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貴方に捧げる永遠(とわ)のアイ  作者: 桜庭しおり
第一部 愚かだったわたくし
4/7

003 アシュリナ王国と建国神話

誤字を修正しました!

誤字が多くてお恥ずかしい限りです…

教えて下さった方、ありがとうございます(´˘`*)

 思わず溜め息が出てきそうになるのを必死に噛み殺す。

 リズベットのあの様子では、不敬罪で罰せられても決して文句は言えないのだ。オフェーリアとの一件だって、爵位の面で見れば1つしか違わないのにも関わらず侯爵家の事をバカにし過ぎている。早急に何とかする必要があるだろう。



「そんなに面倒なやつなのか?」

「まあ、そうね…。でも、まだ2日目だしもう少しがんばってみるわ」



 そうなのだ。彼女が来てから、まだ2日目。注意をすればこれから変わってくれるかもしれない。きっと、多分、その筈………だと、信じたい。

 エドは結構短気だし、昨日から今朝にかけての出来事を話してしまえば、一体どうなる事やら……



「まあ、そこはアリーシャに任せましょう。言う事を聞かない臣下をどう御するかも、為政者には求められていますからね。どうにもならないようだったらわたくしに言いなさい。……それと」



 お母様が、手にしていたナイフとフォークを机に置いて居住まいをピンと背筋を伸ばす。さっきまでも美しい姿勢を保っていたのに、まだ伸びるのか。ぼんやりそんな事を思ったが、現実逃避している場合ではない。何か大事な話があるようだ。

 わたくしも姿勢を正して、お母様の目をしっかり見返した。



「来月、アシュリナで建国祭が行われるのは既に知っていますね。わたくしは、アリーシャに行ってもらおうと思っています。ギルバートも行かせますから、実地で外交を学んで来なさい」

「…はい、お母様」



 ギルバートはお母様の側近で、この国の宰相を務めている人だ。さらに言うのなら、オフェーリアとわたくし付きの護衛騎士でオフェーリアの兄でもあるリオンの父でもある。つまり侯爵だ。

 そしてアシュリナは、我が国唯一の貿易国である。我が国……エウリュアレ神国は、いわゆる鎖国をしている状態だ。わたくしやお母様がそれを良しとしている訳ではない。ないけれど、先代の女王やこの国の多くの貴族は鎖国派で、それ故に開国出来ずにいるのだ。何故鎖国をしているのか、その理由は、我が国の建国神話に起因している。



 ”昔々、あるところに1人の美しい女神様がおりました。



 透き通るような水色の髪と夜明けの太陽の様に美しい金色の瞳を持つその女神様は、たくさんの神様から愛され、求婚されて来ました。ですが、女神様はどんなに美しい神様にも、どんなに雄々しい神様にも、どんなに賢い神様にも、首を縦には振りませんでした。何故女神様が頷いてくれないのか、誰も分かりませんでした。



 ある時、女神様は水浴びをするために人間界の山へ行きました。そこには、それはそれは美しい泉があったからです。女神様が水浴びをしていますと、がさり、と森の茂みが揺れました。女神様がその方向を見ると、なんとびっくり、そこには1人の青年がいるではありませんか!何故こんな所に、と女神様が尋ねると、青年は泉のほとりにある薬草を病気の母のために摘みに来たと答えました。女神様以外にもたくさんの神様が水浴びに訪れるその泉には、聖なる力が溢れているため、普通の薬草と比べて明らかに効果が高いと言うのです。



 女神様は母親思いのその青年にすっかり感動して、彼に祝福を授けました。青年に幸運が訪れるように、彼の母親の病が少しでも早く快癒する様にと願いました。



 時は過ぎ、色々な出来事を経ましたが、いつまで経っても彼は結婚しようとしません。青年をずっと見守っていた女神様は、心配になって彼に会いに行き、理由を尋ねました。青年は答えました。いつか泉で出会った女神様の事が忘れられなかったのだと。女神様はそれを聞いて、すっかり嬉しくなりました。女神様もまた、ほんの少し話した間にこの青年の事を好きになってしまっていたのです。



 されど、女神様と青年の恋は禁断の恋。女神様は、天界から追放されてしまいました。それでも、青年と一緒にいる事が出来て女神様は幸せでした。



 それからまた、いくつかの年を経て、青年は女神様と共に1つの国を立ち上げました。子供も産まれました。そうして、女神様と青年はいつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ”



 という、建国神話なんだかおとぎ話なんだか判断に困るものだが、残念ながらこれが我が国の建国時の物語……らしい。

 そして、この女神と女神の血を引く王家を支持し、―――ちなみにこの女神は時の女神で、わたくし達王家の女の予知夢の力は彼女の力によるものらしい―――それ以外の者を下に見る者がこの国には多いのだ。それ故に、『穢れた他国と関わることは女神様の神聖さを貶める』『卑しい存在に女神様の血を引く者がへりくだる必要はない』などといった考えの下、この国は長い間開国されずにいるのだ。

 とはいえ、世界全体で見れば小国に過ぎない我が国では国内で全てを賄うことなど出来ない。だから、隣国ーーーとは言っても山を挟んでいるためかなりの距離があるーーーであり様々な国と貿易もしているアシュリナと取り引きをして足りないものを補っているのだ。



 大切な唯一の取り引き相手国へ赴くのだ。失敗は出来ない。

 そう、密かに朝餐の机の下で拳を握っていると……



「母上、私も姉上に着いて行っていいでしょうか」



 そう、カイトが静かに名乗り出た。

建国神話が思ってた以上に長引きました笑

すいません、楽しかったです。


今回もお読み頂きありがとうございました!

少しでも面白いと思ってた頂けましたら幸いです。

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