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その2

「待ちなさいっっっ!!!!」


凛とした声が響く。

轟音と悲鳴に支配されていた空間の中で、その声のみを残して全ての音が切り取られてしまったかのように静まり返る。


「ククク、来たか・・・。」


声の方に男が一瞥いちべつする。


イカから少し離れたビルの屋上に、その人物はいた。

10代中程だろうか。「少女」という表現がピタリと合う。

全身フリルやレース、ピンク、白、そして音符をモチーフにした、乙女、女子、可愛いの具現化といった衣装に、手にもハートと音符をモチーフにしたであろうステッキを持っていた。


膝上のフリルスカートだが、ローアングルだろうと何だろうと中身は見えない。見えそうでぜっっったいに見えない。

さらにその少女の脇には、小型犬ぐらいの大きさの、コアラとタヌキを足して2で割ったような生き物が浮いていた。


「さあメロディ!行くんダヨンッ♩」


甲高い声でそいつが喋った。

そしてメロディと呼ばれた少女がうなずく。


「うん!今日もお願いね、ダヨン!」

「任せるんダヨンッ♩」


どうやらダヨンという名前らしい。


「聞く耳持たない悪い子は、私が愛のお説教!!あなたに届け!愛のメロディー!!」


手にしているステッキを掲げ、少女は叫んだ。

さらに頭上高くステッキを真上に回転をかけながら放り投げ、自身も新体操の選手のようにくるくると3回転、どこからともなく現れた光と音符が舞う。


「魔法少女!ラブリン♡メロディ!!」

「ダヨンッ♩」


バシッとステッキをキャッチし、ウインクして決めポーズ。


「さあ!いけ!アックヤーク!!!」

「アックヤアアアアーク!」


セリフを終わるのを待っていたかのように戦いは幕を開けた。

容赦なく数多あまたの触手がメロディを叩き潰そうと襲い掛かる。


「ハッ!!」


メロディがステッキを振ると、イカの触手が簡単に両断されて、地に落ちた。

その際の効果音でピアノの「ド」の音が鳴り響く。

イカの触手を切るたびに音階が上がっていった。


そしてワンオクターブ音階が上がる頃には、触手は残り2本。

一本はその男を乗せていた為、実質振り下ろせるのはあと1本となっていた。


「アアア、、アックヤーク。」


明らかに動きが悪くなるイカ。


「メロディ♩今ダヨンっ♩!!」


「うん!!!」


よく見るとメロディのステッキが淡い光を帯びて点滅していた。

空高くメロディが飛び上がり、連続してドから再び音が鳴り響く。

周りが光に包まれ、そこから現れた光のピアノを奏でながら「ラララ〜♩」と可愛らしく歌った。

すると、頭上にハートをバックにした巨大な光の音符が現れた。


「ーちっ、今回は見逃してあげるよ。」


男はそこまできっちり待って、イカのみを残して姿を消す。


「ラブリン♡メロディアスシューーート!!!」


その直後、メロディはステッキをイカに向けると、巨大な音符が発射された。

イカはなす術なく、その光に飲み込まれ、轟音と供に消滅した。


「ご清聴せいちょう、ありがとうございましたっ♩」

「ダヨン♩」


ばっちりカメラ目線で再びポーズを決める。


「今回も何とかなったね!ありがと!ダヨン!」

「いいんダヨン♩メロディも強くなったヨン♩」


「うん!・・でも、またドン・アックヤークを逃しちゃった。」


ふぅ、とため息をつく。

いつもあと少しという所で逃げられてしまう。

それは向こうも同じだろう。

追い詰められて、もうダメだと思った事も少なくはない。


ーでも、きっといつかこの戦いを終わらせてみせる。

メロディは空を仰ぎ、眩しそうに目を細めた。

戦う女の子ってかっこいいですよね。

色んな「お約束」がありますが、この頃はしっかり守っています!

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