ヌアザ第一鉱山
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食事のあと、ジェシーに二階にある客間に案内される。
ジムは、以前使っていた自分の部屋が、そのままに成っているらしく、その部屋に入って行った。
客間には小さなベットが二つ。
質素だが、清潔感のある部屋だ。
部屋の隅に背嚢と、ヤツの皮から錬成したずだ袋を置き見下ろす。
「お前さんリンドヴルムと申す名で有ったか。それにしても、三千の精鋭を殲滅するとはな……成るほど、どうりで手ごわかった筈だ」
お前さんの魔力結晶は有効に利用させて貰おう。
さて明日、最後の話し合いだと言っておったが、その前にもう一つ確認しておいた方が良いだろうな。
そのヘルマス一家とやらの狙いとやらを。
マーサも帰り、ジェシーや子供達も眠りに付いた頃、ジムの部屋の扉をノックする。
ほどなく、扉が開く。
「こんな時間にどうしたんだい、旦那」
そう言うジムは既にダスターコートを羽織り、テンガロンハットを冠っている。
「なに、お前さんと目的は同じさ。準備が出来ているなら、早速案内を頼む」
「フッ、ああ、良いぜ」
ジェシーや子供達を起こさない様、そっと階段を降り、家の外へ。
そして、繋いでいた馬に乗り、ジムの案内で町を出て、さらに北へと向かう。
「ところで旦那、コリンが言ってたアレって何の事だい?何と無くなんだが、旦那には心当たりが有る様に見えるんだが」
「フッ、相変わらず勘の良い男だな。まあ、おおよその検討はな。だが、焦る事も無い。行けば直ぐに分る事だ」
暫く進むと、古びた標識が目に入る。
その標識には、『ヌアザ第一鉱山』そう書かれている。
更にその標識の向こうに向かうと、朽ち果てかけた粗末な木製のゲートが見えてくる。
此処が、そのヌアザ第一鉱山とやらの入り口なのだろう。
だが、ゲートの向こうには山なぞ存在し無い。
荒涼とした荒野が広がっている様に見える。
町長は露天掘りの廃坑と言っていた。
恐らく山は全て掘り尽くされ、あのゲートの向こうには、その露天掘りの大きな穴が開いておるのだろう。
「ん!?ジム、あれは……」
「ああ旦那、馬だ。どうやら、こんな真夜中に先客がいるらしい。で、どうする、旦那?」
ゲートの横に馬が一頭、隠すふうでも無く、柵に繋がれている。
「不審と言えば不審だが、馬を隠してはおらん。それに、繋がれている馬は一頭。ワシらに敵対する相手とも思えん。今のところはな」
「確かに……じゃあ、気軽に声でも掛けるってのはどうだい?もし後ろめたい相手なら、撃って来るだろうし、そうで無いなら、ソイツの話を聴くのも悪くない」
成るほど、仮に撃って来る様な相手だとして、ワシとジムの二人を相手に、どうこう出来る者など早々居る分けも無い。
「うむ、そうだな、それで行こう」




