表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/182

逃走準備

奴らが動き出すまで、一時間……いや、三十分と見て動いた方が良いだろうな。

では早速、皆を逃がす準備に取り掛かろう。


そっと、扉から離れ、バーの出入口へ向かう。

少々矜持(きょうじ)が痛むが、已む無くスイングドアの下をくぐり、外へ抜ける。


やはり、外にも幾つか気配を感じる。

宿屋を取り囲んでおる様だ。

誰も逃がさんと云う事だろう。

念入りな事だ。

だが、グラシャ=ラボラスの隠身(かくりみ)で、姿を消しておるワシに気付いた者は居るまい。


そのまま、宿屋の横に停めてある馬車へと向かう。


馬車をよじ登り、屋根の上に乗せられている荷物を物色する。

「有った」

盗賊共から奪ったスペンサー銃だ。


コイツは、騎兵用に作られたカービンモデル。

馬上でも取り回ししやすい様に、比較的銃身は短く作られている。

今のワシの身長でも、どうにか扱えそうだな。


弾薬も漁り、スペンサーに装弾する。

スペンサーへの装弾は結構面倒だ。

ストックの後ろのふたを開け、そこから弾薬送り用のばねチューブを抜き取り、その穴に一発づつ弾を入れる。

七発込めた後、さっき抜いたばねチューブを再び戻して、ふたを閉める。

銃撃戦の最中に装弾するのは難しそうだ。


何とも、不便な時代だな。

生前、ワシが愛用しておった三八式(さんぱちしき)は、装弾数こそスペンサーより二発少ないが、五発束に成った装弾子(そうだんし)を差し込めば装弾は完了する。

スペンサーと比べれば、実に手軽な物だ。

ま、今は贅沢は言えんがな。


念の為あと三挺、弾を込め、四挺の銃を小脇に抱えて、馬車の屋根から降りる。

その内二挺は、馬車の座席の上に置き。

あとの二挺は、ワシとジムの馬の鞍に取り付けられていたホルスターに差しておく。


「さて、馬六頭と馬車か……少々面倒だが仕方有るまい」

グラシャ=ラボラスの魔法陣を(えが)き、ワシの馬の首筋に押し当てる。

隠身(かくりみ)

これで、この馬もワシ同様、ここを取り囲んで居る連中から、その姿を意識されん様に成った筈だ。

(いなな)いてくれるなよ」

そうなれば、せっかくの術が解けてしまう。


残りの馬と馬車にも、それぞれ隠身(かくりみ)を施し、そっと、出来るだけ音を立てず、術が解けない様に気を配りながら、馬車を宿屋の入り口まで誘導する。


どうにか、今のところ術は健在だが、馬の機嫌しだいで、いつどうなるか分からん。

今のうちに、皆を起こしてサッサと町を離れるとしよう。


再び、スイングドアの下をくぐり、二階への階段をのぼる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ