表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/182

野営と、これからのこと

森の中は、背の高い常緑樹が密集して生えているせいかかなり暗い。

だが、空を見上げる限り、木々の隙間から星が見える。

「夜か……。もっとも、ここが魔界ならば、朝日が昇るかどうか怪しいがな」


この様な暗い森の中でも不自由無く行動出来るのは、やはりワシがケットシーだからだろう。

この目は夜目がが効くらしい。


「とは言え、腹も空いた。今日のところは此処(ここ)で野営だな」

でだ、この空腹を満たせる食材だが……やはりあれしか無いか。


錬成したナイフ改め、山刀を手に、頭部のないオルトロスの元に。

残った後ろ脚の片方に、山刀を振り下ろす。

一刀で両断。

「切れ味は悪くない」


その足を持って、環状列石の岩の一つをまな板代わりに皮を剥ぐ。

「この後が問題だな。今のワシなら、このまま生で食ったとしても、腹を壊す様な事は無いと思うが……やはり火を通したい」

うーむ、あの程度の魔法なら、いけるか……。


先ほど、山刀を錬成した魔法陣を一旦消して、再度魔法陣を(えが)く。

今度の魔法陣は、初歩中の初歩の召喚魔法。

問題無いとは思うのだが、やはり慎重に、丁寧に(えが)いていく。


魔法陣が完成し、魔力を慎重に注ぐ。

魔法陣が輝き出し、望み通りのモノが召喚された。

「どうやら、成功……と言う分けでも無いか……」


魔法陣の中央に召喚されたのはウィルオウィスプ、つまり鬼火、なんだが……。

「何だこれは、ワシよりも大きいではないか!」

想定していたサイズでは無い。


この体の魔力と魔法の相性が良すぎるのだ。

だから、バアルの槍や、錬成魔法同様、手加減が上手く出来ん。


「まあ、召喚したモノは仕方がない。取り合えず、肉でも焼くか……」

魔法のコントロールに付いては、おいおい訓練を重ねるしかあるまい。


オルトロスの足を持って、ウィルオウィスプにかざし、モモの部分に火を通す。

「中までで火を通すには、暫し時間がかかりそうだな」


さて、これからの事だが、どうした物か……。

先ずは、魔法の制御をどうにかせんといかんな。

下手をすれば、自身が放った魔法で、自身を焼き殺すなどと言う事にも成りかねん。

特に、召喚魔法は当面、ウィルオウィスプ意外は封印だな。


何しろウィルオウィスプがこれ程のサイズで召喚されたと言う事を考えれば、悪魔なぞ召喚しようものなら、制御不能に(おちい)ってどの様な惨事を招くか分からんからな。


暫くは、ウィルオウィスプの召喚と錬成魔法、そのあたりで魔法の制御の練習を繰り返すとしよう。


それと、ここがどう言う所かも知りたい。

もし此処(ここ)が、本当に魔界だと言うのなら、修羅と成るしかないが。


しかし、近隣に人の住む集落でもあるならば、接触を図りたい。

上手く、コミュニケーションが取れる成らば、色々分る事も有ろう。


「そろそろ焼けたか」

ハグッ。

ひと口(かじ)り取る。


「塩気が無いのは味気ないが、肉としての旨味は悪くない。少々筋張ってはいるがな」


明日、岩塩でも錬成してみるか……。

まあ、明日と言っても、朝日が昇るとは限らんがな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ