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朝食、テールベーコン

翌朝、子供達に飛び乗られて目を覚ます。

「猫ちゃん♪朝ご飯だよ♪♪」

さすが双子と言うか、見事なユニゾンで、ワシをベットから引きずり降ろす。


そして、そのまま食卓に連行される。

「おや旦那、珍しくゆっくりだな」

「ああ、すまんジム。久しぶりに、寝心地の良いベットだったもんでな」

実のところ、久しぶりと言うより、この世界で生まれて初めてだ。

何の緊張も無く、深い眠りに付けたのは。


ニーリーの宿屋でも、ベットで仮眠を取ったが、あの宿屋では熟睡できる筈も無い。


食卓に着くと、ジェシーがスライスしたライ麦パンと、カリカリに焼いたベーコンと目玉焼きを出してくれる。

ジムはそのライ麦パンにベーコンと目玉焼きを乗せ、頬張っている。

うむ、美味そうだ。


ワシも同じ様にして頬張る。

ライ麦パン特有の風味と、ベーコンの塩気、それと卵のトロリとした濃厚な黄身の味わいがよく合う。


ん?しかしこのベーコン……豚では無い。

「どうだい旦那、我が家に伝わる、自家製テールベーコンのお味は?」

成るほど、テールベーコンと言うからには、そう言う事か。

「うむ、悪く無い」


ふと、横を見ると、二人の子供達もジムとワシをまねて、ライ麦パンにベーコンと目玉焼きを乗せて頬張っている。

口の周りは、ベーコンの油と、卵の黄身でべとべとだ。

まあ、愛らしいものだな。

その子供達を見るジェシーも、優しく微笑んでおる。


不幸のただ中にあるのは変わり無いのだろうが、ジムが帰って来た事で、いささかでも安心感が戻ったのだろう。


穏やかな朝食の時間も終わり、そろそろ、集会所に向かう時間なのだが……。

「ジム、それと、ドウマさん。私は此処(ここ)で、この子達と留守番しているわ」

「ジェシー、良いのかい?」

「ええ、どんな話し合いに成るのか、大体の想像は付くもの。町民皆が集まる様にって話だったけれど、そんな話し合いの場にこの子達を連れて行きたくは無いわ。かと言って、この子達だけで留守番させる分けにも行かないし、それに何より……エドを一人にしたく無いの」

「そうか……分かった」


まあ、それが良かろう。

相手次第だが、場合によれば、ひと騒動有るやもしれん。

此処(ここ)に居た方が安全だ。


「さて旦那、そろそろ行くかい?」

「ああ、そうしよう」



一旦、客間に戻り、例の物をジムから借りた袋に入れ、肩に担いで玄関へ。

そして、ジェシーと子供達に見送られて、町の中心に有る集会所とやらに向け馬を歩かす。

「で、旦那、ソイツがお土産ってヤツかい?にしても結構でけぇな、ホントにスイカでも入ってんのか?」

「ああ……いや、食いモンでは無いさ。一応な」

そう言えば以前、トロール・ベアとやらが、食っておったな。

とすれば、食おうと思えば食えん事も無いかも知れん。

まあ、食いたいとも思わんがな……。


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