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第一話 2020年11月

第一話 2020年11月


高校生の僕にはまだまだあやふやな未来が待っている。

その未来をどうしたいとかは何もなくて、ただ過ぎる日々を流し流し生きている。


あの時、付き合っていた子は今どうしているのだろう。

今も元気でやっているのかな。

高校別になってから会えなくなって、それでも連絡は取っていたけれど、連絡もだんだんなくなっていった。


今までで唯一この先も一緒にいようと思えた人。

でも、若かった僕たちは物理的な距離に心も離れていった。

最後の別れ話でも「また会えたらいいね」なんて言いながら離れ離れになった。


それから2年が経ち、高校3年生の僕は将来をあやふやにしながらただ時間だけを流している。



そこに一件の連絡が来た。



「久しぶり!元気してた??」



想像を裏切るように中学の部活の男友達からの連絡だった。

裏切られると思っていると言うことはまだ俺好きなのかな。


「元気だよ。どうしたん?」

「受験勉強行き詰まったからどっか出かけたい」

「あーわかる、俺も」

「まじ!?土曜日どっか行かん?」

「ありよりのあり」

「オッケー、また連絡する!」


久しぶりとは言ったものの夏休みにも一回会ってる。

それから2ヶ月くらいしか経ってない。



だんだん寒くなってきて学校に行くと銀杏の木がなんとも言えない匂いを放っている。


どこか懐かしいと思いながら、もう遠くなってしまった過去を遡る。

銀杏を踏んで落ち込んだあの子がふっと思い出される。



今何してんだろう。



ただ空想の中で、

高校生活を楽しく過ごすあの子と

落ち込んで助けを求めているあの子を

交互に思い浮かべながら気持ちの上がり下がりをするだけだった。




そして土曜日になった。


中学の友達の勇太とはマックで集合となった。

勇太は約束の三十分遅れてやってきた。


「ごめんごめん!電車遅延してて!」

「なんか人身事故だったらしいな」

「そうなんだよ、今日はついてないな。」

「まあいいから早くマック行こうぜ。朝から何も食ってない。」

「俺も!まじ腹減った」


マックでニ時間潰して、そのあとはカラオケに行った。


平凡な高校生の休日。

受験勉強をする体力はないけど遊ぶ体力はある。

デザートは別腹みたいな感じで、体力を使い分けている気もする。


カラオケで勇太が「君に届け」を歌っている。

そういえばあの子が好きな曲だった。


一緒にカラオケに行ったときも歌っていた。

嫌な選曲だなと思いながら懐かしくてふわふわした気持ちになった。



勇太が歌っている最中、Twitterを開いた。

トレンドのところにさっきの人身事故が上がっていた。



『女子高校生(17)重体』



あの子は黒川高校だったな。

一緒の高校に行けてたらもしかしたら続いてたのかな。


今はあの時よりもっと大人びているのだろう。

この気持ちが君に届いてくれたら救われるのかもな。



「そろそろ帰るか」



そう勇太が言って僕たちはそれぞれの家に帰った。



今日はあの子を思い出すことが多かったな。

もう寝るかって言う時にそんなことを思った。

「君に届け」でも久しぶりに聞いてみようかな。


聞いてみたところで自分の感情が大きく動くことはなかった。


時間が流れてしまえば過去は過去として忘れ去られるのだと実感する。


場面はなんとなく覚えているけど、どんな温もりだったのか、忘れ去ってしまった。

悲しいけどほっとする。


僕の中にあの子はいるはずだけど、それはただの幻想になりつつあると思いながら眠りについた。


青ノート初の作品です!

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