表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/182

已むを得ん、ヤツはワシが片付ける

瓦礫の中からレナードを引きずり出し、そのまま引きずって、集会所の入り口付近に横たえる。

ジムも、気を失った子供をその横に寝かせる。


残りのオーガ共は三匹が北に、一匹が南に向かった。

取り合えず、二人はこの集会所に寝かせておいても問題なかろう。


「で、旦那今のは?」

ワシが錬成した45ロングコルトの事だ。

「もしかして、リンドヴルムを仕留めたのって……」

「いや、ヤツには今の弾丸でも、ウロコ一枚剥がせんかったろうな。それに、ワシは45ロングコルトを撃てる銃は持ってはおらんよ」


「フッ、それにしても、旦那には一杯食わされたぜ。前に魔弾を見た事が無えとか言って、オレのなけなしの一発を披露させといて、こんなスゲエ威力の魔弾を隠し持っていたんだからな」

隠し持っていたと言うより、今さっき錬成したモノなんだがな。


「まあ許せ、コイツは確かに魔弾の様なものだが、お前さんに見せて貰った魔弾とは、少々別物でな。今は詳しい事は話せんし、その時間も無い」

そう言って残りの三発の45ロングコルトをジムに手渡す。


「三発って事は、残りの一匹は旦那が?」

「うむ、今ある手持ちはそれだけでな。お前さんは、北に向かった三匹を頼む、南に向かった残りの一匹は、已むを得ん、ヤツはワシが片付ける」

「ああ、良いぜ」


「それと、スマンが、その魔弾の事はあまり人に知られたく無い」

「ハァ~、何か訳アリって事かい、旦那……良いぜ。じゃあ、オーウェンの旦那かレナード辺りにでも聞かれたら、オレが軍の倉庫からかっぱらって来たとでも言うさ」

「フッ、助かる」



ジムとは、集会所の前で分かれ、南へと向かう。

少し離れた所で、刀印を結んで、アモンの魔法陣を(えが)き胸に押し当てる。

いつもの戦闘準備だ。


そして、強化された身体能力を生かし、建物の屋根に飛び昇り、南に向かったオーガを探す。

「居た!」

巨大なソイツの姿は、やたらと目立つ、探す必要も無い。


建物の屋根を飛び移る様に、そのオーガの後を追う。


さて、どう仕留めるか……。

十四年式の弾倉は、今銃に差してある物、予備の物、どれも小の刻印の物だ。

新たに錬成しようにも、魔力結晶は、さっき錬成したひと欠片しか持って来んかった。

何しろ、ひと騒動は有るとは思っておったが、相手はゴロツキ、人が相手だとばかり……いささか、読み間違えた。


一番手っ取り早く、確実なのは、やはりバアルの槍なのだが、こんな街中で放てば、それこそ大惨事に成る。

少々時間が掛かるが、命を奪うだけなら、以前に黒の森でトロール・ベアとやらを仕留める時に使った、レラジェの矢と言う手も有るが……。

アレは、突き刺さった標的の肉を急速に腐らせ、腐敗させる術だ。

オーガとやらの巨体、アレだけの物が腐敗し、悪臭を放つと成れば、それはそれで、別の意味で大惨事に成る。


他にも、アレを仕留めるだけなら、使える術はあるにはあるのだが……遠距離攻撃の術はどれも、付近に及ぼす被害が問題だな……。


ズドーン!

町の北の方から、銃声が遠く聞こえる。


「どうやらジムがもう一匹、仕留めたらしい。さすがだな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ