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エンプレス・ゴブリンとは?

「ジム、スマンがそのエンプレスと言うのは?」

「ああ、この前も話したが、ゴブリンってのは普通、女王(クイーン)に率いられる。だが稀に複数のコロニーが集まって、巨大な一つの集団に成る場合が有るんだ。そうなると、その女王(クイーン)の中の一匹が、女帝(エンプレス)に成って女王(クイーン)共を率いる様に成るんだ。そして、その女帝(エンプレス)が率いるコロニーに、他のコロニーが引き寄せられるように合流して来たり、女帝(エンプレス)自身が、女王(クイーン)を産み落としたりして、さらにコロニーは大きく成る」


成るほど……。

「随分と危険な相手と見える」

「ああ、そうさ。だが、エンプレスが居るとなりゃ、さすがに砦が動か無い訳には、行かねえだろ、レナード?」


だが、レナードは首を横に振る。

「いや動か無えよ。我が敬愛してやまない中佐殿はな」

「どう云うこった?」


レナードの代わりにオーウェンが答える。

「エンプレスが居る証拠を見せろとさ。ゴブリンなんぞに手痛くやられて、命からがら帰って来た様な、三流のガンスリンガーの話など当てに成らんだとさ。兵を動かすにはそれ成りの証拠が必要だと抜かしおった!有るかそんなもん!」


「俺からも、あのハゲ……もとい、中佐殿に進言したが、ありゃ全く動く気が無えな。フッ、誰ぞに鼻薬でも嗅がされてんじゃねえか♪」

「ヘルマス一家の奴等にか……有り得るな」


ほう、レナードもオーウェンも、それと無く感付いておる様だな。


「成らば、ゴブリン共が攻めて来たらどうする?」

「その場合は、またこの間の様に立て籠もるしかあるまい。その時は、アンタとジムにも、避難誘導を頼みたい」


「うむ、承知した」

「ああ、良いぜ」


無理やりにでも、そのゴブリンの巣とやらの場所を聞き出して、ワシが魔法で焼き払うのが一番手っ取り早いのだが……致し方あるまい。

未だ、ワシの魔法は人前に晒したくは無いからな。

それに、無理に聞き出そうとして、彼らに不審に思われるのも得策では無い。



一通りの話を済ませ、自警団事務所を後にする。

この後、ジムはレナードと飲みに行くらしい。

ゴブリンやオーガに散々荒らされた町では有るが、一軒酒場が健在だと云う。

ワシも誘われたが、断わる事にした。

今の内に、準備したい事が有る。


それと、ギルドのガンスリンガー三人も、それぞれ、街に消えていった。

少々、癖のある者達だったが……はてさて、どうなるモノやら……。


もうそろそろ、日も沈む頃合いだが、街なかは瓦礫を撤去する者、家を修理する者、次の襲撃に備えて補強する者。

人々はそれぞれの作業に(いそ)しむ。

だが、思う所は一つなのだろう。

以前の平和な町を取り戻そうとな。


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