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住民総出、罠を張る

「成らば、町の南側の荒野が良かろう。そこに、原油を撒き散らして例の置き土産を積み上げる。それで、ゴブリン共を誘い込む」

「置き土産……そうか!ゴブリン共の死骸か!?」

「そう言う事だ、ジム」


「しかし……数千ものゴブリン共を焼き払うと成ると、相当な量の原油とやらを撒く必要が有るんじゃ無いのかドウマ?」

「うむ、その通りだ。此処(ここ)の樽だけでは足らんだろうな。樽を何往復かさせて、一面にまき散らす必要が有る」


「と成ると、自警団だけでは人手が足りんな……。だが、承知した。ケニー!今から町に戻って、町中の男共を叩き起こして駆り出せ!住民総出でやるぞ!」

「承知しました!オーウェンの旦那」

ケニーはすぐさま、廃坑のゲートへ向かい、暫くして軽快に(ひづめ)の音が去って行くのが聞こえる。


「それにしても旦那、こんな樽何処に?前来た時は見なかったと思うんだが……」

はぁ~、相変わらず(さと)い男だな。

「なに、廃坑に放置されていた物だ。何しろ、原油で商売するには必要な物だからな。昨日、お前さんらが飲んでる間にかき集めたのさ」

「旦那一人で?」

「フッ、まあな」

ジムは、何となく(いぶか)しんでおる様だが、まあ、適当に胡麻かしておくさ。



それから朝日は昇り、オーウェン達に手筈を細かく説明し終わる頃、町中の男達が集まって来る。

中には、女性も混じってる様だ。


「あんた、手伝いに来たよ♪」

「マーサ……教会に避難したんじゃ無いのか?」

オーウェンが頭を抱えておる。

「アタシらだって、あのゴブリン共に一矢報いたいのさ」

マーサの後ろに続く、御婦人連中も、同意する様に頷く。


「ま、人手は多い方が良いぜ。なんせ、これだけの樽に原油を詰めなきゃなん無えんだ。助かるよマーサ」

「アハハハ、任しとくれジム♪」

「はぁ~、仕方あるまい。分かった、許可しよう。だが、火気厳禁は心がけてくれ」

ジムにも促されて、オーウェンは諦める様に納得する。

まあ、オーウェンが心配するのも無理はないが、ジムの言う通り、今は人手が必要だ。



「さあ、みんな、今まではゴブリン共にやられ放題だったが、今回は一矢報いるぞ!手筈は今話した通りだ!奴らが攻勢を仕掛けて来る前に作業を終わらせるぞ!」

オーウェンが手筈を一通り説明し終えた後、指揮を上げる様に、そう声を上げる。

そして、それに呼応する様に「オーーー!」と声が上がり、皆の作業が始まる。


「さて、では、ワシらはワシらの仕事を始めようか」


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