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8話 ライデンの考え

読者の皆様、作者の大森林聡史です。

この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。

よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。

宜しくお願い致します。

 聖王女アスカ(8話)


 アスカ達は、サマーサの港を出て、サマーサ城を目指した。

 サマーサ城は、サマーサの港から南にあり、港からうっすらと城が見えていた。


「暑いわね……」

「ええ……」


 アスカとエリスが汗を拭いながら呟いた。

 港の外はすぐ砂漠で、サウナのような暑さ、熱波、砂地に容赦なく体力を奪った。

 やっとの思いで、サマーサの城下町にたどり着くと、アスカ達は、真っ先に水を求めた。


「ふぅ……」

「生き返る~」


 彼女達は、喉がカラカラに渇いており、水を飲んでようやく一息つけた。


「王女様、体力の消耗が激しい、今日はもう宿で休もう」

「そうね、そうしましょう」


 アスカ達は、翌朝城へ向かった。


「私は、プリンティアの王女アスカと申します。サマーサの女王様に謁見したいのですが」

「これは、アスカ様。女王陛下がお待ちです。城の者に案内させますのでこちらでお待ち下さいませ」

「分かりました」

「これは、アスカ姫。よくぞお越しになりました。あなたのお母様から連絡があり、お待ちしておりました」

「お母様からですか?」

「ええ、こたびの旅の目的とアローラ様の事、魔王軍の事など、お聞きしました」

「ならば、お聞きしたいことがございます。私達はオーブという宝玉を探しているのですが、ピラミッドにあると聞きました。どうか、ピラミッドの探索をお許し下さいませ」

「ピラミッド……ですか。探索はもちろん構いませんが、ピラミッドには恐ろしい罠や怪物がおり、近づく者はおりません。危険な場所です。十分注意なさい」

「はい、ありがとうございます」

「それからアスカ姫、今我らは、魔王軍陸軍と戦闘になっております」

「魔王軍陸軍……」

「幸い、砂漠の地形が有利に働き、撃退に成功しておりますが、中でも陸軍団長タイタンと申す、巨大な魔物が凄まじい力を持っております。交戦する場合十分注意なさい」

「はい、ありがとうございます」

「あなたたちの旅の無事を祈っていますわ」


 アスカ達は、丁重に礼をし、女王の間を後にした。


「素敵なお方ですね」

「ええ」

「やっぱり、女王様って凄いわ……アスカもいつかあんな風になるのね」

「私? 私は、まだまだ修行しなくちゃ」

「アスカ様ならなれますよ」

「ありがとう」

「それでピラミッドにはいつ行くんだ?」

「明日の明朝向かいましょう。今日は、ピラミッドの情報収集と道具の補充を行ったら、早めに宿で休みましょう」

「了解した」


 アスカ達は、道具屋で道具や食料、薬、熱対策品を購入し、更に情報収集を行ったが、ピラミッドに近づく者はいないため、対した情報は得られなかった。

 しかし、魔王軍陸軍の情報は多く得られた。

 やはり軍団長タイタンは、凄まじく強いこと、陸軍の主力は歩兵な事が分かった。


「ライデン……?」


 夕食を終えて、しばらくしてアスカは、ライデンが外に出ていくのを見て、追いかけた。


「ライデン!」

「ん? 王女様か、どうした?」

「いえ、あなたが外に出ていくのを見たから、ちょっと気になって見にきたの」

「大した用はない、ちょっと散歩に出ただけだ」

「そう……ライデン、聞きたいことがあるのだけど」

「なんだ?」

「あなたは、どうして私達についてきてくれたの?」

「あなたの母上、エリカ様から頼まれたからだ」

「お母様とあなたは、昔、何かあったの?」

「大した事じゃない。昔、あなたの母上に命を救われたことがある」

(命を救われたって、大した事だと思うけど……)

「今、俺が生きているのは、あなたの母上のお蔭だ。その恩は生涯忘れる事はない」

「じゃあ、騎士になろうとは思わなかったの?」

「騎士? 俺がか?」

「ええ、あなたはとても優しいし、エリスも私もあなたを尊敬しています。騎士の鑑のような人だと思うけど……」


 ライデンは、フッと笑い


「買いかぶりすぎだ、王女様。俺はそんな器じゃない」

「でも……」

「俺は、子供の頃から戦いしか知らん。あなたの母上の近くにいるのには相応しくない。騎士としてもだ」

「そんなこと……」

「それに傭兵として、世界を回っている方が役に立つこともある。それに騎士は周りにたくさんいるが、傭兵は俺だけだ、騎士にしか出来んこともあるが、傭兵にしか出来んこともある。俺にはその方が性にあっているしな」

「そうなのね……」

(この人は、自分なりの忠誠心を持って傭兵としてお母様に仕えているようなものなのね……そして、お母様もライデンを信頼して、頼んだんだわ……)

「王女様」

「なぁに?」

「強くなれ。俺よりも誰よりも魔王よりも」

「ど、どうしたの急に?」

「分からん。ただそう思ってな……」

「そうなの? ……ええ、頑張るわ」

「さて……そろそろ帰るか」

「ええ」


 アスカ達は、明朝ピラミッドに向かった。

 ところかわってここは、魔王軍陸軍のアジトである。


「タイタンよ……」


 おどろおどろしい、声が響いた。


「ハッ! これは魔王様!?」

「サマーサへの進行は進んでおらぬようだが?」

「は、申し訳ありませぬ、砂漠に足をとられ苦戦しております」


 タイタンは、内心肝を冷やしながら報告した。


「それは良い……それよりも余に仇なす者が動いておると聞く……」

「は、何者でございましょうか?」

「アスカという小娘だ。プリンティアの王女らしい」

「小娘……でございますか?」

「左様だ……侮るでないぞ、アローラの力を秘めておると聞く」

「アローラの! ならば聖魔法の使い手でございますか?」

「左様……仲間達も侮れぬ力を持つと聞く。探しだして殺せ。そして屍をさらせ。人間どもの戦意を削ぐのだ……」

「ははーっ! かしこまりました! 必ずや葬ってごらんにいれます」

「うむ……頼んだぞ」


 タイタンは、魔王の命を受け、直ぐに偵察兵を出した。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。

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