表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/182

次はワシの番と云う分けか

「頼んだだと……まさか!」


前方の巨大な影がムクリと動き出す。

どうやら、ヤツは死んではおらん様だ。

頭の三分の一を吹き飛ばされ、それでも尚……やはりあのクマ、バケモンだな。


グォォーー!


「已むを得んか」

クマを仕留めるのは簡単だが、銃は小の刻印の弾丸以外は見せん方が無難だな。

魔弾だと勘違いされるのも面倒だ。

かといって、派手にバアルの槍を見せるわけにも行かん。

と成ると……。


馬から飛び降り、左手でアモンの、右手で電撃の魔法陣を(えが)く。


フッ、それにしてもジムの奴、三味線を弾きおったな。

あの魔弾の威力、クマの右目で無く眉間を打ち抜いておれば、恐らく仕留めておれたろう。

だが、わざわざ、手加減を加えおったのだ。

「成るほど、次はワシの番と云う分けか」


(えが)き上げたアモンの魔法陣を胸に押し当て、身体能力を強化。

そして、軍刀の鯉口を切り、十センチほど抜いた刀身に、右手の刀印の指先に浮かぶ魔法陣を付与する。

要は前回、六本脚のクマを仕留めた時と同じだ。


グォォォーーー!


雄叫びを上げて、ヤツが迫ってくる。

どうやら、石礫(いしつぶて)は飛ばして来んらしい。

脳をやられて、魔法を放てなくなったか、それとも単に頭に血が上ったか。

(いず)れにしろ、手間が省けて有難い。


既に、ワシの眼前に迫ったクマが立ち上がり、鋭い鍵爪の有る四本の腕を振り上げる。


「旦那!!」

ジムとバリーがワシに叫ぶ。


振り下ろされる四本の腕を掻い潜る様に、足を踏み切り、飛び上がる。

軍刀を一閃!


ドサッと重い音を立てて、ヤツの体が地に崩れる。

そして、時間差を置いて、宙に切り飛ばした首も地に落ち転がる。


「だ、旦那、ご無事ですかい!」

バリーが、巨大なクマの体を避けつつ駆け寄ってくる。


「ああ、心配は要らん。無傷だ」


「ハァ~、驚いたぜまったく……。俺はてっきり、銃でトドメを刺すのだとばかり。まさか、あんな化け物をサーベルの一太刀で切り殺すなんてな……。そんな芸当、この大陸広しと言えど旦那ぐらいなもんだぜ」

フッ、少々苦戦して見せた方が良かったか。


「なに、ジムがヤツの頭を三分の一吹き飛ばしてくれたお陰で、石礫(いしつぶて)を撃って来んかったからな」

「石礫?」

「なんだ、お前さんは知らんのか。ヤツは石礫(いしつぶて)を散弾の様に飛ばす魔法を放ってくる」


「いや、そうじゃ無くって……。旦那がさっき一度(たお)したって言ったのは、まさかその魔法を?」

「ああ、そうだが」


「はぁ~、旦那、ソイツは色付きって奴だ。腹ん中に色の付いた魔力結晶が有ったろう。魔物も人と同じで色付きの魔力結晶を持つモノと、そうで無いモノが居る。前者は特別な個体で、早々お目に掛かれない存在、且つ恐ろしく危険な存在さ」

「では、コイツは色付きの魔力結晶を持っておらんと?」

「まあ、腹を裂いてみないと確証はないが、十中八九はな。それにしても、まさか色付きのトロール・ベアを狩っていたとは……旦那は敵に回さない事にするよ」


「お前さんでも狩れたさ。大した相手じゃ無い」

「フッ、まあ、俺のコルトに魔弾が六発入っていれば、或いはって処だろうが、出来ればそんなのとやり合いたくは無いね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ