表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/460

105:ダンジョン発見

 ドローンで観察を続けていき、少しづつ距離も伸ばしていったところさらなる発見があった。鬱蒼としていた森の外縁をなぞっていくと人の形のように見えたのだ。しかもその森の外縁はその先が一切巨木が生えておらず地面も光り輝いていたのだ。この発見は大反響を呼んだ。単に人の形に見えるだけならそれほどのことはなかったが外縁部の異様ともいえる地形状態から、自然に偶然出来た地形とは言い難く人為的な人工物ではないか、結論からいうと墓の類ではないかという意見が多く寄せられた。墓だとして果たして一体誰の、どんな人物の墓だったのか非常に多く関心が集まり、この件に関して冴内を通してりゅう君を通してオジサンが何か知っていないか聞いてみたがオジサンにも分からないそうだ。何せスゴイ宇宙人がはるか前に作ったものなのでほとんど何も分かっていないとのことだった。


 そうして調査が進んでいったところ、どうも頭部と思われる場所の一つに大きな穴が空いているのを空撮したドローンの映像から確認することが出来たのだが、それはどうみても人間の口に見えた。


 一方、取れたて精米したての炊き立てホヤホヤ大盛ご飯に納豆を山盛りいっぱいのせてガツガツモリモリ食べていた美衣はそのニュースを見るやいなや「ダンジョンだ!あれはダンジョンだ!あそこに行きたい!」と目を輝かせて言った。冴内もこれは面白そうだと言ったので冴内ファミリーは奈良ゲートに行くことになった。


 またしてもアリオンとユーマには休暇を言い渡しヒマだったら自由に世界を飛び回ってきていいよと言った。そこでもしもゲートを見つけたらその場所を覚えておいてとも伝えた。


 そうして翌日の午前3時頃、謎のVIPカーが東名高速を法定速度ギリギリでぶっ飛ばしていた・・・


 美衣が一刻も早く奈良ゲート内に突撃したいと熱望したので、奈良ゲートの研修センターには後で寄ると言い渡し冴内達は早速ゲートインした。美衣はすぐにでもダンジョンに入りたかったのだが冴内達の行く手には鬱蒼とした巨木が立ちはだかる。アリオンやユーマがいればひとっ飛びなのだが、徒歩行軍するにはどうしてもこの巨木をなんとかしなければならない。しかしそこは神のチョップを持つ冴内と最強の【ンーンンーンンンン】人である。こんなものはチョップで切り開いていけばいいのだということで、早速「素手のチョップ」で森林伐採を開始した。


 最初は水平チョップをお見舞いしたが、何せ直径が15メートルもある巨木なので水平チョップ一振りでは目の前の巨木が1本倒れるだけだった。それでも普通はスゴ腕シーカーでも2週間で1本なので一振りで1本というのは驚異的である。途中で垂直チョップを試してみるとこちらの方が都合が良かった。ただ斬撃を遠くまで飛ばしてかつ地面を割らないようにするには結構コツが必要で、慣れるまで地面に深さ1メートル程の割れ目が出来てしまった。親子二人で話し合い試し合ってなんとか地面を傷つけないように巨木を伐採するコツを掴んだ。要するに寸止めのイメージである。慣れてきて、二人並んでチョップすると幅2メートルの道が出来ていった。それでも1日かけて進める距離は5キロ程だった。それでも驚異的な移動距離ではあるのだが・・・


 その間優は熊やイノシシを狩ったり果物やキノコや草をとってきて料理をしたり、巨木を伐採した際に出現する「硬くて丈夫な角材」をゲート外に運んだりゲート外から生活必需品を運んだりしていた。


 ちなみに優はちょっと駆け足で走ると大体時速70キロで走行したそうだ。それも一つ500キロ程の角材を「両肩に乗せて」走っていたそうだ。髪の毛が邪魔だということでほっかむりして、かなり大きな胸も邪魔なのでサラシを巻いて走る姿はそのまま神輿を担いだら神様自らが神輿を担いでいるかのような姿だったそうだ。


 そうして10日程進んでようやく例の「口」に該当する場所に辿り着いた。ドローンで上空から見るとゲートのある位置が胃で食道を通り口につながる見た目になってしまい、よく健康番組などで見られる体の図のようになってしまった。


 口の部分に該当する穴は実際に近づいてみると実に異様であった。それまで鬱蒼とした巨木に囲まれていたのに口の周りになると一切巨木がなく、穴の直径は数百メートルはありそうでドローンで見たときは底が見えない程深そうな穴だったが実はそれほど深くはなく50メートル程の深さだった。何故深く見えたかというと穴の地面も壁も真っ黒だったからである。口の中はツルツルの黒い石のようなもので出来ており、驚くべきことに穴の底に向かって螺旋階段があったのだ。さらに驚くべきこととして地面の中央部にはさらに小さな地下階段と思しき穴が空いていた。つまりこの穴は知的生命体によって造られたと思われる建造物だったのである。


 ともあれ冴内ファミリーは螺旋階段をつたって下に降りることにした。途中美衣がまどろっこしくなったようで一気に下に飛び降りた。冴内はさすがに普通に歩いたが今度は優がまどろっこしくなって冴内をお姫様抱っこして床まで飛び降りた。


 先に書いた通り地面は真っ黒い石のような硬い地面でツルツルでとても綺麗だった。一体どうやって作ったのだろうか、継ぎ目が全く分からなかった。


 穴の中心部までたどり着くと、上から見た通り地面に穴が空いており下に向かう階段があった。穴は小さく大人二人が並んで入れる程度の幅だった。とりあえず冴内ファミリーは全員穴に入っていった。やはり一面ツルツルの真っ黒く硬い石だった。


 その階段はまだ光が届くほどの深さですぐに終了し6畳ほどの小部屋に繋がっていた。そしてその小部屋の奥には扉があり、その扉の横には台座が設けられていた。いかにもそこに手をのせてくれと言わんばかりの台座に見えた。


 美衣が何の考えもなしに手をかざすと、手を乗せた台座部分が発光して扉の前に何やらホログラムが映し出され映像とともに人の声が聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ