1話 聖母神アローラのお告げ
読者の皆さま、初めまして作者の大森林聡史です。
この度は、この「聖王女アスカ」を読んでいただきありがとうございます。
どうか最後までお付き合いいただけると幸いです。
聖王女アスカ(1話)
ここは、花の国プリンティア。
年間を通して温暖な気候で、花と緑の美しい国として有名な国である。
この国は、聖母神アローラへの信仰心が強く、今日も礼拝堂で女王以下、アスカも祈りを捧げていた。
すると、急に辺りが暗くなり、皆が見上げると美しい女性がホログラフィーのように見えた。
「みなさん……聞こえますか……私は聖母神アローラ……」
「ア、アローラ様!?」
皆は、驚いて声をあげた。
「みなさん……よく聞くのです……この世界に危機が迫っています……闇の国より魔王が進行してきているのです……」
「ま、魔王!?」
皆は、驚いて顔を見合わせた。
「残念ながら私の力では、魔王を止めることはできません……女王、あなたの娘アスカを……旅立たせるのです……」
そこまで言うと、アローラは急に消えてしまった。
「わ、私が……」
「み、みなさん! 今日の祈りはここまでにします。 ひとまずお家にお帰りください」
女王が、皆に呼び掛け、皆は礼拝堂を後にした。
「アスカ」
「はい」
「私も未だに信じられない事が多いですが、こうなった以上あなたを旅に出さねばならないでしょう」
「はい……」
「あなたには生まれつき聖なる力が宿っています」
「はい」
アスカには他人にない、聖魔法を扱う事ができた。
「もしかするとこのためにあなたにその力があるのかも知れません」
「はい」
「旅の支度をなさい、私も手伝います」
「はい!」
アスカは、城の自分の部屋に戻ると、旅の支度をはじめた。
ドレスから旅用の丈夫な服に着替えはじめた。
アスカは、とても小顔で、色白の美しい顔立ちをしており、胸や尻は小ぶりだが、手足が比較的長い18歳の少女だ。
聖水で清められたレイピア、銀の胸当て、銀の盾を用意し、アスカは、女王の間に向かった。
「アスカ、準備はできましたね」
「はい!」
「あなた一人では危険です、近衛兵のエリスにもついていってもらいます」
「エリス!」
「アスカ様は、必ず私がお守り致します」
エリスは、アスカの二つ歳上で幼少の頃から仲が良い。
エリスは、アスカよりも身長が高く、細身の見た目に似合わず、力が強く、城内最強の戦士だった。
更にボンキュッボーンのボディだった。
白銀の甲冑、鋼の盾、鋼の剣、鋼のムチ、銀の弓矢を装備していて、大きな道具袋を持っていた。
「エリス! あなたが来てくれるなら心強いわ!」
「道中、気を付けて参りましょう」
「もう一人、旅慣れた者についていってもらいます」
ガチャッと扉を開け、女王の間に男が現れた。
背が高い大男で、目は鋭いがどこか優しげだった。
筋骨隆々で、巨大な斧、皮の胸当て、鉄のチャクラムを持っていた。
いかにも強そうな武骨な男だった。
「あなたは……」
「傭兵のライデンだ」
アスカがおそるおそる話しかけると、ライデンは低い声で名乗った。
「ライデンは、傭兵ですが、私が若い頃に助けてもらった事があり、信頼できる方です。旅なれないあなたたちだけでは不安なので、今回仕事を頼むことにしました」
女王が説明した。
「ま、そういうわけだ……女王様にはご恩があり、今回の仕事を引き受けた。王女様の命は俺が守る」
「よ、よろしくお願いします……」
アスカは、まだ少し怖がっている。
(アスカ様を守るのは私よ! でも……何があるか分からない旅でこの人の力が必要になるかも……)
「まずは、プリンティアの賢者ルドルフ様を探しなさい」
「はい!」
アスカ達3人は、女王の間を出ていった。
(アスカ……どうか無事で……)
女王は、心配そうにアスカの背中を見つめた。
表面上は、気丈に振る舞っているが、内心は親として危険な旅に娘を出すのが心配で仕方なかった。
ライデンが1度振り向いて、女王に頷いた。
「お姉様!」
「ユウカ」
女王の間を出たアスカに一人の少女が声をかけた。
「お姉様、私も行きます!」
「ダメよ、あなたにはお母様とこの国を守ってもらわなければならないの」
「でも……」
「心配してくれてありがとう。でもね、ユウカ。危険な旅になると思うの、だからあなたはここに残って私の代わりにこの国をお願いね」
「……」
「大丈夫ですよ、ユウカ様、アスカ様は私がお守りします」
「ありがとう、エリス……」
「じゃあ、行ってくるわね」
「はい……」
「良い姉妹だな」
アスカ達3人は、住民に見送られ、旅立った。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。