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エドの死因

「ジェシーさんでしたな。厚かましい事で申し訳ないが、お茶を一杯戴けませんかな。いささか喉が渇きましてな」

「ええ、それは構いませんけれど……此方(こちら)で?」

「いや、御迷惑で無ければリビングの方で戴きたいのだが」

「勿論構いませんわ。では(しば)くしたらリビングの方にいらして下さいね。それで、その……できればジムも」

「うむ、承知した。彼も連れて行こう」

ジェシーは部屋を出て、恐らく台所に向かったのだろう。


後は子供達だな。

少し屈んで、子供達と目線を合わせる……と、言っても大して屈む必要は無い。

「バーニー、ティナ、お前達はお母さんのお手伝いは出来るか?」

「うん、出来るよ♪」

「いつもしてるよ♪」


「そうか、良い子達だ♪」

二人の頭を優しく撫でる。


「なら、お母さんを手伝って来てお上げ。良いね」

二人はお互いの顔を見合わせると、「うん♪」と揃える様に返事して、部屋を出ていった。

良い子達だ。

幼き頃の孫娘の後ろ姿が目に浮かぶ……。


さて、今この部屋にはワシとジムの他に、ベットの上に横たわるジムの兄しか()らん。

今の内だな。


「ジム、兄との再会を邪魔してすまんが、一つ頼みがある」

「オレに頼み?それは旦那がわざわざ一芝居打って、ジェシーや子供達をこの部屋から遠ざけ無きゃいけない程の頼みって事かい?」

フッ、気付いておったか。

(さと)い男だ。


「ああ、そういう事だ。彼らには知られたくは無いし、知らん方が良い事もある」

「で、オレは良いのかい?」

「お前さんは、彼の家族の中で、唯一人戦う(すべ)を持った男だ。(むし)ろ知る義務が有る」


「うん?一体旦那は何を……そもそもその頼みって?」

「お前さんの兄、エドと言ったか。彼のシャツの胸元を開いて見せて貰いたい」


「兄さんの……それに何の意味が?」

「すまんが今は時間が無い。そろそろ湯も沸く頃だろう。子供達が呼びに()んうちに確認しておきたい」


「ハァ~、詳しい話は後で聞かせて貰えるって、考えて良いのかい?」

「ああ、無論だ」


「じゃあ良いぜ」

ジムは、眠る様に横たわるエドのシャツのボタンを三つ外し、開いて見せる。


「な、何だこりゃ!?」

ジムはエドの胸元に刻まれた傷跡に、驚きの声を上げる。

「だ、旦那……これはいったい……」


エドの胸元には、丁度心臓の真上辺りを中心に放射状に、枝が広がる様な図形が刻まれて居る。

「こいつは、リヒテンベルク図形。落雷を受けると、その放電による火傷の跡が、この様な図形と成って体に刻み込まれる」


「そうか……兄さんは、やっぱり雷に打たれて……」

いや、そうでは無い。

これは、殺害された(あかし)だ。


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