまいのだが、一瞬我を失ってはるか古代に先祖返りしそうになった!」
「だが、なんともうまい!こんなものが宇宙に存在したのか!・・・惜しい・・・惜しい・・・もうひと口だけでも・・・いや、いかん!悔しいのう!悔しいのう!」
「そうだ!薄めてジュースにすればいいんだ!ちょっと待っててください!」冴内は近くの豆腐ハウスに入って宇宙ポケットから水筒を取り出し、水道口に手をかざして念じると、透き通った水が出てきたのでそれを水筒に入れて、桃をいくつか握りつぶして果汁を水筒に入れた。その後十分シェイクしてから外に出て、空を飛んで名誉会長に飲ませた。
「ゴクンッ・・・プハァーーーッ!!ウマイッ!これは実にうまい!これならば我を失うこともなく安心して飲める!冴内殿!もう一杯!もう一杯!」
「会長殿・・・その、それがしにも」(オジサン)
「我にも是非に!」
「我にも!」
宇宙人同士であったとしてもやはり食は最大の文化交流の一つだということで、最初の宇宙人招待の会食交流パーティーはとても良い出だしとなった。
「冴内殿には命を授けてもらった大恩があるのに、さらにこのようにうまいものまで頂いてしまい、その御恩に報いるにはどうすればよいものか・・・」
「いえ、お気になさらないでください!自分がやりたくて勝手にやったことですし、命に関しては美衣がやったことですから」
「いやいや、そうはいきませぬ!これでも我ら気高き龍族の末裔ゆえ、頂いてもらうばかりでは我らの矜持に反しまする!とはいえ、一体我らの何を差し出せば釣り合うのか・・・わしの命やわしら全員の忠義、はたまた、我らの星の幾つか・・・」
「では、僕が欲しいものを言ってもいいですか?」
「おお!なんと!それは何でござるか?我らに差し出せるものならば何でも差し出しますぞ!」
「僕が・・・いや、僕らが欲しいのはただ一つ!いつまでも仲良くして欲しいということだけです!」
「アタイもそう思う!それがいちばんほしい!」
「私も!」
「そうね!それが一番ね!」
「なんと・・・なんと・・・なんと!冴内殿!さすが冴内殿!あなたという人は、なんという方だ!」
「私達も美衣ちゃん達といつまでも仲良くしたいです!」
「ミャアちゃん!」
「賛成ですにゃ!」
「賛成!」
「賛成!」
こうしてみんなのほしで、最初の宇宙人招待による会食パーティは大成功を収め、地球を含んでの同盟が締結されたのであった。地球側の諸外国の了解など一切とらずに冴内達が勝手に一方的に地球初の宇宙同盟を結んだのであった。