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125:桁違いの更に上

 夕方まで地獄の冴内イメトレは続き、二人ともイメージ世界で何度も胴体を真っ二つにされたり首チョンパされては濃縮桃ジュースを飲んでまたそれを繰り返すという地獄を繰り返した。さすがの美衣も優もゲッソリしたが文句ひとつも言わずに頑張り続けた。


「今日はここまでにしようか、二人ともよく頑張ったね、どうしてやられたのか、どうしたら勝てるのかじっくり考えてみてね」

「うーん・・・なんか、なにもかもが父ちゃんのれべるにとどいてないきがする・・・」

「そうね・・・スピードも力も戦闘センスも、今の洋には届かない気がするわね、最初に洋と会った頃と今じゃ全く違うわ」

「えっ?そうなの?・・・ごめん・・・自分のことなのに本人がちゃんと理解してなかったよ。明日からちょっと違うトレーニングを考えておくよ」

「わかった!父ちゃんよろしくおねがいします!」

「私も頑張るわ!」

「ありがとう!じゃあ帰っていっぱいご飯を食べようか」

「わーい!今日もたくさん食べるぞ!」


 そうして3人は第四の試練を後にして研修センターに戻っていった。途中玉置神社の駐車場に寄るとマイクロバスは既になかったので力堂達は既に研修センターに戻ったようだった。そうして研修センターに到着し食堂に入ると力堂達が座っていた。


「おっ!お帰り、今日は遅くまで頑張ったんだな」

「はい、ただいま帰りました。力堂さん達は早かったんですね」

「うん、1時間くらい前に戻ってきた」

「今日は何階層まで攻略出来たんですか?」

「20階層まで攻略出来たわよ」と良野。

「えっ!もう20階層ですか!すごい!」

「でも恐らく明日からはこうはいかないと思う」と手代木。

「あぁなんか厄介なのが出てくるようになってきたな」と矢吹。

「厄介な相手?」

「ああ、遠距離から攻撃してくるのがチラホラ出てくるようになってきたんだ」と力堂。

「あと美衣ちゃんの好きなお肉を落としてくれない可愛くないヤツらが多くなってきたわ」と吉田。

「ガーン!お肉ないの!?」

「あっ!でも今日はサラマンダーのお肉をいっぱい持ってきたわよ!」

「えっ!サラマンダーの肉ですか!美衣やったぞ!サラマンダーのステーキはすごく美味しいよ!」

「ホントか!父ちゃんそれ食べたい!」早速美衣と優は注文カウンターに向かっていった。


「厄介な相手ってどんな相手だったんですか?」

「林の影からだったのでハッキリ確認はしていないが恐らくサルかあるいはヒト型の何かが投石をしてきたな」

「あとでかいカラスも厄介だったぜ」

「単体までならいいんですが、それらが混ざって攻撃してくるとかなり厄介でしたね」

「ああ、優さんからいただいた盾と良野の攻撃魔法がなければ、全員ノーダメージとはいかなかった」

「足手まといになりそうならいつでも遠慮なく言っておくれよ。って力堂に手代木もいるからそこはちゃんと判断してくれると信じてるけどね」

「ああ、だが吉田の運搬能力は必須だと考えてる」

「はい、自分も同感です。それにどうやら我々の難易度でも危険対象物は24時間おきの出現なので、吉田さんには後からついてきてもらうという手もあります。ちょっと一人で退屈したり寂しいかもしれませんが・・・」

「それくらい足手まといになるより全然平気さ!」

「オレももう少し何か手数を増やしてぇなぁ」

「自分もそう思いました。とりわけ何か遠距離から攻撃出来る手立てを講じたいものです」

「遠距離なぁ・・・冴内みたいに斬撃パンチでも撃てればなぁ・・・」


 力堂達もなかなかに苦戦し始めていて大変だなぁと自分達の境遇そっちのけでのんびり考えているとジュージュー肉の焼ける音とたまらない匂いがするサラマンダーステーキを持ってきた美衣と優が近づいてきた。美衣はもうヨダレが滝のように口から溢れ出ている。当然一皿なんかじゃ足りないので2台の運搬トレーに10皿以上乗せて持ってきた。


「うまいうまい!」とサラマンダーステーキを頬張る美衣、一口ずつ切って食べるのではなく一枚肉にフォークを突き刺してガブリと豪快に食べていた。とびきりの笑顔で頬張る美衣の姿を吉田はウットリとした表情で見ていた。時折美衣のほっぺたを拭いてあげて美衣にお礼を言われメロメロで幸せいっぱいの表情で「あたしも子供欲しくなるわぁ・・・」と漏らしていた。良野もウンウン頷いていた。10皿をペロリと平らげた美衣はおかわり頼んでくるといって注文カウンターの方へ行ったが、冴内の方は2皿食べて満足した。


「冴内君達の方はどうだったんだ?」

「これまでと違う風景だったので驚きました」

「ほう?どういう風景だったんだい?」

「動画で見たと思いますがこれまでは洞窟のような感じだったんですが、今日のはいきなり豊かな平原が現われました。とても美味しい果物がなる木や魚がたくさんいる川に泉があって、とても平穏な感じでした。しかしその先にはこれまでの場所とは桁違いの危険な場所がありました、危険で・・・なんか邪悪な気配がする嫌な場所でした」

「君達ですらそんな風に感じるとは、余程の場所なんだな・・・」

「今日の様子も動画に記録しているのかい?」と手代木。

「はい、食堂に来る前に職員さんに渡していたので明日までには公開されるかと思います」

「よし、明日は午前中はその映像を見るのと、今後の対策の検討の時間にあてたいと思うのだが、皆の考えはどうだ?」

「自分は賛成です」

「オーケー大将!」

「賛成よ」

「異議なし!」

「冴内君達はどうするんだ?」

「自分達は朝から試練の門でトレーニングします」

「えっ?試練の門でトレーニング?危険対象物は24時間おきに現れるんじゃないのかい?」と手代木。

「多分24時間おきだと思うのですが、それ以外にも練習するのに都合が良い場所なんです」

「なるほど、明日冴内君の動画で見てみるよ」


 他にも色々と雑談を交えて力堂達とあれこれ話した後、大浴場で疲れを癒しそれぞれ部屋に戻っていった。


 翌朝冴内達は朝6時の食堂オープンと同時に朝食を食べたが、優は4時には食堂の厨房に入って今日もお弁当をタップリ作っていた。力堂達と入れ違いで食堂を後にして冴内達は試練の門に向かっていった。力堂達は食後に中会議室に向かい、冴内達の第四の試練の映像を見たのだが、両手剣の剣士との闘いと巨花の闘いを見た力堂は言葉を失った。


「これ・・・は・・・」

「ここまでくるともう言葉がありませんね・・・」

「コレ、カメラが壊れてるんじゃねーのかっていうくらいデタラメな動きだな」

「もっとスローに再生出来ないのか?」

「アクションカメラなのでこれが限界です、それでも一応最大スロー再生なのですが・・・」(職員)

「これで一番遅いってか!」

「優さんと美衣ちゃんはさておいても、冴内君は地球人類だぞ、同じ地球人でもここまで到達出来るものなのか?」

「いや、彼はもうとうに地球人類を超えているんじゃないでしょうか、こんな加速度で移動したら筋肉や骨が、いやそれどころか内臓や血管までもが耐えられないと思います」

「確かに・・・英国ゲート内で海を割り神のチョップとやらを手に入れたわけだから既にその時点で人間離れしていたのか・・・」

「でも元は俺達と同じ人間だろ?俺達にだって何か可能性のカケラぐらいはあるんじゃねぇのか?」

「うむ、その意気は大事だな。それに例の音声ガイドの言では試練を乗り越えた者には試練に応じた報酬があるようだしな」

「そうね、しかも冴内君からの報告にあった、試練の門の最終目的には、高度な宇宙人と来るべき対話を行うために試練に挑んだものを鍛えるとも言っていたわけですものね」

「冴内君達程までとはいかなくてもこのまま進めて行けば、かなり僕達も強くなるんじゃないでしょうか」

「おう!負けてられねぇーぜ!」

「そうだな!」




 しかし、その後に続く冴内のイメージトレーニングのシーンを見て、全員気絶してしまった。




A few moments later...




「身体が・・・真っ二つになった・・・優さんの盾があるのに・・・」

「訳も分からず身体がバラバラにされた・・・」

「これ・・・イメージトレーニングですよね」

「冴内君怖い・・・冴内君怖い・・・怖い・・・」

「ブクブクブク・・・」吉田は泡を吹いていた。

「さすがにこの域はムリだ・・・」と力堂。

「ですね・・・」と手代木。

「アイツら一体どんなトレーニングしてんだよ!」

「冴内君怖い・・・冴内君怖い・・・」

「ハッ!あ・・あたしは何を・・・」

「君等は平気だったのか?」

「いえ、画像編集チームは全員気絶し、今も治療室のベッドで寝ています、冴内さんからいただいたしるばぁスライムのサイダーを50倍に薄めたものを投与したのでなんとかトラウマにならずに済んだようです。今、我々はそのシーンの前後は目を伏せて見ていませんでした」

「だろうな・・・これ、シーカーサイトに公開するときは注意したまえよ」

「はい、神代局長からも同じことを言われました」

「あいつはどうしてる?大丈夫だったのか?」

「はい、今は大丈夫ですがやはり気絶しました」

「あいつはシーカーじゃないのによく目覚めることができたな」

「はい、実は前日も徹夜しており、画像を見る前に以前冴内さんが持ってきてくれたイノシシの牙成分由来の鎮静剤を飲んでいたのと、ちょうどいいタイミングでウトウトしていたのが幸いしました」

「まったく運がいいのか悪いのか・・・ま、あいつらしいがな」


「ともかく、これはこれ、俺達は俺達だ。切り替えよう。これから先の階層の攻略に必要なことに専念しよう」

「だな。オレとしてはこれからは冴内達のように、同じ階層に何度も挑んでいく必要があると思うぜ」

「ですね。さらに何か遠隔攻撃対応もしたいところです」

「そうね、遠距離攻撃が今の所私だけだとこの先危なくなるかもね」

「私もなにか、遠距離からなら皆を支援出来ることがないか考えたい」

「よし、俺達じゃなく情報戦略部員とAIにも頼んで今後の方針を検討するとしよう」


 こうして力堂達もチームの戦闘力向上に励むことになった。

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