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天を貫く、光の槍

大蛇か!

デカいな……持ち上げている鎌首だけで、ワシの背丈の五倍以上はある。


しかし……成るほど、蛇は獲物の体温に反応して狩をすると聞く。

この暗闇の中、ワシの居場所を正確に把握しておったのは、そのせいか。


見た所、ヤツの目が確認できん。

恐らく退化しておるのだろう。


それにしても、傷を負った形跡はやはり見て取れんか。

大の刻印の銃弾ですら鱗一枚剥がせん様では、これは、いくら撃っても無駄だな。

接近戦に切り替えるしかあるまい。


いつもの通り、身体能力を上げる為、右手で刀印を結びアモンの魔法陣を(えが)いて自身に付与する。

続けて電撃の魔法陣を描き、左手の親指で軍刀の鯉口(こいくち)を切り、そのまま十センチほど抜いて、(あらわ)に成った刀身に付与する。


準備は整った。

「いざ、参る!」


アモンの権能で強化された身体能力には、既に慣れた。

いっきに飛び出し、大蛇との間合いを詰める。


ヤツの懐にたどり着くまでに一度火球を放たれたが、易々と(かわ)す。


大蛇に近付いて、改めて実感する。

なんとも、太い胴体だ。

ワシの何倍もある。

一閃で両断するのは、まず不可能……成らば。


抜刀、抜きざまに斬撃を連撃で浴びせかける。

一閃する度、紫電が走り、大蛇が咆哮を上げる。

電撃は効いている様だ……だが、固い!


キン、キン、キン、と金属的な音を立てながら、軍刀の斬撃は弾かれる。

固い鱗は傷を付けるのがやっとか。


ゲボッ!


マズイ、ヤツがなんぞ口から吐き出しおった!

咄嗟に、後ろに飛びずさって(かわ)す。

「むっ!」

なんと言う臭気……毒か!


ヤツは続けてゲボッ!ゲボッ!と周囲に毒を吐き、ばら撒き続けておる。

一体、何を考えて……。


成るほど、そういう事か。

ヤツの周囲は、ヤツの吐いた毒の沼で足場もない程。

ワシはブーツを身に着けてはいるが、まずあの毒に侵された所へは足を踏み入れん方が得策だな。

そうなると、到底近付けそうもない。


だが唯一、ヤツの目の前の地面には毒が吐かれておらん。

つまり、正面から来いと誘っておるのだ。


「はっはっは、面白い。その誘い乗ってやろうではないか」

成らば、ワシも手加減は終いだ。

全力で仕留めてくれるわ!


軍刀を鞘に納め。

ヤツの吐く毒と火球の攻撃をバックステップで距離を取り、(かわ)しつつ両手で魔法陣を(えが)く。

左手では堕天使アルマロスの魔法陣、そして、右手で(えが)くは……当然、悪魔であり(いにしえ)の神でもあるバアルの魔法陣。

左右の刀印の指先に、魔法陣が輝いて浮かぶ。


「参る!」

ヤツの正面からその懐に向かって走りだす。

神経を集中し、研ぎ澄ます。

ヤツの動き、周囲の状況、ワシ自身の筋肉の動きまで、ゆっくりと感じ取ることが出来る。


ヤツがその大きな(あぎと)を開け、火球を放とうとしている。

当然だな、その為にヤツは自身の正面以外を毒で侵したのだ。


左右の地面は毒の沼、回避することは出来ん。

左手の刀印を突き出し、アルマロスの魔法陣でヤツの放った火球を受け止める。


パーン!と弾ける音と共に、火球とアルマロスの魔法陣が、オレンジの粒子と成って弾けて消える。

思った通り、あの火球は魔法!

堕天使アルマロスの権能は、あらゆる魔法を打ち消す権能。

もっともあの火球に、ワシが魔法陣に込めた魔力以上の魔力が籠って居ったら、打ち消すことは出来んかったがな。


ヤツが次の火球を放とうと、再び(あぎと)を開いたその時、鎌首の真下に辿り着く。

右手の刀印を、ワシの頭上に在るヤツの頭に向け突き付ける……チェックメイト。

「貫け、バアルの槍!」

ズドーン!

眼前で雷鳴が轟き、眩い閃光が辺りを包む。


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