表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回ル回レサイゴマデ  作者: ギンカガミ
1/1

3.14 目覚メ

どうも、ギンカガミです。

グラジオと一緒に、異世界転生小説書いたりしていますが、

今回は個人で(ホラー苦手なくせに)ホラーに挑戦!

キーボードを打つてがガタガタ震えますが何とか1話目を書きました…。

そんなこんなで、全身全霊のホラー、お楽しみ(?)ください!




目が覚めると、車両内には誰もいなかった。

最後に記憶があるのは、乗車駅から2駅程進んだ所だ。

まずい、寝過ごしたかもしれない。

今はどこかと、窓の外に目をやる。

窓の外には、何も見えない。

線路沿いならば、街灯のひとつでもありそうなものだし、車両からの光で多少は何か見えるんじゃないだろうか。

いったい自分はどこまで来てしまったんだ?

そう考えながら、眠気を覚ますために立ち上がる。


「とりあえず、次の駅で降りないとな。」


ほかの乗客はいないから、遠慮することもないだろう。

大きく伸びをする。

そして、次の停車駅を確認するため、電光掲示板を見る。

見慣れた、不審物注意や通話禁止などの文字が下の方に流れる一方で、

その上、駅名が表示されるべき場所には、見慣れぬ文字が表示されている。

「次は 繝「繝峨Ξ繝翫う」

何度目をこすっても、そこにはそう表示されている。


「……うーん?」


自分が乗っている列車は、首都圏から北に伸びていく路線だ。

そして、その路線の駅名には、少なくとも、「Ξ」のようなわけのわからない記号は使われていない。

この明らかな異常がいまいち吞み込めず、とりあえず先頭車両に移動しようと考える。

さすがに、運転席の窓からは何かが見えるだろう。

先頭車両に向かって歩いていく。乗っていたのは10号車。

先頭車両は15号車だ。

すぐにたどり着く…はず、なんだ、が。

おかしい。

車両間のドアを何度開けても、次の車両の奥にはドアがある。

反対方向に来てしまった可能性も考えたが、もう20回以上ドアを開けたと思う。


「あ、そうだ。電光掲示板。」


電光掲示板の右下に、号車番号が書いてあるだろう。

そんなわけで目をやると、「π」と書いてある。


「は?」


意味が分からない。

前の車両に戻って、また号車番号を見てみる。

「Ω」

さらに前のものを見る。

「Σ」

小走りに号車間を移動し、番号を確認する。

「α」「δ」「φ」「β」「χ」「γ」「μ」「Ψ」「♄」「♅」「♂」「♁」「♀」「☿」「♃」「♆」

「§」「†」「〽」

数式でも見たことのないような文字すらある。


「はぁ…はぁ…」


異常である。明らかに。


「何なんだ?何なんだよ!」


長距離を走ったせいで、脇腹が痛い。

列車内で長距離を走るなんて、おかしな話だが。

その時、車内放送が流れた。

どことなく不安になるメロディに続き、電子音が停車が近いことを告げる。


「間もなくザザッ繝「繝峨Ξ繝翫う お出口は、右側…す。」


この列車は危険だ。

本能が警鐘を鳴らす。

鞄をひっつかみ、右側のドアに張り付くようにして、それが開くのを待つ。

冷汗が止まらない。

カーブで車輪がきしむ音が聞こえる。

やがて、列車は徐々に速度を落としていき、やがてその速度を0にする。

目覚めてから始めて見た、車外にあるものであるその駅は、若干古い感じはするものの、首都圏から1時間程度でたどり着く田舎の駅とほとんど変わりなかった。

聞き慣れたものと全く違う耳障りな不協和音が、聞き慣れたものと同じリズムで鳴らされると同時に、ドアがぎこちなく開く。

慌てて車外に出ると、ドアが閉まる。

乗っていた列車を見ると、2両編成である。

どういうことだ?自分は確かに車内を走った。どう考えても、2両ではなかった。

そもそも、2両編成の列車に乗った覚えもない。

混乱を抱え、駅のベンチに座る。

切れかかった電灯が点滅する。

いつもと同じはずなのに、なぜか不穏に聞こえる発車ベルがプルルルとなり、電車はテールランプを煌々と光らせ、走り去っていく。


「ふう。」


コーヒーでも飲んで落ち着こう。

自販機に硬貨を入れて、ボタンを押す。

指先が震えたが、コーヒーはきちんと取り出し口に落ちてきた。

プルタブを開けて、中の液体を口に含む。

口の中に苦みと酸味が広がる。

ほう、とため息をついた。

列車を降りてからは、別段おかしなこともない。

なんだ、やっぱり大丈夫じゃないか。

さっきの列車は明らかにおかしかったが、それは帰った後で考えることにしよう。


「さて、と」


まずはここがどこなのかの確認。それから、帰るための切符も買わなくては。

田舎の駅なので、のぼりとくだり、2つのホームしかなく、改札の中には券売機もないようなので、

一旦改札を通り抜ける。

駅員はいなかった。

改札を抜けてすぐに右に曲がると、少し古ぼけた券売機が2つ置いてある。

さて、ここはどこだ?

料金表を見るべく、上を向く。










――――繝「繝峨Ξ繝翫う(現在地)―――――豁サ(220π)―――――

2つだけ。

料金表には、今いる駅と、もう1駅、計2つの駅名しか書かれていない。

これではいくらの切符を買えばいいかわからない。

とりあえず、最高額の切符を買って、足りない分は後で清算しよう。

そう思い、「おとな」のボタンを押す。

タッチパネルに表示されたのは、「220π」のみ。


「はぁ?」


本当にこれしかないのか。

そもそも、少なくとも2駅以上を通過した記憶はある。

第一、「π」とはなんだ。計算しろというのか?

小数方向に50兆を優に超える数字を持つ円周率をかけて、料金として払えるような整数が出るわけもない。


「なんなんだよ…」


…待てよ?この「220π」、計算すれば700程度だろう。

1000円もあれば足りるはずだ。そう思い、千円札を券売機に投入する。

「ガー」という音とともに吸い込まれていった。

かと思ったら、「ガー」という音とともに1000円札が吐き出される。

パネルには、「この紙幣は利用できません。」と表示される。

苛立ちを覚えつつ、今度は硬貨で投入。

同じく戻ってきた。

隣の券売機でも同じ結果。

本当に意味が分からない。

この紙幣も硬貨も、絶対に本物だ。

となると、おかしいのはこの機械。

券売機を睨みつける。

すると、上部に描かれたICカードのロゴに気付いた。

うっかりしていた。自分は今、ICカードでここまで乗ってきたんじゃないか。

帰りもまたそうすればいいだけの話。

やはり、不安や苛立ちがあると、頭は回らないようだ。

再び改札を通るため、ICカードを改札にかざす。

反応はない。

それもそのはず、ICカードをかざす部分がない。

出るときには使えるのに、入るときは使えない。

こんな馬鹿な話があるか。

改札を飛び越えて入ってやろうかとも思ったが、さすがにそれはやめておいた。

仕方がない。今日はこの辺で一泊しよう。駅があるんだから、住人はいるはずだ。

頼んで泊めてもらおう。

なに、言語が通じるんだから、さして心配はない。

そう思って駅を出て、コンクリートで舗装された道を歩き始める。

左手には田んぼ、右手には線路。その線路の奥には森。

街灯があるので、足元はそこまで不安じゃない。

もっとも、少し不気味ではあるが。

そういえば、とスマートフォンを開く。

地図アプリを使って、建物を探そう。初めからそうすればよかった。

時刻は3時14分だった。

地図アプリを開いて、位置情報をONにする。

マップ上に表示された、自分が今いる場所を示すピンは、森の中に立っていた。

どう見ても間違いなく、森の中。

しかし周りを見ると、そこはどうみても、田舎の風景が広がっている。

田んぼ、駅、線路。自分の周りに確かにあるものが、地図の上では何もない。

不気味だ。

引いていた冷汗がまた流れだす。

…とりあえず、もう少し歩いてみよう。

交番や公民館があるかもしれない。



***



1時間ほど線路沿いの道路を歩いたが、何もない。

それどころか、街灯すら減ってきている。

不安と恐怖で胸が押しつぶされそうになる。

もう深夜どころか、早朝に近いこともあり、疲労もひどい。

仕方がないので、ここで野宿することにしよう。

こうも暗くては、探索も出来ないし、何より眠すぎる。

列車の中で寝たとはいえ、さほど長い時間でもなく、深い眠りでもなかった。

さすがに田んぼで寝ると怒られそうだ。反対側の草むらに鞄を放り投げ、身をうずめる。

野生動物なんかの危険もあるのかもしれないが、知ったことか。

目を閉じた。意識が遠のいていく。





***




目が覚めると、自分は草の中にいた。

当然だ。道端の草むらで野宿をしたのだから。

起き上がって伸びをする。

鳥居が目に入る。

当然…え?

昨夜は確かに無かったはず。

いや、あったのに、眠すぎて気が付かなかったのだろうか。

とりあえず、誰か人がいるかもしれない。

鳥居をくぐって、階段を上る。

もちろん、鳥居をくぐる前の礼は忘れずに。

長い階段を登り切り、境内に足を踏み入れる。

無人のようで、小さな本殿がある。

どうせなので、お賽銭をしていこう。

そう思い、財布から5円玉を取り出す。

丸い形をした珍しい賽銭箱に投げ入れ、2礼2拍手1礼。

人はいなかったが、建物はあることは分かった。

階段を下り、再び礼をして鳥居をくぐる。田んぼが広がっている。

右を向き、歩き出そうと足を踏み出して、足を止める。

田んぼが広がっている?鳥居をくぐったら?

昨日歩いていた道は、左手に田んぼ、右手に線路があった。

これは確かだ。

今、自分の左手には田んぼが広がっている。

つまり、昨日と同じ方向に向かって進んでいる。

昨夜眠ったときも、自分は田んぼと反対側、つまり進行方向向かって右の、線路側の草むらで寝た。

そして今、自分の右手側には、鳥居がある。

線路は、ない。自分が寝ていた場所は、鳥居の横。

その部分の草は倒れていて、自分がいた事は確実だ。

訳が分からなくなってきた。

風がサァっと通り過ぎる。

訳が分からなくなってきた。




お読みいただきありがとうございました!

ブクマ、いいねなどとっても嬉しいです!

続きは私の気力とブクマといいねなどによって書こうと思います。

なのでぜひブクマなどなどよろしくお願いしまs(((

また、共同サークル垢のほうの、異世界スローライフ「下校中に異世界に飛ばされたので気ままにスローライフしていきます!」もよければぜひお読みください!

それではまた!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ