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スマンが、そいつは教えられん

「それで、そのゴブリン共の次の襲撃に備えて、何ぞ策でも考えて()るのか?」

一応、聞いておく必要が有る。

だが、そのワシの問いに、オーウェンは腕を組み、難しい顔をする。


「うむ、正直、今の町の状態では如何(いかん)とも出来ん。できれば、町を囲う柵ぐらいは作りたい所なんだが、その資材も無い。そんな木材が有るなら、家の修復に回したい。それにそもそも人手も同様でな。アンタが費用を持ちデュモンさんが手配してくれると云う、討伐隊が来るのを待つしか無いのが現状だ。残念ながらな」

まあ、この町の状況を見る限り、致し方あるまい。


成らばいっそう、そのゴブリンとやらの巣を、ワシが殲滅するのが手っ取り早いのだが……。

「それで、そのゴブリンの巣ってのは、何処(どこ)なんだい、オーウェンの旦那?」

ワシの意を()んでかジムがそう尋ねる。


が、オーウェンは腕を組み暫し難しい顔で考える。

「スマンが、そいつは教えられん」

「それは、どう云うこった、オーウェンの旦那?」

「どうせゴブリンの巣を、偵察とか言って、見に行くんだろ?」

「当然さ。こちらから仕掛けるにしろ、攻め込まれるにしろ、敵戦力の把握は戦術の基本だぜ」


「はぁ~、それがマズいんだ。ヤツ等を刺激することに成る。前回、フロンティアギルドに討伐を依頼した時に、彼らが不用意に偵察に向かったせいで、ヤツ等を刺激して大規模な襲撃に有ってる。今、こんな状況で、ゴブリンに襲撃されてみろ、それこそ大惨事だ」


成るほど、人間が相手の基本的な戦術も、人外のモノ相手と成ると別の話と言う事か。

「して、ワシらが偵察するかどうかはともかく、一度偵察して居ると云うならその戦力は、ある程度把握して()ると云う事だな?」


「うむ……討伐隊の話では当初、およそ二千匹だと言っておった。ゴブリンのコロニーと言うのは大体、千~二千ほどに成る。ま、その最大値と云う事だな」

ん、当初?


「討伐隊でぎりぎり対処できると判断し、彼らは討伐に向かったんだが……実際は違ったんだ。コロニーは一つじゃ無かった。生き延びて帰って来た者の話では、もう一つ巣が有ったそうだ」

「おいおい、まさか、エンプレスが居たってのか!?」

ジムが驚愕の声を上げる。


「恐らくな。それが二月(ふたつき)前の事だ。討伐隊との戦闘で、一時は少しは数を減らしたとは思うんだが、今はどれくらいに増えているか分からん。実際、この前の襲撃は三千匹くらいは居たかも知れん。正確には分からんが、教会の塔の上から見た感じではな。とすると、襲撃に来たゴブリンは半数と見積もっても、ヤツ等の巣にもう三千。もしかすると、もう一つコロニーが増えていると俺は睨んでいる」


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― 新着の感想 ―
[一言] この数を放置した事がバレたら、恐らく?裏取引をして討伐隊を出していない砦の責任者は首が飛ぶんじゃなかろうか(笑)
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